2023年の上場を機に広告依存からサブスク型モデルにかじを切ったアイビス。AIの「カンブリア紀」に、進化が止まらない最新機能で攻勢をかける。グローバルな次世代クリエイティブプラットフォームへの飛躍を目指す。
お絵描きアプリ「ibisPaint」を提供するアイビスは、月間アクティブユーザー(MAU)4007万人に達し、日本製アプリとしてトップクラスのグローバル展開を実現している。
これまで国内企業向けのシステム受託開発などのソリューションビジネスが売り上げの牽引役だった同社だが、アプリの大ヒットを経て、足元では広告依存からサブスク事業へとビジネスモデルの大きな変貌を遂げている最中だ。ストック型のサブスク転換による収益の安定化が市場から評価され、2023年3月の上場時の公開価格から直近の株価は約415%上昇。純利益は、上場前から5期連続で過去最高益を更新し、25年12月期は8億4900万円に達した。
生成AIの台頭という激変期を追い風に、最新機能の投入でさらなる成長を目指すなか、この巨大なアクティブユーザー基盤をどう収益化させるのか。
──収益が伸びている要因と、ibisPaintの競争力をどう分析しているか。
神谷栄治(以下、神谷):もともとデジタルで本格的に絵を描くにはパソコンや専用タブレット、ソフトウェアなどコストがかかったが、2011年のiPad版「ibisPaint」のリリースをきっかけに、タブレットやスマホで指一本から無料で始められるようになり、そのハードルが一気に下がった。コロナ禍の巣ごもり需要と海外展開が重なり、月間アクティブユーザー(MAU)は4007万人に達する。日本製アプリとしてはトップクラスの規模だ。
我々は23年の上場と同時にサブスクリプション型へとビジネスモデルを転換した。アクティブユーザーの伸びが鈍化するタイミングで、売り上げの8割を占めていた広告モデルから一気にかじを切るという大胆な決断だった。有料アプリであれば莫大な広告費をかけてユーザーを獲得しなければならないのに対し、4000万人に向けて広告費ゼロでサブスクをPRできる。さらに月額300円という低価格に設定した。それらの効果は上場して3年連続の高い伸びとして表れたほか、直近の26年12月期の第1四半期はサブスク課金売上が前年同期比69.3%増の4.1億円と過去最高を更新し、ついにサブスク売り上げが非サブスク売り上げを逆転した。
──ユーザーの9割以上が海外だが、世界各国で支持される理由は。
神谷:上場前後をグローバル市場の開拓期間と位置付け、現在では200以上の国や地域にユーザーが広がっている。累計ダウンロード数は昨年末5.2億件に上るが、日本が占める割合は1割にも満たない。ユーザー数が最も多い国はブラジルで約4848万件と、米国の約4764万件を上回る。次いで、ロシア、インドネシアと続く。上位に並ぶ国・地域は、日本のアニメ・マンガが人気で、ややオタク寄りの文化がはやっている傾向があると分析している。ユーザーがSNSで作品を発信し、それを見た仲間がダウンロードするという口コミで、広告費を一切かけずにグローバルに展開できている。当社の公式YouTubeアカウントの登録者数は300万人を超えており、おそらく法人の製品アカウントとしては日本トップクラスだ。
さらにα・Z世代の創作需要も取り込んでいるのも強みだ。25歳未満ユーザー比率(日米2カ国)は44.1%に達する。基本機能は無料で誰でも気軽に始められることが、若年層から支持される要因だろう。



