多くの企業がAIに投資している。だが、それが実際に成果を上げていると証明できる企業ははるかに少ない。
MITの調査によると、生成AIプロジェクトのうち実質的なリターンを生み出しているのはわずか5%にとどまる。ガートナーは、ビジネス価値が不明確であることを理由に、2027年までにプロジェクトの40%が中止されると予測している。一方、BCGによれば、AIから継続的に大きな価値を生み出せる段階に達している企業は世界全体で5%にすぎない。
これらの数字は、かなり厳しい現実を示している。それでも一部の企業はすでに、AIを活用してコストを削減し、収益を増やし、顧客体験を改善し、ほかの方法では極めて対処が難しかった問題を解決している。
では、そうした企業は何が違うのか。
ウォルマートやIKEAからバンク・オブ・アメリカ、UPSまで、AIから測定可能な価値を生み出している8社と、その成功が他社に示す教訓を紹介する。
ウォルマート
米小売大手のウォルマートは2024年、商品チームに生成AIツールを導入した。目的は、商品カタログの品質を高めることだった。これは、顧客が購入可能な商品を検索する支援から物流や在庫管理まで、あらゆる用途に使われる社内データベースである。この取り組みでは、8億5000万件のデータポイントを作成または更新する必要があった。手作業で完了するには、チームの規模を10倍に拡大する必要があった。AIのおかげで作業は期限内に完了し、店舗とオンラインの双方で顧客体験と従業員体験の向上につながった。
オクトパス・エナジー
英国のエネルギー供給会社オクトパスは、同社のKrakenプラットフォームを通じて複数の生成AI施策を展開している。その一つが、定型的な顧客サービス問い合わせに対応するために構築された自律型エージェントプラットフォーム「Arlo」だ。Arloは顧客満足度を73%から76%に引き上げたとされる。Arloやその他の生成AIプロジェクトの成功を受け、同社はKrakenを独立事業体としてスピンアウトした。Krakenは他のエネルギー企業にAIサービスを提供し、2025年に4億2200万ポンドの収益を生み出したとされる。
メルカドリブレ
ラテンアメリカ最大のEC事業者であるメルカドリブレは、OpenAIのGPT-4を基盤に構築したツールを使い、オンラインの商品リスティングに潜む詐欺や偽造品の可能性を審査した。同社のシステムは、掲載されたすべての商品について5000以上の変数と照合し、1秒未満で真正性を判断する。これにより、顧客をオンライン詐欺や偽造品購入から守っている。この仕組みによって、同社は不正検知の精度をほぼ99%にまで高めた。別の生成AIシステムにより、同社は2年間で商品をカタログ化する速度を100倍に引き上げることもできた。
ドアダッシュ
米国最大の食品配達プラットフォームであるドアダッシュは、AWSと連携し、顧客、加盟店、配達ドライバー向けの音声起動型ソリューションポータルを構築した。同社が解決を目指した具体的な問題の一つは、ドライバーが業務中に配達を止めることなく支援にアクセスできるようにする必要性だった。この取り組みにより、人間のオペレーターへの転送が必要な通話件数を49%削減した。Customer Connectシステムは現在、セルフサービスポータルを通じて毎日数十万件の通話を処理しており、前年比で300万ドル(約4億7600万円)の運用コスト削減を達成したとされる。



