「アリーナ-M APSは有効性を実証し、今後、改良される可能性が高い」とリーはXに書いている。さらに「装甲車両を再投入するうえで部分的な解決策になり得る」との考えも示している。
リーは以前、戦車1両を撃破するにはFPVが「10機以上」必要になることもあると米誌フォーリン・ポリシーに述べていたが、現在はAPSによって防護能力は大幅に向上するとみているようだ。
その見方が正しいとすれば、たいへん大きな進展ということになる。しかし、APSを搭載した戦車がこれから大量に戦場を疾走するようになると考えることには、なお懐疑的にならざるを得ない理由がいくつかある。
亀、ヤマアラシ、その他の怪物
FPVドローンは、戦車にとって新しいタイプの脅威だ。ジャベリンのような従来の対戦車誘導ミサイル(ATGM)と異なり、FPVはきわめて安い。ジャベリンが1発20万ドル(約3200万円)するのに対して、FPVは500ドル(約8万円)程度しかせず、しかも膨大な数が生産されている。ウクライナは今年、ドローンを700万機供給することを目指しており、その大部分がFPVドローンだ。また、ATGMへの従来の対抗手段、たとえば煙幕、掩蔽(えんぺい)物の背後への迅速な機動、発射陣地の制圧といったものは、単純に言ってFPVドローンに対しては機能しない。
FPVドローンがウクライナの戦場で急速に最大の戦車キラーになるなか、戦車の乗員はあらゆる対抗手段を試みてきた。戦車の上部に溶接して取り付け、FPVドローンが車両本体に直撃するのをそらしたり、妨げたりするフレーム構造の「コープケージ」は、次第に大掛かりなものになっていった。その究極の発展形が、2024年初めに出現した、金属製の殻で車両全体を覆う巨大な「亀戦車」あるいは「移動式納屋」である。
亀戦車は地雷除去ローラーを装着し、電波妨害装置(ジャマー)も山盛りに積んで、装甲車両による突撃の先頭に立った。その「甲羅」は実際、ある程度の防護効果をもたらし、撃破するのにより多くのFPVドローンが必要になった。なかには30機ほどを要したものも知られる。だが、ほどなくしてFPVドローンの操縦士は亀戦車への対処法を学び、最終的には、せいぜい以前より数機多くFPVを命中させれば阻止できるようになった。
2024年末、新たな発展形が登場した。金属製のワイヤーなどのトゲで車両全体をびっしり覆い、攻撃してくるドローンを串刺しにする、これまた奇っ怪な「ヤマアラシ戦車」である。この仕様の車両もやはり突撃を先導し、当初は撃破するのが難しいものもあった。ある車両は、仕留められるまでに約60機ものFPVドローン攻撃に耐えた。
Ukraine’s 28th Mechanized Brigade repelled a Russian assault near Toretsk. The attack involved a so-called “Tsar Tank” with a mine roller. Around 60 FPV drones were needed to destroy it due to reinforced armor and lack of obvious weak points. Footage shared by DeepState. pic.twitter.com/bA6NcY9uVF
— WarTranslated (@wartranslated) July 11, 2025
とはいえ、ヤマアラシ戦車の場合もまた、当初の衝撃が収まると、FPVドローンの操縦士は対処する戦術を編み出していった。最終的には、ヤマアラシ戦車も亀戦車と同じく、不死身ではないことが明らかになった。


