「ヒューマンプレミアム」を高める5つのスキル
つまり、これからのキャリア上の優位性は、人間対機械という構図ではない。機械が苦手なことに高度に熟達し、機械が得意なことには機械を活用する力である。以下に、今後「人間プレミアム」を高める可能性が高い5つのスキルを挙げる。
1. 判断力
AIは可能性を生み出すことができる。だが、どの可能性に意味があるのかを決めるのは、なお人間である。この違いは、企業が顧客、従業員、戦略、採用、資金に関わる意思決定にAIを組み込むにつれ、さらに重要になる。
AIシステムは、200ページに及ぶ市場調査を数秒で要約できるかもしれない。だが、その市場に参入すべきなのか。マネジャーは従業員を解雇すべきなのか。CEOは買収に踏み切るべきなのか。医師は通常とは異なる推奨を信頼すべきなのか。そうした判断には、文脈、結果、価値観、説明責任が必要である。
判断力とは、統計的または論理的には正しく見える答えが、その状況では誤りであると見抜く力を意味する。これは、AIがもたらす職場の大きな皮肉のひとつになり得る。機械がより多くの答えを提供するほど、どの答えを信頼すべきでないかを知る人の価値が高まる可能性があるからだ。未来のスター社員は、AIから最速で答えを得る人ではないかもしれない。その答えに基づいて行動すべきかどうかを見極められる人である可能性がある。
2. コミュニケーション力
過去において、コミュニケーションはビジネス能力ではなく、個人の性格や個性の問題として軽視されることがあった。機械が報告書、メール、スプレッドシート、戦略文書をほぼ瞬時に作成できるようになると、情報を生み出すだけでは以前ほど評価されない。その情報が何を意味するのかを説明し、人々に行動を促す力の価値が高まる。
管理職はなお、悪い知らせを伝えなければならない。営業担当者は、顧客がためらう理由を理解しなければならない。リーダーは、不人気な決定を説明しなければならない。同僚は、誤解が対立に発展する前に解消しなければならない。
AIは文章を組み立てる手助けはできる。だが、人間関係に対する責任を引き受けることはできない。LinkedInの最新スキルデータで、ステークホルダーや経営層とのコミュニケーション、パブリックスピーキング、協働への需要が高まっている理由のひとつはそこにある。AI時代の職場において、コミュニケーションは単に情報を伝達することではない。人と人との間に理解を生み出すことである。
3. 好奇心
AI時代のキャリア上の優位性として最も過小評価されているもののひとつは、何を問うべきかを知る力かもしれない。AIは驚くほど多くの質問に答えられる。だが、あなたの組織にとってどの質問が最も重要かを、必ずしも知っているわけではない。
好奇心のある従業員は、前提に異議を唱える。顧客が離れている理由、ある部署が別の部署を一貫して上回る理由、あるプロセスが存在する理由、あるいは会社が間違った問題を解いているのではないかを問う。答えが安価になるとき、好奇心が重要でなくなるのではなく、むしろ重要性を増す理由はそこにある。
世界経済フォーラムは、今後数年で重要性が増すと見込まれるスキルの中に、好奇心と生涯学習を挙げている。歴史的に、専門家とは最も多くの答えを持つ人だった。ほぼ誰もが瞬時に答えへアクセスできるAI時代の職場では、専門性はよりよい問いを立てられる人にますます宿るようになるかもしれない。


