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2026.08.18 07:15

年だからと諦める人ほど孤独に 日常に潜むエイジズムの危険性

AdobeStock(写真はイメージです)

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年齢を理由に「もう無理だろう」と決めつけられたり、必要以上に手助けされたりする。あるいは、自分自身が「年を取れば仕方ない」と考えてしまう。こうした日常に潜む年齢による偏見や差別を、客観的に測るための日本語版の尺度が開発された。

千葉大学予防医学センター 河口謙二郎特任助教(研究当時。現東京女子医科大学助教)、竹内寛貴特任研究員、京都大学、北海道大学の研究チームは、高齢者が日常生活で経験する年齢による偏見や差別を評価する質問票『日常的エイジズム尺度日本語版(EAS-J)』を開発した。

【研究概要】
研究テーマ:日常的エイジズム尺度日本語版(EAS-J)の開発・心理測定特性の検証
開発した尺度:全10項目
認知的インタビュー:62~75歳の参加者6人
全国オンライン調査:60~79歳の男女1500人
研究チーム:千葉大学予防医学センター、京都大学、北海道大学
論文公開日:2026年7月9日
掲載誌:Geriatrics & Gerontology International
研究支援:公益財団法人総合健康推進財団の研究助成、日本学術振興会科学研究費助成事業(課題番号24K16531)

日常に潜む「エイジズム」とは

エイジズムとは、年齢を理由とするステレオタイプ(固定観念)、偏見、差別の総称だ。世界保健機関(WHO)は2021年の報告書で、エイジズムを世界的な公衆衛生上の課題と位置づけている。

エイジズムという言葉から、あからさまな年齢差別を思い浮かべる人もいるかもしれない。しかし、今回の研究が対象とする「日常的エイジズム」は、日々の生活のなかで経験する、気づかれにくいエイジズムを指す。調査ではその具体例として、年齢や高齢者を笑いの種にする冗談、「耳が遠い」などと能力を一律に決めつける言動、過剰な手助けなどを挙げている。さらに、周囲から受ける偏見や差別だけではない。本人が「年を取れば仕方ない」と考え、後ろ向きな年齢観を自分自身に当てはめることもエイジズムに含まれる。ただ、これまで日本にはこうした日常的エイジズムを測る尺度がなかった。

米国版を日本文化に合わせて調整

そこで研究チームは、米国で開発された日常的エイジズム尺度『Everyday Ageism Scale(EAS)』を、日本語と日本の文化に合わせて調整。全10項目からなる「日常的エイジズム尺度日本語版(EAS-J)』を作成した。

作成にあたっては、62~75歳の参加者6人を対象に「認知的インタビュー」を実施。認知的インタビューとは、質問に回答してもらいながら、その質問文をどのように理解したのかを聞き取る面接のこと。回答者の理解と質問の作成者の意図にズレがないかを確認し、質問の言い回しを改善する方法だ。研究チームは、この方法によってEAS-Jを理解しやすい表現へと整えた。

10項目から3つのエイジズムを測定

EAS-Jでは、日常的エイジズムを3つの側面に分けて測定する。ひとつ目は「エイジズムを含むメッセージへの接触」で2項目、2つ目は「対人関係におけるエイジズム」で5項目。そして3つ目が「内面化されたエイジズム」で3項目となっている。

「内面化されたエイジズム」とは、後ろ向きな年齢観を自分自身に当てはめることだ。つまり、誰かから年齢を理由に決めつけられたり、偏見を向けられたりする経験だけではなく、自分自身が年齢を理由に後ろ向きな考えを持つことまで含めて測定する尺度となっている。

研究チームは、60~79歳の男女1500人を対象とした全国オンライン調査のデータを分析し、EAS-Jの心理測定特性を検証した。心理測定特性とは、質問票が測定手段としてどの程度適切に機能するかを示す性質のことで、「モデル適合度」「信頼性」「妥当性」などから評価する。

モデル適合度は、質問項目の構成が想定した測定モデルにどの程度合っているかを示すもの。信頼性は、質問項目への回答が一貫しているか、同じ条件でおおむね安定した結果が得られるかを示す。妥当性は、測定しようとする概念を適切に捉えているかを示すものだ。分析の結果、質問項目が想定した3つの側面を捉える良好なモデル適合度が得られた。また、回答の一貫性・安定性を示す信頼性と、妥当性を支持する結果も確認された。

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文=福島はるみ

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