スコットランド最北端の港町で1826年に創業。“海のモルト”として知られるシングルモルト・スコッチウイスキー「オールドプルトニー」は今年で創業200周年を迎える。これを記念して、蒸溜所史上最高齢となる「オールドプルトニー50年」を世界200本限定でリリース。果たして1本440万円のウイスキーの味わいとは? マスター・オブ・ウイスキー・クリエイションのサラ・バージェスに聞く。
ウイスキーの原料は、と聞かれたら? 大麦などの穀物と酵母、水……などと、多くの人が答えるであろうが、筆者はそこにひとつ「時間」を付け加えたい。蒸留を終えたばかりの原酒は無色透明で、アルコールの刺激も強く、私たちが知る琥珀色のウイスキーとはまだずいぶん違うもの。それが樽に詰められ、木とゆっくり呼吸するように年月を重ねることで、色をまとい、香りや味わいを複雑にしながら、少しずつまろやかに熟成されていく。
当然ながら、10年のウイスキーには10年、30年なら30年という歳月が必要なわけで、どれほど技術が進歩しても、その時間を一足飛びにすることはできない。ましてや50年ともなれば、蒸留した人と、その酒を完成させる人が同じとは限らない。ウイスキーとは、時間によって育てられ、ときに世代を超えて受け継がれていくお酒なのだ。
「上質なウイスキーには時間による熟成が不可欠。では長く寝かせればいいのか、というと、そんなに単純なことでもありません。樽の種類や状態、原酒との相性、環境などによって熟成の進み方は異なるので、どこがその樽のピークであるか見極めるのも、つくり手の重要な仕事です」と語るのはサラ・バージェス(以下、サラ)。スコットランド最北端の港町ウィックで、200年にわたりウイスキーをつくり続ける「オールドプルトニー」のマスター・オブ・ウイスキー・クリエイションを務めている。
30年、50年──時間が磨いた“海のモルト”
「オールドプルトニー」はスコットランド北東部の北海に面した町ウィックで1826年に創業。19世紀のウィックは、ニシン漁で大いに栄えた港町であり、「オールドプルトニー」もまた、海とともに生きる町の歴史のなかで育まれてきた背景から、潮風を感じる風味が特徴的。The Maritime Malt(海のモルト)とも称されているスコッチウイスキーの蒸溜所だ。



