エンジニアではなく「アーキテクト」
こうした変化は、人々の役割そのものを変えつつある。Atlas Motionは、自社のエンジニアを「エンジニア」とは呼ばない。
「我々は自分たちをアーキテクトと呼んでいる」とモーチェンは言う。「当社のエンジニアはシステムレベルの思考力に長けている。彼らは基本原則に基づいて設計を行うが、設計における困難な部分は当社のソフトウェアが担っている。彼らが実際に行っているのは、真に堅牢な製品を生み出すためにどのような情報や条件を与えるべきかを設計することだ」
このような変化は、急速に発展するAIエコノミー全体に見られる。役割の名称が「ビルダー」や「クリエイター」、「オーケストレーター」などへと変わり、個人が全てのタスクを手作業で行うのではなく、複数のAIエージェントやモデルを指揮するケースが増えている。
筆者が驚いたのは、こうしたトレンドがソフトウェアだけでなく、高性能な物理ハードウェアの領域にも及んでいることだ。
Atlas Motionが追求しているのは、改良を繰り返す際のコストを限りなくゼロに近づけることだ。部品供給の世界では、仕様の異なる製品を作るために生産ラインを切り替えるコストが非常に大きい。そのため、サプライヤーは決められた製品をカタログやSKU単位で販売する、硬直的なビジネスモデルになりがちだ。
Atlas Motionは、原材料の標準化とソフトウェア主導の生産ラインを組み合わせることで、切り替えにかかるコストを大幅に削減できると主張する。
「我々はイテレーションにかかるコストをできる限りゼロに近づけることで、一般的な部品サプライヤーには不可能な方法で事業を展開できている」とモーチェンは語る。彼によると、中国から調達するという選択肢が依然として存在するにもかかわらず、インドやポーランド、アフリカなどの顧客が同社から製品を購入しているのは、顧客の求める仕様に合わせた製品を、より短期間で、柔軟に調達できるからだという。


