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2026.08.12 09:30

OpenAI、攻撃向けAI「GPT-5.6-Cyber」展開開始──安全性フレームがビジネスモデルに

Iliya Mitsk - stock.adobe.com

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米国時間8月7日、OpenAIは開発中のモデル「Astra」について、安全指針Preparedness Frameworkが定める最上位「Critical」というサイバー能力に達している可能性を否定できないと公表した。強化した管理要件を満たさない社内作業は止めた。その3日後、同社は攻撃実務に使える水準のハッキングモデルを商品として売り出した。

2つの動きは矛盾して見える。檻に入れたモデルと市場に出したモデルを何が隔てているかが分かるまでは、そう見える。分けているのは能力差ではない。審査書類である。

8月10日、OpenAIはセキュリティ向けプログラム「Daybreak」を2つの階層(ティア)に分けて拡張し、エクスプロイト(脆弱性攻撃)検証や脆弱性調査、レッドチーム(擬似攻撃)演習に向けて設計したGPT-5.6-Cyberを公開した。アクシオスはこの発表を報じ、最も重要な事実を書き添えている。Astraを社内で足止めさせた同じ安全指針Preparedness Frameworkの下で、新モデルは「High」というサイバー閾値に位置づけられた。

Daybreak Blueは入り口、Daybreak Redだけが攻撃用モデルを開く

Daybreak Blueは二つの階層のうち下位にあたる。正規の防御(ディフェンダー)業務に当たっているとOpenAIに認められた担当者は、標準モデルGPT-5.6 Solを、防御作業向けに安全装置を調整した状態で使える。認定にあたっては本人確認と利用目的の申告が求められる。想定する作業脆弱性検出、マルウェア解析、インシデント対応、そして修正パッチが実際に効いているかどうかの確認である。

Daybreak Redは上位の階層にあたる。攻撃者に先を越される前に穴を見つけるため、守る側が攻撃と同じ手法で自社システムを突く研究に使う。ここで初めてGPT-5.6-Cyberが使えるようになり、認定の条件も一段と厳しくなる。

2つの階層を隔てる差は小さくない。エクスプロイトチェーン(連続的な攻撃)の構築、認証バイパス、権限昇格などを含む要求に対し、GPT-5.6-Cyberは95.0%を完遂する。安全装置を効かせた標準モデルは1.5%、Daybreak Blue経由でも2.0%にとどまる。前世代のGPT-5.5-Cyberは57.3%だった。

記録された試験の1つでは、社内向け管理画面に対するWebSocketの認証バイパスを課したところ、動くコードを出したのは新モデルだけだった。ほかの構成はすべて拒否している。GPT-5.6 SolとGPT-5.6-Cyberは同じHighという能力評価を受けている。2.0%から95.0%への跳ね上がりが示すのは、基盤システムに何ができるかではなく、OpenAIが利用者ごとに何を解錠するかである。

JavaScriptエンジンV8で未知の脆弱性を2件見つけ、1件はすでに修正

これは研究室の実演ではない。実在するソフトウェアに放たれたGPT-5.6-Cyberは、ChromeのJavaScriptエンジンV8で未知の脆弱性を2件見つけた。二つはつなげるとメモリーを破壊し、V8のヒープサンドボックスから脱出できるものだった。グーグルは1件目を修正しCVE-2026-15903を割り当てた。2件目は協調的な開示手続きの途中にある。広く使われているモバイルOSでも、権限昇格へつながる連鎖を見つけている。

Astraを隔離環境へ押し込んだ能力が、1段下では申し込み手続きの付いた商品になっている。

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