ファッション

2026.08.25 16:15

Swarovskiが提案する、希少性に頼らない「ぜいたくな喜び」

質の高さで広くアプローチし、
どうやって価値を高めるか

戦略の名前は「ラグジュアリー・アット・スケール」。希少性に頼らず、幅広い価格帯で、より多くの人に届ける。CEOアレクシ・ナザールの方針だ。

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ここでひとつ、ややこしい問いが立ち上がる。ラグジュアリーは伝統的に、希少だから価値があるとされてきた。規模の拡大とは、本来あまり仲が良くない。

「私たちが提供できる喜びは、カッティング技術や色彩、素材の組み合わせによる、輝きの質の高さです。これは唯一無二だと思っています。ラグジュアリーだと思っていただけるのは、その質が担保しているからそこに立ち返ったんです」

希少さで守るのではなく、質で支える。Swarovskiファミリーが経営権をもつ非上場企業ゆえ、売上順位も新ラインの目標数値も非公開。3年続く2桁成長は国内顧客が主因で、2025年の日本の売り上げはスワロフスキー・ジャパン社史上、過去最高だったと鈴木は明かす。

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Swarovski Created Diamonds。創業者の「Diamond for Everyone」を継ぐライン。銀座店の専用スペースで、IGI認証とサステナビリティの背景を伝える。
Swarovski Created Diamonds。創業者の「Diamond for Everyone」を継ぐライン。銀座店の専用スペースで、IGI認証とサステナビリティの背景を伝える。
色彩豊かなクリスタルを連ねた2026年サマーコレクションのネックレス。
色彩豊かなクリスタルを連ねた2026年サマーコレクションのネックレス。

この戦略を推進するメインの舞台に、日本が選ばれている。ナザールは、ヨーロッパと米国に加え、韓国、ブラジル、メキシコ、そして日本を、重点的な成長市場に挙げる。グローバルのマネジメントは毎年来日し、市場を見るという。

「日本には1週間いるんです。競合が何をやっているのか、ジュエリー以外のラグジュアリーがどうしているのかをもちろんチェックしますが、それ以上に彼らは日本の価値観を深く理解しようとしています。日本の文化そのものに触れていただく機会も多くつくっています。日本のお客様に支持されれば、世界にも通用する。彼らはそう思っているので、しっかり見ています」

その日本市場での難所のひとつが、ラボラトリー・グロウン・ダイヤモンドだ。「ダイヤは採掘されるもの」という固定観念が根強い。だから対面で時間をかけ、事実をデータで伝える。若い世代ほど受け取りが速いという。本質を見極める力が強く、すぐに受け入れてくれる。

創業時のスケッチを入り口に飾りながら、奥ではポップアイコンを踊らせる。匠の技を手放さず、価値観の変化に合わせて解釈をかけ直す。Swarovskiが試しているのは、その回し方そのものだ。規模を広げながら、ラグジュアリーの質は手放さない。両立の難しいふたつを、このブランドは一本の線で結ぼうとしている。

SWAROVSKI GINZA
東京都中央区銀座8-9-15 JEWEL BOX GINZA 1・2F
TEL 03-3289-3700
営業時間11:00〜20:00
定休 年末年始


すずき・まさき◎スワロフスキー・ジャパン代表取締役社長。日本市場におけるブランドの進化と事業成長を統括。店舗体験の刷新と接客の再設計を軸に、クリスタル・ジュエリーからラボラトリー・グロウン・ダイヤモンドまでを展開する。

text by Tsuzumi Aoyama | photographs by Yozo Yoshino

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