日本の企業・投資家・大学・メディアの宿題
「戦争は、遠くの話だ」。そう言い切ることが、以前は可能だった。しかし現在の国際的な枠組みは、日本にとってもう、そのような立ち位置を許していない。
2011年、国連人権理事会は「ビジネスと人権に関する指導原則」を承認した。企業は、人権を尊重する責任を負う。そしてその指導原則7は、紛争影響地域における企業活動について、国家と企業の双方に、通常より高い水準の注意を明示的に求めている。国連開発計画(UNDP)も、こうした地域における「高度化された人権デューデリジェンス」の具体的なガイドを公表している。
日本も、この流れの外にはいない。経済産業省は2022年、「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」を策定し、紛争影響地域では通常より高度な人権デューデリジェンスが求められることを明記した。つまり、日本企業にとって、紛争下の人権はすでに「知らない」で済ませられる領域ではない。
そして、この「宿題」は企業や投資家に留まらない。日本という国そのものも、いまきわめて具体的な選択を問われている。実は、今回の一連のイラン攻撃をめぐる国連の人権対応の中心に、2人の日本人がいる。
1人は、赤根智子氏である。日本は、国際刑事裁判所(ICC)の最大の資金拠出国であり、2024年3月からは赤根氏が日本人初の所長を務めている。
ICCがトランプ政権による制裁と解体圧力にさらされている現在、日本の与野党の超党派議員連盟「人権外交を超党派で考える議員連盟」は、2026年7月17日、「日本政府はいかなる圧力の下でも脱退せず、ICCの独立性と機能を支持し続けよ」と求める声明を決議した。
日本経済新聞も同月23日、社説「日本はICCを支持し続けよ」を掲げ、「ICCは人道犯罪を追及する『法の支配』のとりでだ」と、支援継続を明示的に呼びかけた。
もう1人は、佐藤舞(Mai Sato)氏である。


