陸軍研究所は、メリーランド州アバディーン性能試験場で、「エネルギー収穫バックパック」と呼ばれる製品のプロトタイプをテスト中である。
このプロトタイプは、スタンダードな軍用バックパックに、スプリングが2個ついたフレームを組み合わせたもので、これを背負った人が歩いたり走ったりしてバックパックが上下すると、その動きが電力を生み出す。得られた電力は、兵士のバッテリーの充電に使われる。
エネルギー収穫バックパックのコアテクノロジーを開発したのは、ペンシルベニア大学の生理学教授、ラリー・ロームが設立したLightning Packという企業だ。ローム教授は、動物の動きの背後に潜む生理を研究していた2005年に、エネルギー収穫バックパックのアイデアを思いついた。
陸軍研究所は現在のところ、このバックパックを10人強でテストしたに過ぎない。テスト人数が20人に達した時点で、結果を公表する予定だ。
ウエアラブル発電の技術に注目しているのは、陸軍研究所だけではない。アメリカ軍の複数の機関が、ウエアラブル発電の研究に資金を提供している。アメリカ国防総省は2007年、ウエアラブル発電賞を創設し、21世紀の歩兵が携行する電子機器の電源となる電池を削減、または不要にできるようなシステムの開発を、企業に促している。
ウエアラブル発電賞創設の発表にあたり、国防総省の広報担当者は、「使用できる電力量が、地上作戦を大きく制限している」と語った。
2012年にはカナダ国防総省が、統合兵士電源システム・プロトタイプと名付けた研究を開始。オーストラリアでは、軍がオーストラリア国立大学と230万ドルの契約を結び、歩兵のためのポータブル太陽発電の開発を委託した。
一方、2月にはイギリス国防評価局が、開発したラックサックの技術を商用認可。このラックサックは、「これを担げば、どこにいても電子機器の電源を手に入れてネットワークにつながることができるため、個別に電源を供給して複数のネットワークに接続しなければならないことにまつわる問題を克服できる」という。