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AI

2026.08.10 09:48

AIは批判的思考に取って代われない それを鍛えるのは読書だ

Adobe Stock

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米国では、この20年で娯楽として読書をする人が40%以上減少しており、その代償としてリーダーたちは批判的思考という強みを失いつつある。私もかつては、その統計の一部だった。だが今は違う。

2025年1月19日、私はInstagramを削除した。12月31日までに、私は23冊の本を読み終えていた。この二つの事実はつながっている。そして、AI生成コンテンツと「すべてが最適化された時代」において、リーダーたちが何を失いつつあるのかを教えてくれた。

誰も語らない問題

私たちは、仕事の生活から読書を排除するように自ら設計してきた。通勤中にポッドキャストを2倍速で聴く。会議の合間に記事を流し読みし、箇条書きだけを拾う。リーダーシップ合宿で「読んだ」と言えるように、ChatGPTに本を要約させる。私もすべてやっていた。効率的だった。だが同時に、考える力は落ちていた。

ジェイ・キャスピアン・カンは最近、『ニューヨーカー』にこう書いている。「読書という体験は、本がもたらす起伏のある精神的な地形から恩恵を受けることがある。長い文章が時に引き起こす退屈や苛立ちは、完璧に抽出されたものよりも、人の思考を押し進め、揺さぶる助けになる」

私たちは、あらゆるものを抽出し尽くしてきた。その過程で、複雑さと向き合い続ける力を失った。それこそが、私たちの役割に求められるスキルであるにもかかわらずだ。

私たちが失っているものの科学

神経科学者のマリアン・ウルフは、自身が「浅薄化仮説」と呼ぶ現象について説明している。デジタルメディアは私たちの深い読解の回路を弱め、批判的思考という、ゆっくりと労力を要するプロセスに取り組みにくくするというものだ。スクロールと流し読みに慣らされた私たちの脳は、直線的な読書では望んだタイミングで得られないドーパミンの刺激を探し始める。

これは今こそ重要な問題だ。Claude、ChatGPT、Geminiといったツールを日々の仕事に取り入れるにつれ、私たちは本来それらのツールが支援するはずの「思考そのもの」を外注してしまう危険に直面している。読書は、評価し、問い、統合するための認知の筋肉を鍛える手段だ。それがなければ、私たちはAIの出力を編集するだけの存在になり、独創的な思考者ではなくなる。

批判的思考は、複数の視点を保持し、曖昧さに耐え、よりよい問いを立てる力から始まる。これらは箇条書きにして身につくスキルではない。複雑なアイデアと向き合う、ゆっくりと労力のいる作業を通じて築かれるものであり、読書の習慣は私たちにその実践を強いる。

小説は時間の無駄ではない

以前コーチングしていたCEOの1人は、夜に心を落ち着かせる唯一の方法が小説を読むことだと話していた。彼は私と同じくビジネス書中毒だったが、寝る前にビジネス書を読むと不眠になってしまうという。彼は何かを掴んでいたのだ。

現在の研究は、小説が単なる余暇ではないことを示している。それは訓練なのだ。心理学者デイビッド・キッドは学術誌『サイエンス』で、文学的な小説が複雑な人間の感情を読み解く力を鋭くすることを明らかにした。物語を読むとき、私たちは自分以外の視点に身を置く練習をしている。ノンフィクションは情報を与える。小説は経験を与える。

リーダーにとって、これは重要だ。難しい対話、組織変革、戦略的意思決定のすべてには、他者がどう考え、どう感じるかを理解することが含まれる。小説は共感のためのシミュレーション訓練だ。AI主導の世界では、深く共感的に没入するこの力こそが、最も価値ある職業上の強みになるかもしれない。そして、その恩恵は認知にとどまらない。読書は睡眠を改善し、ストレスも軽減する。

