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起業家

2026.08.11 12:04

投資家が「スピード重視」のAIネイティブ・フィンテック新興企業を支持する理由

stock.adobe.com

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かつては30人のエンジニアを必要としたものを、今やわずか2人の創業メンバーのチームで構築できるようになったことは、時代の変化を象徴している。そして投資家は、その変化をすべてのタームシート(投資条件合意書)に織り込み始めている。AIネイティブのフィンテックスタートアップにとって、スピードそのものがアピールポイントとなり、生き残りを左右する強みとなるケースがますます増えている。

Siftedによる欧州フィンテック分析によると、2026年上半期のAIネイティブ・フィンテックの取引件数は前年同期比で13件から50件へと284.6%増加し、資金調達額は3倍超の4億5300万ユーロに達した。Forbesの2026年版「Fintech 50」では、AIネイティブの新顔3社が初めて選出された。一方、欧州全体のフィンテック取引件数は10年以上ぶりの低水準に落ち込んだ。メッセージは明確だ。資金は、最も早く製品やサービスをリリースできるスタートアップに集中している。

求められるスピード

国境を越えた決済においてスピードが重要であるのは、遅延が現実世界に深刻な影響を及ぼすからだ。世界中で8億以上の世帯が、期日通りの送金に頼って生活している。小規模企業のオーナーは、従業員への支払いや事業継続のために迅速な決済を必要としている。企業間の取引においては、規制の迷路に支払いが滞ったり、外貨への両替に時間がかかりすぎたりすると、契約が決裂することもある。

AIはそうした決済網を加速させることができるが、新たなリスクを生み出す可能性もある。決済インフラ企業PaysendのグループCEO、ベン・チゼルが指摘するように、AIの誤った適用は裏目に出る恐れがある。「あらゆるワークフローの最適化を追求し、事業の広範な領域にAIを導入するという散漫なアプローチをとるフィンテックのリーダーは、AIが解決策よりも多くの問題をもたらすことに気づくだろう」と彼は言う。「金融の文脈では、それは回避可能で不要なリスクだ。たった1つの誤った判断が顧客に重大な影響を及ぼし、金銭的損失を負わせる可能性があるからだ」

投資家にとってのスピードの価値

投資家は今、スピードとAIによるレバレッジをタームシートに明示的に織り込んでおり、フィンテック企業のチーム構築やロードマップの優先順位づけを変えつつある。それでもチゼルは、多くの創業者がAIの働き方をなお誤解していると語る。「AIブームに飛びつくのは魅力的に見えるが、それは道を誤らせる」と彼は言う。「『トークンマキシング(AIモデルのトークン消費を最大化すること)』がいかに早く流行遅れになったか、そして投資家に好印象を与えようとして、どれほど多くの資金が無駄に使われたかを見ればいい」

Paysendの採用方針を形づくっているのは、チゼルのエンジニアリングとデータサイエンスの経歴だ。「私は、曖昧なプロセスを監督するマネジャーではなく、問題解決者を探している」と彼は言う。「採用判断を下す前に、私たちは何を求めているのかを正確に理解することに力を注ぎ、極めて精密で詳細な職務記述書を書き、その分野で卓越した人材を市場から徹底的に探し出す」

コントロールされたAIの導入

その規律は、Paysendが社内でAIを展開する方法にも及んでいる。同社は、アクセス権を最も技術に精通した従業員、すなわち決済ワークフローを深く理解している人材に限定し、成果が実証されてから初めてアクセスを拡大している。

「このアプローチの成果として、プロダクトチーム向けにエンドツーエンドで機能を構築するエージェント、数千の送金経路(コリドー)から最良の機会を見つけ出すグロースエージェント、クライアントにとって最大の機会を特定するアカウントマネジメントエージェント、そして損益と顧客フィードバックの全体を把握して適切な成長計画を導き出すカントリーマネージャーエージェントが生まれている」とチゼルは語る。

雇用を増やさずに成長する能力

「人員数よりもスピード」は、フィンテック業界全体を貫くもう1つの重要なテーマになりつつある。関係性インテリジェンス・プラットフォーム「Crux Analytics」のCEO兼共同創業者であるジェイコブ・ベネットは、AIが小規模な貸し手と全国規模の銀行との間の競争条件を平準化していると考えている。

彼は次のように語る。「私が参加する圧倒的多数の業界カンファレンスで、誰かがJPモルガンのテクノロジー予算(現在、年間200億ドル(約3兆1700億円)近くに達している)を引き合いに出す。それに続く質問は『他の誰もがどうやって競争できるというのか』というものだが、より雄弁な数値は同じ発表の中に隠されている。

