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2026.08.11 12:11

AI時代の電力を担うのは直流か?高密度コンピューティングの新たな選択肢

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私は先日、カンヌで開催されたDatacloud Global Congressのパネル討論に参加し、以前から議論が高まっていた問いについて討議した。明日の高密度コンピューティング需要により適しているのは、AC(交流)電源なのか、それともDC(直流)電源なのか、という問いである。

もちろん、その答えは状況による。だが、私が強く感じたのは、この議論がどれほど前進したかという点だ。少し前まで、データセンター業界におけるDCはなお大部分がニッチな存在だった。興味深いアイデアではあるが、まだ切迫したものではなく、通信事業者の領域にとどまっていた。現在、業界は未来に向けて足並みをそろえようと懸命に取り組んでいる。議論はもはや、DCが正しい方向なのかどうかではない。いま問われているのは、DCがどの程度広く採用されるのか、どれほど速く普及するのか、そして需要に応えるのに十分な速さで課題を克服できるのか、である。

DCを採用する論理的根拠はすでに十分に確立されているため、ここで簡単に要約しておこう。現在の送電網からチップに至る従来のAC経路には、受電用変圧器、UPS(無停電電源装置)の二重変換、PDU(分電盤)の降圧、そしてサーバーのPSU(電源ユニット)といった複数の変換段階が存在し、それぞれの段階でエネルギー損失が発生している。DCテクノロジーを導入すればエネルギー効率が向上する。その割合はわずかであっても、データセンターが数百メガワット規模に拡大する場合には大きな意味を持つことになる。

効率に加え、DCシステムでは銅の使用量が最大50%少なくて済むとDC-Industryプロジェクトは指摘している。800 V DCでは、同じ線径のケーブルで415 V ACより15%多くの電力を送れる。DCはまた、追加のAC変換段階をなくすことで、再生可能エネルギーや蓄電池の統合を簡素化する。これは、炭素削減目標を掲げる事業者にとって構造的な利点である。さらに、部品点数が少なく、相バランス調整機器も不要なため、DCアーキテクチャは複雑性を低減し、潜在的な障害点を最小限に抑える。

しかし重要なのは、どこへ向かうべきかを理解していることと、そこへ到達する準備ができていることは、別の課題だという点である。

いま解決すべきこと

DC電力インフラは今後2〜3年以内に必要になると見込まれる。そのためには、難しいエンジニアリング上の課題とエコシステム上の課題を解決する必要があり、いま着手しなければならない。

規制と標準

DC保護規格はIEC市場にすでに存在し、急速に進化している。例えばIEC 60947-10は、半導体ベースの遮断器に関する国際的な枠組みを提供している。方向性は明確だ。より大きな調和、規制の明確化、一貫した安全性の枠組みに向かっている。しかし、その勢いはいま、より大きな規模へと転換される必要がある。北米はデータセンターの成長が最も大きい市場であるため、同等のUL規格が策定中であり、移行を加速するには早急に必要とされている。広く受け入れられる標準を確立することは、事業者に投資への確信を与え、相互運用可能なDCインフラを確保するうえで極めて重要となる。

サプライチェーンの準備

800 V DCの部品は存在しているものの、開閉装置からバスバー、監視に至るまで、完全なDCデータセンターのサプライチェーンはまだ構築途上にある。概念実証から、経済的に製造可能な、堅牢で成熟した製品へ移行することは容易ではない。需要に応えるために生産能力は拡大していくが、それには数年を要する。

運用、安全性、リスク

DCをめぐる議論は、かつて効率に焦点が当たりがちだった。現在、私たちは運用上の影響について話している。世界の電気技術者は何十年にもわたりACを前提に訓練されてきた。DCでは、設計、設置、試運転、保守において新たな能力が求められる。アークの挙動、故障特性、絶縁要件、そのすべてが変わる。したがって、保護のあり方も変わる必要がある。

これは単なる技術移行ではなく、運用の移行でもある。そして、サイロ化して管理されるのではなく、1つのシステムとして統合的に制御されるインフラを必要とする。これこそ、私たちが日々顧客とともに解決している課題である。

現実的な移行とは何か

DCへの移行は一夜にして起こるものではないが、すでに始まっている。今後5年間で段階的な移行が進み、技術が成熟し標準が進化するにつれて、事業者はハイブリッド型のアプローチを採用していく可能性が高い。事業者や投資家は、現在の投資を危険にさらすことなく、この将来トレンドをどう捉えるかを見極めようとしている。これは容易ではなく、今日のためにどのような未来を構築すべきなのか、という問いを突きつけている。

初期段階はすでに始まっており、私たちが「DCサイドカー」と呼ぶものがそれに当たる。ITラックに隣接して配置される、局所的なACから800 V DCへの変換ラックである。これにより事業者は、EV充電業界ですでに確立された成熟した800 V DCサプライチェーンを活用しながら、電力密度を高め始めることができる。

最終的な目標集中型DC配電であり、こうした導入は2028〜29年になると見ている。これは、データホール全体に800 V DCのバスウェイを敷設し、プラグイン式のラック給電を行うものだ。より高密度な導入を可能にし、ラックごとの変換負荷を減らす。中電圧ソリッドステート変圧器(SST)が中電圧レベルでMVACからLVDCへ直接変換し、低電圧システム全体に800 V DCを配電するようになるだろう。これこそ、最大効率と再生可能エネルギーの完全な統合を可能にするアーキテクチャである。

技術とノウハウはすでに存在する

この移行には、中電圧の系統接続からデータホール内の低電圧配電に至るまで、電気のバリューチェーン全体にわたる深い専門知識が必要だ。また、システムレベルで設計しながら、部品レベルで革新する能力も求められる。

それこそがシーメンスの強みだ。DCは当社にとって新しいものではない。当社は何十年にもわたり、海事産業、eモビリティ、産業キャンパスでDC電力システムを設計してきた。データセンターは次のフロンティアだが、それは私たちが長年築いてきた基盤の上にある。

当社は最近、DCグリッドの重要な実現要素の1つである半導体遮断器技術を進化させるため、Infineonとの協業を発表した。Infineonのシリコンカーバイド電力モジュールを用いた当社の新しいSENTRON 3QD2半導体遮断器(SCCB)は、マイクロ秒単位の超高速故障遮断を実現し、従来の機械式遮断器と比べて最大1000倍高速である。この能力は、従来型の遮断器がDC故障電流の物理特性に対応するうえで課題を抱えるDC保護に不可欠だ。わずかな遅れであっても高額なダウンタイム、データ損失、高価なハードウェア損傷を招き得るAIデータセンターでは、その速度はあれば望ましいものではない。必要不可欠なものなのである。

これは、私たちがDC移行に向けて業界が必要とする技術を積極的に構築している一例である。未来の到来を待つのではなく、それを設計しているのだ。

DCが明日ACに取って代わるわけではない。しかし、AIファクトリーのように高密度コンピューティングが求められる場所では、DCが到達点となるアーキテクチャになりつつあることは明らかだ。

私たちは、その準備を進めている。

forbes.com 原文

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