物語の力

読書が何をもたらすのかを初めて知ったのは、中学2年生のときだった。英語教師のレイノルドソン先生が、ウィスコンシン州の凍える1月の朝、教室の窓をすべて開け放ち、ジャック・ロンドンの『野性の呼び声』を読んでくれた。先生が第1章を読み終えるころには、私は寒さを完全に忘れていた。それが教訓だった。物語は、人をあまりにも完全に別の場所へ連れていくため、自分の身体の感覚さえ消えてしまうことがある。

物語をうまく語るリーダーは、この力を知っている。最高のCEO、最高のCHRO、最高のマネジャーは、単にデータを共有するのではない。体験をつくり出す。人々を別の場所へ運ぶ。だが、優れた物語がどのような感覚をもたらすのかを経験していなければ、優れた物語を語ることはできない。小説を読むことは、その学び方である。

私はその感覚を、高校の小論文、大学の教科書、自己啓発による最適化、そしてマルチタスクをしながら聴くオーディオブックのなかで、いつの間にか失っていた。読書は、アイデアを経験することではなく、洞察を抽出することになっていた。

昨年、私はそれを再び見つけた。積んでいた本の最初の1冊は、パーシバル・エベレットの『ジェイムズ』だった。『ハックルベリー・フィンの冒険』を、奴隷にされた男性ジムの視点から語り直した作品である。ある一文で私は立ち止まった。「しかし驚くべき真実は、彼をそこまで動揺させ、怯えさせたのは拳銃ではなく、私の言葉であり、私が彼の期待に従わなかったという事実であり、私が読めるということだった」

読み書きの力と言葉の力を描いた本に、Instagramを削除した翌日に出合った。それが、読書の旅を始めるために必要な勢いになった。

読書は批判的思考をどう鍛えるか

読書はぜいたくではない。リーダーシップ開発である。その筋肉を再び鍛える方法は次の通りだ。

節度ではなく、断つ。ソーシャルメディアが注意を細切れにしているなら、一定期間、完全に排除する。何がその空白を埋めるかを見てみるといい。常に中断されている状態では、たとえそれが自分自身による中断であっても、深く考えることはできない。

10分から始める。私の脳は、直線的に読む方法を忘れていた。初日は、スマートフォンに手を伸ばすまで5分しかもたなかった。批判的思考には、持続的な注意が必要だ。少しずつ取り戻せばよい。Forestアプリは、最初の居心地の悪い10分を乗り越える助けになる。

小説を読む。ビジネス書だけを読んできたリーダーなら、小説を読むことを自分に許してほしい。それはプロフェッショナルとしての成長から外れることではない。むしろ、フレームワークや箇条書きからは得られない認知能力を築いているのだ。

組織に読書を組み込む。リーダー向けの読書会を始めることを検討してみるといい。「重要な学び」を得るためではなく、議論し、意見をぶつけ、簡単な答えのない問いと向き合うためだ。読書は1人で行う行為だが、本について語り合うことは共同的な営みであり、そこで批判的思考は研ぎ澄まされる。

時間を守る。23冊は多くない。月に2冊にも満たない。それでも、ここ数年の私が読んだ冊数よりは多い。突然余分な時間が見つかったわけではない。ただ、その時間をInstagramに渡すのをやめただけだ。その余白が、読書の戻る場所をつくった。何を排除するかが、大切なもののための余地をつくる。

リーダーに求められるもの

メアリー・オリバーは「注意は献身の始まりである」と書いた。私たちの注意を細切れにするよう設計された世界において、読書はラディカルな行為だ。それは、自分自身で考える練習である。

AIはこれからも、下書き、要約、分析、生成を助けながら、私たちの働き方を拡張し続けるだろう。だが成功するリーダーは、AIにはできないことができる人たちだ。曖昧さと向き合い、まだ問われていない問いを立て、他者であるとはどのような感覚なのかを理解し、人々を行動へと動かす物語を紡ぐことができる人たちである。

23冊の本は、私をより生産的にしたわけではない。よりよく考える人間にしてくれた。AIの世界では、それこそが重要な強みである。

forbes.com 原文

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