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キーストーンXLパイプライン計画の反対集会 (Rena Schild / shutterstock)

キーストーンXLパイプライン計画を推し進めるトランスカナダは、オバマ政権による認可拒否に先んじて申請を取り下げた。「本質的に、地球の終わりを意味する」と『ニューヨーカー』誌が評したこの計画に反対してきた環境保護団体は、申請取り下げを勝利と見なしている。

政府の決定が遅れたのは、たしかに環境保護団体のおかげだが、彼らが勝利を収めることができたのは、より影響力のある勢力によるところが大きいだろう。すなわち、市場である。大統領執務室の考えを読めると豪語するつもりは毛頭ないが、水圧破砕法ブームの最中には、このプロジェクトに悲観的な見方をする声が聞かれなかったことは、注目に値する。悲観的な声が聞かれ始めたのは、アメリカの非在来型エネルギー産業がこの国を不況から救い出し、やがてはエネルギーの自立をもたらしてくれると広く考えられていた時期ではなく、ゴールドマン・サックスが1バレル20ドルという、ノースダコタのシェール田ばかりか、アルバータのオイルサンドにまでもブレーキをかけさせるレベルを予想した時だった。

情報通の大半は、カナダやバッケンにおける産油が、かつてほどではないにしても利益を生むレベルまで、原油価格は回復すると確信している。現在の価格は、一時的な供給過剰によるものと見られているのだ。おそらくは正確な見方と言えるだろう。しかし、原油価格はこのところ予測通りには推移しておらず、現在の価格レベルでは、これほどの規模のインフラストラクチャーを今すぐに建設する意味があるのかという疑問が拭えない。インフラストラクチャーには、次のような財政上の問題があるからだ。インフラストラクチャーは資本集約的で、ビジネスモデルは通常、非常に長期にわたる経済的利益を必要とするのである。

従って、長期にわたるテイク・オア・ペイ契約が不在であれば、商品相場のリスクが、インフラストラクチャー投資家の興味を完全に失わせる。原油価格が100ドルを超えていた頃なら、カナダの石油ビジネスが休止状態に陥るリスクなど、ごくわずかに見えた。だが現在は、巨額のインフラストラクチャー投資を償却するのに要する20年から30年の間に、そういった事態も起きかねないように見える。

北米の非在来型石油業界が、再び収益を上げる70ドル前後にまで原油価格が戻れば、キーストーンは政府の許可をもう一度求めるだろうと、私は予想している。だが、環境保護団体には、こう言っておきたい。二酸化炭素を地中に留めておく最良の方法は、ロビー活動に精を出すことではなく、費用効率の高いエネルギーを開発することだ。市場はたいてい勝つのだから。

編集 = Forbes JAPAN 編集部

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