フィンテック企業ブロック(Block)のジャック・ドーシーCEOは、他のCEOたちに光り輝く新たな免罪符を与えた。「AIのせいでこうなった」という言い訳だ。
ドーシーが4000人以上の従業員に影響が及ぶレイオフ(一時解雇)を発表した際、彼はその決定を「インテリジェンス・ツール」の論理的な帰結として位置づけた。AP通信によると、ドーシーは株主への書簡の中で、これらのツールが企業を立ち上げ、運営することの意味を根本から変えたと説明。ブロックが開発しているテクノロジーを活用すれば、大幅に縮小したチームでも、より多くのことを、より高い質でこなせるようになると主張した。
完璧なメッセージであり、雄弁な文章だ。戦略的に聞こえるし、不可避のようにも思える。先見の明があるようにさえ感じられる。
しかし、これは都合よく、より厳しい真実から目を背ける方法でもある。AIは不適切な決定を生み出すのではない。それを露呈させるのだ。
ブロックのレイオフと「AIウォッシング」の台頭
ロサンゼルス・タイムズ紙は、多くのリーダーが心の中で思いながらも口に出さない現象に「AIウォッシング(AI-washing)」という名前をつけた。同紙は、一部の企業が「醜いレイオフをごまかすための輝かしい言い訳としてAIを利用している」という冷ややかな見方が広がっていることを描写している。
言い換えれば、「私たちは過剰雇用したわけでも、人員管理を誤ったわけでもない。進化を遂げたのだ」ということだ。
元人事ディレクターとして、私はレイオフが業績管理(パフォーマンスマネジメント)の失敗を隠すためにいかに頻繁に使われているかを見てきた。リーダーに責任を追及し、早い段階で困難な決断を強いる代わりに、組織は経済的な圧迫によって決断を迫られるまで見て見ぬふりをする。こうしたパフォーマンスマネジメントへのアプローチは、不当解雇で従業員から提訴されるリスクを最小限に抑えようとする組織の間で主流となっている。
ブロックが大量解雇の衝撃を和らげようとした方法
X(旧Twitter)への投稿で、ドーシーは解雇された従業員に対する様々な支援策を概説した。これは、多くの企業が同様の状況に対処する方法と比べると、非常に手厚いものに思われた。
CNNによると、ドーシーは対象となる従業員に対し、勤続年数に応じて20週間以上の退職金、5月末までに権利が確定する株式、6カ月間の医療保険を提供し、さらに社用デバイスの譲渡や、転職活動を支援する一時金として別途5000ドル(約79万円)を支給すると述べた。
ブロックの寛大な退職金パッケージが、テック業界の新たな標準になるかどうかは未知数だ。それでも、この寛大さは、手厚い退職支援が、企業の成長、説明責任、そして人員計画に関するより厳しい議論を避けるための代替手段になっているのではないかという疑問を抱かせる。
残された従業員たちの社内生活
これまでにレイオフを生き延びた経験がある人なら、「幸運な一人」と呼ばれることが必ずしも安堵感をもたらさないことを知っているはずだ。それどころか、次の削減対象になるのではないかという不安を抱えて生きることになったり、自分よりも経験豊かな同僚が解雇される一方で自分だけが残留を許されたことに罪悪感を覚えたりするかもしれない。
身を粉にして働いてきた会社が、もはや以前と同じ会社ではなくなってしまったことに怒りを感じることもあるだろう。あるいは、交わされた約束が反故にされるかもしれないという不安を抱くかもしれない。
元ブロック従業員のナオケ・タケダは、自ら行動を起こした。ブロックでレイオフが発表された後、彼女のチームに残されたのはタケダ自身と、その3日前に入社したばかりの新人のみだった。タケダは計り知れない恐怖と「サバイバーズ・ギルト(生き残ったことへの罪悪感)」を感じたという。
タケダはLinkedInに次のように投稿した。
「私の勤務先であるブロックは、先週木曜日(2月26日)に従業員の40%を解雇しました。私は対象になりませんでしたが……大きな精神的影響(affected)を受けました。私は即座に退職を決意し、翌日の2月27日に会社を去りました。従業員の半分をサノスの指パッチンのように消し去ることができる企業に対して、私のような一介の個人コントリビューター(IC)が2週間前の退職予告をする必要はないと判断しました。私も簡単にその40%に含まれていた可能性があるからです」
タケダはさらに、自分に提示された引き留め用のボーナスが、75%の昇給(1回限りのボーナスを含めると90%)であったことも明かした。彼女は、同僚たちのトラウマから個人的に利益を得るくらいなら、彼らが仕事を続けられる姿を見たかったと付け加えた。
タケダは、ブロックではこの1年間、AIの導入が強力に推し進められていたと記し、その義務付けの結果として、個人的には生産性の向上をほとんど実感できなかったと指摘している。
言うまでもなく、タケダの状況は恵まれている。レイオフを免れた誰もが実際に会社を辞められるわけではないが、多くの人は在職しながら意欲を失う「静かな退職(クワイエット・クィッティング)」に陥ることになり、それが生産性に深刻な影響を与える。
戦略を装ったレイオフを避けるためにリーダーができること
「悪評であっても、評判にならないよりはマシだ」と考える人もいるが、私はそうは思わない。戦略を装ったレイオフを避け、自らが他山の石とならないために、リーダーができる3つの方法を以下に紹介する。
1. 業績問題を放置せず、早期に対処する
リアルタイムのフィードバック、明確な期待値、および業績不振に対するペナルティを欠く組織では、人員削減しか選択肢がないように思えるまで問題が放置されがちだ。リーダーに対して「やりにくい会話」の進め方を指導することは、もはや任意ではない。初期段階での率直な会話が、小さな問題を組織的な危機へと発展するのを防ぐため、極めて重要である。
2. 誤ったリーダーシップの決定に、AIを身代わりにすることをやめる
人材戦略の脆弱さ、過剰雇用、お粗末な計画、そしてリーダーシップの欠如が真の原因であるにもかかわらず、レイオフの理由としてAIが挙げられることが多々ある。テクノロジーが仕事の進め方を変える可能性はあるが、それによって人員配置の決定に対するリーダーの責任が免除されるわけではない。
自らの過ちをオープンにするリーダーは、信頼を維持し、場当たり的な人員削減を回避できる可能性がはるかに高い。企業は経営陣を厳しく見極め、今日の環境における管理職としての職務を果たせなくなっているリーダーを排除すべきである。
3. 財務的圧迫が高まる前にリーダーシップ開発に投資する
多くの組織は、従業員を半日のリーダーシップ研修に参加させただけで満足してしまう。リーダーシップ開発は一回限りのイベントではない。リーダーの育成は長期的な投資であり、正しく行われれば計り知れない見返りをもたらす。強力なリーダーは回復力(レジリエンス)を備え、どのような経済状況に直面しても乗り越えることができる。彼らは正しい意思決定を行い、競合他社と同じような「レイオフゲーム」に巻き込まれるのを防いでくれる。
戦略として枠付けされたレイオフがイノベーションを示すことはめったにない。最も投資する価値があり、最も付いていく価値のあるリーダーとは、雇用削減が唯一の選択肢となるはるか前に、早期の段階で困難な課題に取り組む人たちなのだ。



