キャリア・教育

2015.11.24 15:37

第11回フォーブス CMO サミット開催! 今年のキーワードは、コンテンツ、シンプリシティ、IoT

ra2studio/shutterstock

 11月上旬、アメリカ南東部フロリダ州ネープルズのリッツカールトンホテルで開催されたフォーブスCMOサミットには、100人以上のCMO(最高マーケティング責任者)やマーケティング担当幹部が集まった。今年のサミットのテーマは「成長を設計する建築家としてのCMO」。組織における事業の有機的な成長の牽引力としてCMOをハイライトした格好だ。CMOは役員会議室に常駐してCEOの相談を受けることも多く、Cの付く役職の幹部の中でも最も重要な存在になっている。
 
CMOたちは、そうした輝かしい地位を手にすると共に、これまで以上に複雑な責任を負い、多くのチャンスを手にし、高い期待をされるようにもなっている。銀行ウェルズファーゴのエグゼクティブVP兼CMOジェイミー・モルダフスキー、小売大手ターゲットのエグゼクティブVP兼CMOジェフ・ジョーンズ、金融機関ステートストリートのエグゼクティブVP兼CMOハンナ・グローブ、ITソリューション企業SAPのCMOマギー・チャン・ジョーンズらサミットに参加していたCMOたちは、マーケティングの4C(Culture(文化)、Capabilities(能力)、Content(コンテンツ)、Commerce(商取引)をしっかりとコントロールすることの重要性について話し合った。具体的に話題に上がったのは、CMOが顧客の役割をより高次元へ導くことの必要性、CEOのKPI(重要業績評価指標)とマッチするマーケティング用のKPIを用意する必要があるということ、時間、エネルギー、そしてあらゆる資源を長期戦略に多く投下しながらも短期的な増収を達成しなければならないこと、実験的マーケティングやリスクをいとわず、ブランドとのつながりが常時、マルチプラットフォームで発生している時代に機動的に動き、俊敏に反応できなければならないこと、等である。こうしてみても、複雑化してしまった物事を、極力にシンプルにすることが最大の難関であることがよくわかる。
 
「消費者は、ボタンをひとつ押せば黒塗りのクルマがその場所まで迎えに来る時代です。もちろん、セーターも同じようにあっという間に買えてしまいます」とターゲットのジョーンズが話した。「カンタンでなければ、ブランドには価値がないのです。そこに感動があるかどうかなど問題ではないのです」
 
また、コンテンツも中心的な話題として取り上げられた。日産自動車のコーポレートVP兼マーケティング&ブランド戦略のグローバル・ヘッドであるロエル・デブリーは「組織に所属する人はだれもがコンテンツを作り出すのです。マーケティングに携わる人たちだけではありません」と語った。
 
成功のためにはマーケティングをどのような組織構造にすればいいのか、についても議論が行われた。多くのCEOはスカンクワークス、つまり秘密チームを作り、実験を重ねて顧客とブランドとの関わりを高めるための新しいチャネルを開発するべく担当者と予算を割り振り、様々なテクノロジーやプラットフォームを利用している。CMOによっては、広告代理店やベンチャー企業のような開かれた環境の職場をつくり、異なるチームに所属する従業員同士が混ざり合い、プロジェクトを共有する機会を作っている人もいた。いずれの場合も、シームレスかつ継続的なマーケティングコミュニケーション戦略を開発するためには、データを組織の中心に据えなければならなくなっていることは確かだ。
 
電子機器大手エマソンのVP兼CMOキャシー・ボタン・ベル、バンクオブアメリカのシニアVP兼エンタプライズ・コンシューマー&ウェルス・マネジメント担当マーケティングエグゼクティブのメリディス・ヴェルドン、HuluのシニアVP兼マーケティング・ヘッドのジェニー・ウォール、アーンスト・アンド・ヤングのエグゼクティブ・ディレクターであり文化人類学者でもあるマーシー・メリーマンは、ブランドとしてだけでなく従業員としても、ミレニアル世代をはじめ、もっと若い消費者を引き付ける必要性について議論した。どこの会社も若く、ソーシャル・メディアに精通している人材を求めていて、争奪戦になっているというのだ。バンクオブアメリカでは、若い顧客や、更に若い将来的な顧客層に対して健全な家計管理のための収入・支出に関する教育に取り組んでいるという。一方でBtoB企業であるエマソンは、ソーシャルメディア界のセレブでSTEM(理系教育)強化支持者のハンク・グリーンをスポークスパーソン兼パートナーとして迎え、次世代の従業員候補に対して自社ブランドと同時に独自のSTEM支援活動を露出する取り組みを行っている。
 