Chaseもまた、全米で1000人以上のビジネスバンカーを追加で採用している。なぜなら、小規模ビジネス向け融資における関係構築を制するのは、今でも人だからだ。最大手の銀行は人員数によって対応力を買い取っているが、AIは今や、小規模な金融機関に対し、誰も新規雇用することなくその対応力を構築する能力を提供している」

インフラの開発

2人のスタートアップ創業者が、かつて10倍のエンジニアを要した事業を構築できるとすれば、勝ち残るAIネイティブ・フィンテックを分けるものは何か。ベネットは、その答えは独自データとインフラにあると語る。「銀行がなぜ公開データをChatGPTにつなぎ込むだけで済ませられないのか、と常に聞かれる。私の答えはたいてい『やってみればいい』というものだ。結果は期待外れになる。モデルは、与えられる材料の質に応じてしか役に立たないからだ。独自データ、インフラ、そして生の情報を銀行員が行動に移せるものへと変換するシステム、こうしたレイヤーを構築することにわれわれは過去3年間を費やしてきた」

これに伴い、成功を測る指標も変化している。かつては人員数が進捗の代替指標であったが、現在の重要な指標は、従業員1人当たりの売上高や、顧客のフィードバックがどれほど迅速に実際の製品に反映されるかだ。投資家もこの変化に対応している。

「WhatsAppは従業員55人で160億ドル(約2兆5400億円)、Instagramは13人で10億ドル(約1590億円)で売却された。どちらの場合も、買収に値する企業にしたのは、その下に規律を築きながら、スタートアップとしてのスピードを保ち続けたことだった」とベネットは言う。「私が注目しているのはそのバランスであり、それはCrux以前から学んでいた教訓だ。自分の事業で朝に下していた意思決定に、フォーチュン500企業のチームは午後いっぱいを費やして考え過ぎていた」

スピードと柔軟性のバランス

あらゆる業界で、財務上の非効率性が依然として大きな課題となっている。ビジネスオーナーは、今でも請求書の回収に年間平均86時間を費やしている。AIはそのワークフローの大部分を自動化できる可能性があるが、その導入は遅れており、これが「Aria」のような企業に機会を生み出している。Ariaは、企業が期日通りに支払いを受けられるよう支援する、組み込み型の請求書ファイナンス・プラットフォームだ。2020年のローンチ以来、サプライヤー向けのスピードとバイヤー向けの柔軟性を両立させることで、同社は15億ユーロ以上の請求書を処理してきた。

「AIは適切なシナリオに適用されたときには効果的だが、そうでない場合には破壊的になり得る」と、共同創業者兼CEOのクレマン・カリエは語る。「ビジネスリーダーたちが批判的な目を失い、AIツールを新しくて輝かしいものとして捉え、スピードと効率性を求めてあらゆるものに導入したいという誘惑に負けてしまうリスクがある。しかし、一つのミスが数千、数百万の損失をもたらしかねない私たちの業界では、それは大惨事の引き金になる。支払遅延の解決においてスピードは究極の目標だが、正確性とセキュリティを犠牲にしてはならない」

それが実務において意味するのは、AIの活用に慎重になり、AIが最も得意とするものを理解することだ。Ariaの場合、AIがパターン認識に優れていることから、不正検出は極めて優れたユースケースとなっている。「その出力スピードと正確性は、人間が到底及ばないものだ」とカリエは言う。

フィンテック全体の取引件数が減少する一方で、AIネイティブ企業の調達額が急増する中、創業者たちは「より少ない人員で、より迅速に規模を拡大できる」という投資家の期待に応えるため、アピール方法を調整せざるを得なくなっている。カリエは、投資家が表面的なAIの主張に対してますます懐疑的になっていると指摘する。

「投資家はAIの過剰な期待に対して賢くなっており、ビジネスが本当にAIネイティブなのか、それとも既存のワークフローにAIツールを継ぎ接ぎしただけなのかを見極めることに、特に長けてきている」と彼は言う。「私たちは、単に導入すること自体を目的に社内全体にAIツールを展開しろという圧力に抵抗してきた。多くの投資家がこの決断を尊重するようになったのは、単なるチェックリストを埋めるような作業ではなく、テクノロジーに対する当社の規律あるアプローチが示されているからだ」

forbes.com 原文

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