クワイエット・ラグジュアリーの時代に、色彩ときらめきを。130年の匠の技とブランドアンバサダー、アリアナ・グランデが輝きを放つSwarovski銀座で、日本法人社長・鈴木正規が語る。
銀座のSwarovski旗艦店に入ってすぐ、目が留まった一角がある。クリスタルをさまざまなファセットへと設計していく、創業当時のスケッチ(レプリカ)だ。隣にはキャラクターのオブジェや、NIKEのエアジョーダンとのコラボ。130年培ってきた手仕事と、今の遊び心が、入り口で隣り合う。その奥のフロアでは、ディスプレイのなかでアリアナ・グランデが踊っていた。
この見せ方は、もちろん狙ってなされたものだ。日本法人を率いる鈴木正規は、ここ数年のSwarovskiを「リブランディング」と呼ばれることに、わずかに身構える。進化という言葉さえ、慎重に扱う。「この130年で、ブランドは常に進化してきた。本質は変わっていません。技術、クラフツマンシップ、私たちのサヴォアフェール。そこへのこだわりは昔からのものです。やってきたのは、それを現代の文脈でどう伝えるか、なんです」
変えたのは中身ではなく、伝え方だという。店舗の世界観、マーケティング、そして「いちばん大事」と言い切る接客。改装から始め、すべてを新しいブランドの体現として組み直した。銀座店では顧客の滞在時間が延びた。
派手さではなく、ぜいたくな喜びを
クワイエット・ラグジュアリーは、ここ数年のトレンドだった。ロゴを大きく見せるより、わかる人にだけわかる引き算へ。その潮流のなかで、Swarovskiは色彩ときらめきを手放さない。アリアナ・グランデをブランドアンバサダーに迎え、大ぶりのパーツを臆せず見せる。引き算の時代に、あえての足し算に見える。
「私たちにとってラグジュアリーは、希少性や高単価のことではありません。品質やストーリー、お店での体験に焦点を当てている。ジョイフル・エクストラバガンス、ぜいたくな喜びをいかに提供できるか。お客様が自分の表現をどう出したいか。それを後押しするブランドでありたい」
ジョイフル・エクストラバガンス。Swarovskiが価値の核に据える言葉だ。幅広い価格帯のなかで、その日の気分に合うものを選ぶ。必要な喜びの分だけ、ぜいたくでいい。
派手なアイコンに頼るのですか。そう尋ねると、彼は言葉を選んだ。スターの起用は、認知を広げるため。このブランドは歴史のなかでずっとポップカルチャーと近い場所にいた。その延長に「ポップ・ラグジュアリー」という立ち位置がある。



