トークンが収益になる企業と、費用になるMeta
市場が繰り返し見落としている計算式から始めよう。単体のモデルが製品として成立するのは、誰かが対価を払って動かすときだけだ。OpenAIとAnthropicが数千億ドル(数十兆円)規模でで評価されているのは、彼らのモデルへのアクセスがビジネスそのものであり、トークン1つ1つが売上になるからである。Metaにとって、トークンは費用だ。
「モデルをローカルで実行することで、インターネット接続の有無にかかわらず、いつでもどこでもAIを利用できるようになります。」
Metaの発表文にあるこの1文は、機能説明のように読める。しかし、競争戦略として読んだほうが、はるかに腑に落ちる。
収益源は広告とハードウェア、スマートグラスは700万本
MetaはAIモデルへのアクセスを売っているわけではない。売っているのはアテンション(注目)、広告、そして次第に存在感を増しつつあるハードウェアだ。同社のRay-Banスマートグラスは2025年に700万台超を販売し、前年の3倍となった。
無料で実用に足るモデルがユーザー自身のシリコン上で走れば、アテンション・広告・ハードウェアという収益源すべてへ燃料を注ぎ込みながら、ライバルが販売に頼る層には一切課金しないで済む。Metaが収益源にしていないモデル層を無償のコモディティー部品に変えてしまえば、競合がそこで稼いでいる以上、金をかけずに対抗できるようになる。
2000年のグーグルと同じ賭け、基盤層を握る側に回る
これは2000年のグーグルが残した教訓を、新しい標的へ向け直したものだ。当時懸念されたのは、検索がコモディティーと化し、価値はその上に築かれるアプリケーションへ流れていくという筋書きだった。
実際には、グーグルがあらゆるものが依存する基盤の層を握り、その上に載る事業を少しずつ飲み込んでいった。Metaは異なる立場から同じ賭けを打っている。データと配信面を押さえているからこそ、モデルそのものを無償の補完財として扱い、真の資産が持つ価値を一段と高められる。


