米国時間8月10日、エヌビディアの株価は、約2.84%安の217.55ドルで取引を終えた。背景には、フィナンシャル・タイムズ(FT)の報道がある。エヌビディアが、ウォール街の大手金融企業と組んで5000億ドル(約79兆5000億円)規模となるAIインフラ資金供給枠を構築中だと報じられており、この構想をめぐって集中リスクへの懸念が浮上した。
ウォール街6社と協議、79兆5000億円のAIインフラ資金
エヌビディア株は10日、1株当たり217.58ドルで引け、8月7日終値から6.38ドル下げた。直近5営業日で5.6%上昇していたが、その勢いは冷え込んだ。FTによる報道が売りを誘い、時価総額は1545億ドル(約24兆5655億円)目減りした。
FTは事情に詳しい匿名6人を引用し、エヌビディアが6社と組んで5000億ドル(約79兆5000億円)をAIインフラへ投じると伝えた。参加するのはアポロ・グローバル、ブラックストーン、ブラックロック、ブルックフィールド・アセット・マネジメント、ゴールドマン・サックス、KKRだ。
提携先による債務調達を支え、集中リスクへの懸念を招く
エヌビディアは通常、AI分野で組むパートナー企業が債務を調達できるよう資金面で後ろ盾となり、それが自社チップ売上高を押し上げてきた。こうした取引の構造は、テクノロジー業界におけるリスク集中への懸念をかき立ててきた。
モーニングスターで欧州・中東・アフリカ地域最高投資責任者を務めるマイク・クープは8月6日、AIへの集中をめぐる状況を「1999年をかなり思い起こさせる」と語った。集中はテクノロジー、通信サービス、公益事業にまたがって広がっているという。その上で「分散投資という問題は真剣に検討する必要がある」と指摘した。
オラクル株は堅調で、エリソンが世界7位の富豪に浮上
エヌビディア株が沈む一方でオラクル株は堅調に推移した。この結果、オラクル共同創業者ラリー・エリソンがエヌビディアを率いるジェンスン・ファンCEOを抜き、世界7位の富豪となった。10日午後の時点で、推定資産はエリソンが1920億ドル(約30兆5280億円)へ達した一方、ファンは1886億ドル(約29兆9874億円)に減少した。
エヌビディアの第2四半期決算は8月26日、AIチップ需要が焦点
エヌビディアは8月26日に第2四半期決算を発表する予定だ。投資家はこの決算を通じ、同社やインテル、CoreWeaveといった企業が切り開いてきたAIインフラ投資ブームにAIチップ需要が見合っているかどうかを、より正確につかめるようになる。
エヌビディアはAIインフラ関連で代表格となる銘柄に育った。第1四半期の売上高は816億ドル(約12兆9744億円)で、前年同期比で約85%増えた。純利益は583億ドル(約9兆2697億円)だった。AI関連資産へ向かう需要は全体として高まっており、株価もその恩恵を受けて2026年初めから17%上昇している。
好調な業績を背景に、エヌビディアは顧客がチップ購入を前倒しするための債務調達を支えられるようになった。FTによれば、アポロとブラックストーンはこの仕組みを使い、アンソロピックなどの企業によるインフラ支出へ資金を供給してきた。



