ロシア軍はこのほど、飛来するFPV(一人称視点)ドローン(無人機)を撃ち落とす戦車用の新型アクティブ防護システム(APS)を、ウクライナで初めて実戦使用した。高速の飛翔体を発射してドローンを破壊するAPS「Arena-M(アリーナ-M)」を装備した戦車が、ウクライナ東部ドネツク州マヤク村付近での強襲に投入された。
この強襲自体はこれまでの試みと同様に失敗し、大きな人的損害を出した。一方でアリーナ-Mについては、成功を収めたという評価が一部のアナリストから出ている。ウクライナの現在の戦線はおおむね膠着状態に陥り、車両は発見され次第すぐに破壊されているが、彼らはこのAPSの登場は戦車と機動戦が復活する予兆かもしれないとの見方を示している。
はたしてロシアの新たなAPSは成功したのか、それとも失敗したのか。同じ戦闘について、大きく異なる解釈が示されているのはなぜなのか?
First combat use of T-72B3A tanks with the Arena-M APS, modernized to counter FPV drones, ended unsuccessfully. Video from CSP “Omega” shows footage of a T-72B3A tank being hit in the rear — the APS failed to activate.
— Andrei_bt (@AndreiBtvt) July 23, 2026
2 tanks (1 with Arena-M APS and one with “Mangal”) were… pic.twitter.com/KiaQX4Kp5V
アリーナAPSとは
APSは、爆発反応装甲(ERA)ブロックが進化したものと位置づけられる。ERAは被弾すると爆発し、それによって成形炸薬弾頭の効果を妨げ、装甲への貫徹を防ぐ。1990年代のチェチェン戦争で、ロシア軍は携行式の対戦車兵器によって大きな損害を被った。そこで、飛来してくる弾薬を探知し、迎撃するために導入されたのがアリーナAPSだった。
このAPSは、戦車の外側に配置されるレーダーセンサー類、コンピューター制御システム、迎撃弾を収めた発射装置という3つの要素で構成される。飛来してくる脅威、より具体的に言えば、時速約240~2400kmで移動する物体を自動的に追跡する。自軍側から飛んでいく弾や、戦車に脅威を与えない至近弾、鳥や小型の飛翔体などは、疑似目標と識別して迎撃対象から排除する。実際の脅威が約50m以内まで接近してくると、迎撃ロケット弾を発射する。
26発の迎撃弾は防護範囲が少しずつ重なるように配置され、全体で360度全周を防護する。各迎撃弾は脅威の近くで起爆し、破片を密集した指向性のある形で散布して目標を破壊する。初期型アリーナは360度全周をカバーしていなかったが、後継型のアリーナ-Mでは、トップアタック(上方からの攻撃)を含め、あらゆる方向からの攻撃に対応できるようになった。この新型アリーナはさらに、脅威を破壊できる可能性を高めるため、迎撃弾を一度に2発発射する。メーカー側は2021年、アリーナ-Mは米国製の「ジャベリン」を含む「西側製の対戦車ミサイルすべて」に対して防護能力を持つと主張した。



