金融サービス業界は、データとスピード、そして正確性に依存している。しかし残念ながら、そのデジタルインフラのかなりの部分は水準に達していない。
銀行や保険会社が日常業務で活用しているシステムの多くは、すでに引退して久しいエンジニアたちによって何十年も前に、いまではほとんど忘れられたプログラミング言語を使って構築されたものだ。
このレガシーインフラの近代化は、骨の折れる高コストな作業だ。従来は、古いコードをゼロから書き直し、時代遅れのストレージシステムからデータを移行しつつ、途中で不具合が生じていないかを絶えずテスト・検証する必要があった。
これはまさに、人間のエンジニアが嫌う退屈で反復的な作業だ。幸いにも、エージェント型AIには好みや感情が存在せず、こうした作業を自律的にこなしてくれる。
これがゴールドマン・サックスの出発点となり、同行は仮想ソフトウェアエンジニアを実運用タスクに投入した初の大手銀行となった。何百ものエージェントが、1万2000人の人間のエンジニアや開発者と並んで働くことになったのだ。ほどなくして、それらがレガシーアーキテクチャの近代化にとどまらず、はるかに多くのことができると明らかになった。
米大手金融機関である同行が業務領域を広げるなか、ほかの企業はその戦略から何を学べるのだろうか。
そして重要なのは、かつてこの種の作業を通じて技能を身につけていた次世代のジュニアソフトウェアエンジニアたちにとって、それが何を意味するのかという点だ。
エージェント型ソフトウェアエンジニアをどのように導入したのか
2025年、同行はAIスタートアップのCognition AIが開発した「Devin」を、テクノロジー部門全体に導入した。
銀行は以前からAIを使ってコードを書いていたが、Devinは完全なエージェント型AIであり、銀行の既存ITインフラ内で、人間のチームと並んで自律的に作業できる。
単に指示されたものを書くのではなく、エンジニアリングプロジェクトの要件を全面的に把握し、コードを書き、テストし、人間によるレビューに提出し、必要なエラー修正やバグ修正まで行うことができる。



