食&酒

2026.08.26 14:45

1本440万円、50年熟成ウイスキーを託された女性──「オールドプルトニー」200年をつなぐ仕事

スコットランド最北端の港町で1826年に創業。“海のモルト”として知られるシングルモルト・スコッチウイスキー「オールドプルトニー」は今年で創業200周年を迎える。これを記念して、蒸溜所史上最高齢となる「オールドプルトニー50年」を世界200本限定でリリース。果たして1本440万円のウイスキーの味わいとは? マスター・オブ・ウイスキー・クリエイションのサラ・バージェスに聞く。


ウイスキーの原料は、と聞かれたら? 大麦などの穀物と酵母、水……などと、多くの人が答えるであろうが、筆者はそこにひとつ「時間」を付け加えたい。蒸留を終えたばかりの原酒は無色透明で、アルコールの刺激も強く、私たちが知る琥珀色のウイスキーとはまだずいぶん違うもの。それが樽に詰められ、木とゆっくり呼吸するように年月を重ねることで、色をまとい、香りや味わいを複雑にしながら、少しずつまろやかに熟成されていく。

当然ながら、10年のウイスキーには10年、30年なら30年という歳月が必要なわけで、どれほど技術が進歩しても、その時間を一足飛びにすることはできない。ましてや50年ともなれば、蒸留した人と、その酒を完成させる人が同じとは限らない。ウイスキーとは、時間によって育てられ、ときに世代を超えて受け継がれていくお酒なのだ。

「上質なウイスキーには時間による熟成が不可欠。では長く寝かせればいいのか、というと、そんなに単純なことでもありません。樽の種類や状態、原酒との相性、環境などによって熟成の進み方は異なるので、どこがその樽のピークであるか見極めるのも、つくり手の重要な仕事です」と語るのはサラ・バージェス(以下、サラ)。スコットランド最北端の港町ウィックで、200年にわたりウイスキーをつくり続ける「オールドプルトニー」のマスター・オブ・ウイスキー・クリエイションを務めている。

「オールドプルトニー」でマスター・オブ・ウイスキー・クリエイションを務めるサラ・バージェス。
「オールドプルトニー」でマスター・オブ・ウイスキー・クリエイションを務めるサラ・バージェス。

30年、50年──時間が磨いた“海のモルト”

「オールドプルトニー」はスコットランド北東部の北海に面した町ウィックで1826年に創業。19世紀のウィックは、ニシン漁で大いに栄えた港町であり、「オールドプルトニー」もまた、海とともに生きる町の歴史のなかで育まれてきた背景から、潮風を感じる風味が特徴的。The Maritime Malt(海のモルト)とも称されているスコッチウイスキーの蒸溜所だ。

左:海沿いの蒸溜所ならではの微かな塩気やコクが調和した味わいが魅力となる「オールドプルトニー」。右:スタンダードな「オールドプルトニー12年」
海沿いの蒸溜所ならではの微かな塩気やコクが調和した味わいが魅力となる「オールドプルトニー」。右はスタンダードな「オールドプルトニー12年」
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text and edited by Miyako Akiyama

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