バーチャルリアリティーとInternet of Things(IoT:モノのインターネット)に関する討論には、パネリストとしてシボレーのグローバルCMO兼GMのグローバル・マーケティング・オペレーション・リーダーであるティム・マホーニー、音響機器メーカーのハーマン・インターナショナルのエグゼクティブVP兼CMOラルフ・サンタナ、LED・半導体メーカーCreeのCMOベティー・ヌーナンらが参加。意外なほど多くの時間が割かれた。ここではコネクテッド・カー(インターネット通信機能を付加することにより情報端末と化したクルマ)も台頭しつつあるが、同様にコネクテッド・ホームや、CreeのLED電球のように様々なコネクテッド製品も生まれつつあることが話題に上がった。こうした発展は、ブランドの行方に大きな影響を及ぼすものなのだ。なぜなら「コネクト(つながった)」された製品は、これまでのマーケターが見たこともないような膨大な量のデータを生み出すことになる。その結果として、顧客の購入時のみならずユースポイント(使用時)で顧客と接触したり、モノを売ったりするなど、これまでにない様々な機会が生み出されることになる。このようなつながりは、まさに購買に直結していくことを期待させるものだ。プライバシー保護に関する懸念がネックになるかもしれないが、少なくとも今後期待できる顧客とブランドとの深いふれあいには、心踊らされるものがある。しかし、CMOたちはこういった未来の到来に対する準備は少々不足しているようで、IoTの時代到来に向けて時間やリソースを投資しているかと聞かれて手をあげるCMOはまだほんの数人だった。
 
データは依然として、CMOたちにとって最重要課題のようだ。収集方法、活用方法、どの部門が所有者となるのか、共有方法など、長らくの課題に関する議論は未だ尽きることがない。ここではパネリストのオンライン証券会社TDAmeritrade CMOのデニース・カーコスとジョンソンエンドジョンソンCMOのアリソン・ルイスがデータの最適化と全てのマーケティング活動の中心にデータを据える取り組みに関する経験談を披露した。チームにデータアナリストが必ず必要な時代になったものの、マーケターたちは自分たちが数字に対する直観的な判断を下すことは絶対に放棄したくないとも考えているようだ。しかし、データをうまく解析できた時には、創造性もマーケティング活動の効果もよりよいものになることについては、異論はほとんどなかった。
 
「当社ではお客様との接点の90%がオンライン上で発生します。ですからビッグデータを持っているのです」と述べると同時に、カーコスは「しかし、定性的な部分に対する洞察力も同じくらい重要です」と付け加えた。
 
今回のイベントのハイライトの一つは、フォーブス30アンダー30(フォーブスが選ぶ30歳以下の30人)の広告マーケティング部門に以前リストアップされた卒業生の登場だった。まずはForbes MediaのエグゼクティブVP兼Forbes Womanの編集人モイラ・フォーブスがMikMakの創業者兼CEOであるレイチェル・ティポグラフをインタビューした。初のモバイルビデオショッピングネットワークであるMikMakのこと、そして何よりギャップのソーシャルメディア部門のトップだったティポグラフが何に心を動かされてブルックリンのマンションの一室でこの会社をつくろうと思ったのかについて話を聞いた。答えは、ミレニアル世代は「正直で不完全」、だから自分たちと同じように、正直で不完全でおもしろいコンテンツと触れ合うことを好むから、であった。
 
Mikmakは少なくとも今のところうまく行っている。人気は急上昇、たった数日でアップルのAppStoreのランキングでトップに躍り出た。つい最近では菓子メーカーのMondelez、テレビチャンネルのOxygen、GEそしてアメリカンエキスプレスがBlank Presentsというミニコマーシャルの広告主として契約を結んだ。サミットに参加していたCMOたちは、ティポグラフの恐れを知らない大胆な思考と、ミニマーシャルと呼ばれるショッピング機能のついたビデオというMikMakのユニークなプラットフォームに、すっかり言葉もない状態だった。また、多くの参加者が自社の若い顧客との接点として有効なのではないかと思う、とコメントしていた。
「MikMakは小売の未来を先取りした実験なのです」とティポグラフは解説した。「ウェブ上のありとあらゆるところに出没することによって、成功します」
 
他にもRWBメディアの創業者でYouTube起業家かつLGBT活動家であるレイモンド・ブラウン、マーケティング会社(No Subject)創業者のジャクリン・ジョンソン、ソーシャルメディアマーケティング会社Socialbakersの創業者兼CEOジャン・レザブ、マーケティングプラットフォームPixleeのCEOカイル・ウォングらアンダー30の卒業生が参加して、ミレニアル世代のリアルな姿について、自らがまさに当事者であるマーケターと消費者双方の視点で議論を行った。
CMOサミットでは他にもデジタル・イノベーション、若い企業がCMOの役割をどのように位置付けているか、CEOへの道についての議論が行われた。

編集 = Forbes JAPAN 編集部

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