GeminiとOS、そして各種ハードウェアが結びつくエコシステムを単独で開発できるグーグルならではの強みだ。
クレムズ氏は、AIの価値は新しい機能を増やすことだけにあるのではないと強調する。既存の機能をより分かりやすく、ひと目で確認でき、シームレスに使えるものへ改善することも、AIが果たす重要な役割だと話す。
Geminiに求められる機能はチーム全体で開発している
こうしたAI体験を支えているのがグーグルのPixelデバイス、Android、そしてAIの専任チームであるGoogle DeepMindによる共同開発体制だ。
AIモデルの開発チームが決めた機能を、Pixelのデバイスチームが受け取って実装する「一方通行の開発体制」ではない。Pixel側もユーザーの利用状況に最も近い立場から、必要な機能や体験を提案する。クレムズ氏は、開発プロセスについて「トップダウンとボトムアップの両方から進めている」と説明する。
出発点になるのは、日本を含む各地域のユーザーから集めた声だ。どのような課題を解決するべきかを特定し、それに必要なAIモデル、OS、プロセッサ、カメラなどの仕様を各チームが共同で定めていく。
その代表例が、グーグル独自のプロセッサ「Tensor」だ。Pixel 11が搭載する最新の「Tensor G6」では、AI処理を担うTPUの性能を高め、端末上でより高度な処理を効率よく実行できるようにした。
PixelがAndroidスマートフォンの中で持つ独自性は、Geminiの機能をいち早く利用できることだけではない。AIモデル、OS、ハードウェアの要件を、目指すユーザー体験から逆算してAIモデルを設計できるところにもある。
高額なデバイスを安心して使えるように耐久性能を重視した
ユーザーの課題を起点とする設計は、AI以外のハードウェアにも表れている。
プルナスキー氏は、消費者が折りたたみスマートフォンの購入を検討する際、耐久性への不安が大きな障壁になっていると説明する。高額な端末を毎日開閉しながら使い続けられるのか、購入前に不安を抱くユーザーは少なくない。
最新モデルの「Google Pixel 11 Pro Fold」では、IP68準拠の防水防塵性能を維持しながら、ディスプレイのカバー素材や背面の複合素材、ヒンジ構造を見直した。落下への耐性を高めるとともに、画面の折り目を抑え、前世代から耐久性を3倍に引き上げたという。
薄型・軽量化やカメラの改良も、日常的に持ち歩く端末としての使いやすさを高めるための取り組みだ。AIの性能だけでなく、ユーザーが安心して毎日使えるハードウェアがあってこそ、Geminiを生活の中に浸透させられるという考え方が根底にある。


