砲兵部隊は隠蔽だけでなく、敵との距離と機動性も頼りにしている。前線付近にとどまるのではなく、多くの敵ドローンの到達範囲外となる後方地域から作戦行動を実施する。火力支援が必要になると前進し、短時間停止して射撃し、再び移動する。
火砲はなかには作戦行動中の大半の時間を路上で費やしているとみられるものもあり、この場合、移動そのものを防御手段にしている。ロシア軍のドローンの行動範囲が広がるにつれて、ウクライナ防衛軍はだんだんと火砲を前線の後方に下げて配置するようになった。ウクライナ防衛軍のドローンが大きな脅威になっている方面では、ロシア軍も同様の運用方法を採っている。
⚡🇺🇦🇸🇪 ARTILLERY ON THE MOVE: UKRAINE’S ARCHER SPOTTED READY ON A HIGHWAY
— Defence Index (@Defence_Index) May 20, 2026
A Swedish built Archer FH77BW L52 155mm self propelled howitzer has been spotted deployed directly on a highway, fully combat ready with its firing system prepared.
Fast deploy, shoot and scoot warfare in… pic.twitter.com/awoRMmyJNk
こうした適応の結果、ロシア、ウクライナ両軍が持続的に実施できる砲兵射撃の量は減少した。戦争初期には、両軍とも大量の砲弾を用いた長時間の砲撃に依存することが多かった。現在は以前にも増して、1発砲撃するごとに、敵に探知されるリスクが高くなる。そのため、砲兵部隊は射撃陣地にとどまる時間を短縮し、陣地転換するまでに発射する砲弾数も減らしている。
こうした適応を進め、発射速度を抑えたとしても、火砲は依然として非常に狙われやすい目標である。ウクライナ防衛軍のある将校は、戦闘に従事している火砲が数日以上発見・攻撃されないということは通常ないと述べている。
地道に進化を続ける火砲
火砲はドローンによって制約されるようになったとはいえ、火力はロシア・ウクライナ戦争の戦場で引き続き重要な役割を果たし続けるだろう。ドローンは民生技術の進歩を活用できるため、急速なペースで進化してきた。それに比べると火砲の進化はより緩やかであり、ロシア、ウクライナ両軍とも旧式装備への依存を強めている。両軍は総じて、新しい装備の導入ではなく戦術の変更によって適応してきたと言える。
新しい砲システムでは、対ドローン防御の改善、視覚シグネチャーや熱シグネチャーの低減、自動化の高度化、機動性の向上が図られると予想される。なかでも自動化はとくに重要かもしれない。それによって、射撃陣地への進入や射撃任務の遂行、敵のドローンが対応する前の陣地転換に要する時間を短縮することが可能だからである。もうひとつの改良法として射程の延伸も考えられる。砲弾が届く距離がもっと伸びれば、火砲は多くの戦場用ドローンや徘徊型弾薬の射程・到達範囲外の地点から火力を投射できるようになる。


