今年「オールドプルトニー」は、創業200周年という大きな節目を迎え、蒸溜所史上最高齢となる「オールドプルトニー50年(以下、50年)」と「オールドプルトニー30年(以下、30年)」をリリース。ともに限定品であるが、「50年」に至っては世界限定200本、1本440万円と高額なこともあり、多くのウイスキーファン垂涎の希少なアイテムとなった。ではその気になる味わいは? サラが語る。
「『50年』に使用されているのは、蒸溜所に眠っている原酒のなかでも最も古い4つのホグスヘッド樽。主にアメリカンオーク樽で熟成され、海の個性と時の恵みを余すところなく引き出しています。さらにスパニッシュオークによる少量の追熟が、穏やかな豊かさと深みを加えることに寄与しました。この200年の、まさに集大成と言える1本です」
「『30年』には、蒸溜所マネジャーのマルコム・ウェアリングが30年前、自ら手作業で詰めた樽を使用。アメリカンオーク樽で熟成したのちに、スパニッシュオークでフィニッシュをほどこしました。『オールドプルトニー』らしく海風や潮を感じさせるニュアンスとスパイスや甘いバニラを思わせる余韻……海のモルトと呼ばれる『オールドプルトニー』の真骨頂と言えるでしょう」
さすがに世界に200本しかないウイスキーを試飲させてほしいとは言いだせなかったが、幸運なことに『30年』はテイスティングすることが叶った。この30年間の世界の変化、我が身に起きたアレコレを思い起こしつつ味わったそれは、深みがありながらも重たすぎず、優美でエレガントな印象。海のニュアンスはもちろんのこと、熟した果実やキャラメルを思わせる甘み、そして潮が満ちるようにゆっくりと広がる余韻を味わうことができた。
「この『50年』と『30年』はともに、私にとって子どものような存在。『30年』が自らのことを明るく表現するような、大胆で勇敢な性格であるのに対し、『50年』はどこか控えめでもの静か。でも奥底に深いものを持っており、哲学的でもあります。ウイスキーはすでに自分自身の個性を持っているので、私が新たな個性を与える必要はありません。その個性を理解し、守ってあげることが私の仕事です」
「50年」と「30年」をそれぞれ我が子にたとえるサラの言葉を聞きながら、改めてサラが女性であることを感じた。ウイスキーづくりとは、原酒を思い通りの味へと導くというより、その個性を見極め、時間とともにどう変化していくのかを見守る、母のような責務なのかもしれない。


