企業のデジタル資産を標的としたサイバー攻撃は、激化の一途をたどっている。事業継続を脅かす重大な脅威として対策が急務とされる中、その攻撃手法や発生傾向は絶えず変化しており、正確な実態把握と迅速な防御態勢の構築が不可欠だ。
サイバーセキュリティクラウドが発表した「Webアプリケーションへのサイバー攻撃検知レポート」によると、2026年4月から6月までの3カ月間に観測されたサイバー攻撃総数は、7億9474万5863件にのぼる。これは単純計算で1日あたり平均約873万件、1秒あたり約101回もの攻撃が検知されたことになる。前四半期比で約12.4%増加し、前年同期比では約1.5倍に拡大している。

攻撃種別では、Webサイトの構造や脆弱性を探る「Web scan」が39.1%で最多。次いで不正なSQL文を入れる「SQLインジェクション」が15.8%、PHP開発ツールの脆弱性を突く「PHPUnit」が7.5%、力ずくの攻撃「ブルートフォース」が7.3%と続く。前年同期と比較して特定手法の構成比が増加しており、狙いを定めた活発な探索活動がうかがえる。
注目すべきはイタリアが発信元とみられる攻撃が6月に激増した点だ。月別検知件数は、4月の約10.9万件、5月の約48.4万件に対し、6月には約6875万件へと急増。前月比約142倍となり4月〜6月の合計は約6934万件、前年同期の約93万件から約75倍に跳ね上がっている。6月単月では全世界の検知件数の約19.8%を占めた。

ただし、この数値がイタリア国内の攻撃主体を意味するわけではない。本判定はアクセス元IPアドレスのGeoIP情報に基づいているため、詳細な分析によると、イタリア発信元の重複を除いたIPアドレス(ユニークIP)数は他国の上位と比べて多くはない。一方で、1ユニークIPあたりの検知件数はイタリアが2146.6件/IPと、2位のドイツ(559.9件/IP)やオランダ(524.6件/IP)、日本(197.1件/IP)を大きく引き離して突出している。限られた送信元IPから自動化ツールなどを用い、継続的かつ大量にリクエストが送信された可能性が高い。

さらに、公開から約5カ月が経過したリモートコード実行(RCE)の脆弱性「React2Shell」関連攻撃も観測され、2026年5月7日には1日約15万件の大規模スキャンが確認された。認証情報や設定情報の取得を試みる動きもあり、侵入を見据えた情報収集が行われていたとみられる。
高度化・高速化するサイバー攻撃に対し、一度限りの対応では防ぎきれない。常に最新の脅威傾向を捉え、セキュリティ対策を万全に講じることこそが、企業の信頼と価値を守ることになる。
出典:サイバーセキュリティクラウド「Webアプリケーションへのサイバー攻撃検知レポート(2026年4月1日〜6月30日)」より



