欧州

2026.08.12 10:00

ドローンを撃墜する戦車用「アクティブ防護」、ロシア軍が実戦投入 装甲攻撃復活の切り札になるのか?

アクティブ防護システム(APS)「アリーナ-M」(右上の黒く見える部分)を搭載したロシア軍のT-72B3A戦車とみられる車両。ウクライナ国家親衛隊の特殊任務センター「オメガ」が2026年7月24日にテレグラムに投稿した動画から

ここで指摘しておくべきなのは、ウクライナ側の戦車の場合も、敵のFPVドローンの射程内に入ったものは撃破される可能性が高いということだ。米国から供与された重装甲のM1エイブラムス戦車でさえ例外ではない。大きな違いは、ロシア軍の戦車の場合、最初の装甲貫通弾を食らっただけで搭載弾薬が誘爆し、乗員が即死する可能性があるのに対して、西側製の戦車は格段に生存性が高く、複数回の被弾に耐えられ、乗員は車両が撃破される前に脱出するチャンスがあるという点にある。ウクライナの各部隊も、車両に各種ケージなどの構造物を追加している。とはいえ、いずれも亀戦車の甲羅のような大掛かりなものではない。

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アリーナ-Mも、現場で急造された装甲と似たような効果にとどまるように見える。FPVドローン攻撃の一部を食い止めることはできても、無敵になるわけではない。また、少なくとも一部のケースでは、アリーナはまったく機能しなかった。

アクティブ防護システムには、発射できる迎撃弾の数という制約がある。アリーナは26発搭載し、2発ずつ発射されるようだ。画像からは、撃破されたロシア軍車両の1両が、ある方向からの攻撃を防護するための迎撃弾を撃ち尽くしていたことが確認できる。戦車専門ウェブサイト「BTVT」のアナリスト、Andrei_btはXへの投稿でこう指摘している。「最新式アリーナの装弾数は現代の戦場の現実に見合っておらず、それを増やすことはいくつかの理由から不可能だ。弾薬をさらに搭載すれば、エンジン区画のハッチが単純に開かなくなってしまう」

第二次世界大戦からの教訓

戦車の装甲と対戦車兵器の間の開発競争は、戦車が実戦投入されて以来、連綿と繰り広げられてきた。なかでも競争が激しかったのは第二次世界大戦中だ。

1940年にドイツがフランスに侵攻したとき、ドイツ軍の戦車の大半は、前面に13mmかそこらの鋼鉄製装甲を備えたI号戦車(パンツァー1)かII号戦車(パンツァー2)だった。これらに加え、前面に30mm程度の装甲を備えたIII号戦車(パンツァー3)やIV号戦車(パンツァー4)も一部配備されていた。

その後4年の間に、対戦車砲は、1940年に一般的だった20mm砲や37mm砲から、50mm砲、75mm砲、さらには高初速の76.2mm砲(17ポンド砲)へと発展した。それに応じて、戦車の防護も改良が施されていった。

1944年、Dデイ(ノルマンディー上陸作戦開始の6月6日)時点で、連合国軍が遭遇する可能性が高い戦車は、前面に75mmを超える装甲を備えたV号戦車(パンツァー5)パンターか、100mmを超える装甲を備えたVI号戦車(パンツァー6)ティーガーになっていた。これは、M4シャーマン中戦車に乗る米軍戦車兵にとって厄介な問題だった。シャーマンの75mm砲では、実戦条件下でティーガーの前面装甲を貫通できなかったからだ。この種の兵器は、初期のドイツ軍戦車なら一撃で無力化できただろうが、ティーガーに対しては何発撃っても前面装甲を撃ち抜けなかった。米軍の戦車兵は実地で学び、ティーガーの側面に回り込み、装甲がより薄い側面を狙うようになった。あるいは、より強力な砲を搭載した「ファイアフライ」シャーマンが英国から届くのを待った。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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