最後まで引き受ける
庄司はこれまでに多くのラグジュアリーブランドと仕事をし、ディナーやケータリングを手がける度に、美しい設営がつくられては壊されるのを目の当たりにしてきた。長年、消化しきれない思いがあったという。
「ラグジュアリーというのは、生きていくうえで必要のないものじゃないですか。ぶっちゃけ、なくてもいい。設営し、売り上げを得たら捨てる。サステナブルと相反しすぎている。その繰り返しを見てずっとモヤモヤしていたんです。ラグジュアリーは尻拭いをするべきだと」
ブルー ボックス カフェのオファーがあったとき、そのチャンスかもしれないと考えた。監修という立場を超えて日々現場で手を動かし、ゲストを迎え、世界的なレストランガイド「La Liste」受賞にも貢献。ティファニー ジャパンと築いた密な関係が、ブルー ボックス カフェにおける庄司のアップサイクルプロジェクトの実現に繋がった。
そして完成したジン「Bé-Gin」は、通常以上の手間がかかっている。普通に考えれば、その分高く売るのが商売である。だが庄司も木内も、その道を選ばない。ストーリーも含めて多くの人に届くように、どこのバーでも使え、誰でも手を伸ばせる手頃な価格で販売したいという。
まずは8月31日まで、ブルー ボックス カフェの1周年を記念するカクテルとして提供されている。監修は「The SG Club」を主宰する世界的バーテンダーの後閑信吾。このジンをベースに、アールグレイ、イランイラン、グレープフルーツを合わせた。着想源は、ティファニーを象徴するジュエリー「Bird on a Rock」だという。
「自分ではつくれない。どういうカラクリかわからないんですよ。バニラは使っていないのに、バニラの後味がものすごく出てくる。プリンのカラメルのような後味がして、マジックですね」と、木内は絶賛する。
流通や展開に関して、まずは9月から木内酒造のオンラインショップで販売を開始し、のちに酒屋でも買える状態を目指す。その売上金の一部は寄付へ回す計画だ。カフェでも継続的にジンを使ったカクテルを出していく予定である。また、ゆくゆくは原料のパンに関しても回収先を広げ、大手製パンメーカーや街のパン屋とも手を組んでいきたいと考えている。
それに、ブルー ボックス カフェはニューヨークにもドバイにもある。そのまま同じことをするのは難しいかもしれないが、「こういう取り組みをしていることが海外に伝われば、何かしらアクションを起こさなければ、と刺激になるのでは」と庄司は言う。
ラグジュアリーが責任を引き受けるひとつのモデルケースとして、その影響力も生かしながら、さらなる広がりを模索していく。


