ロシア軍は5日、ウクライナの首都キーウと周辺の町に対してミサイル攻撃を行った。この攻撃で少なくとも17人が死亡し、店舗や倉庫などが破壊された。キーウ近郊のブロバリでは鉄道駅が攻撃を受け、8人が死亡した。
国連は、7月は「2022年4月以降、ウクライナの民間人の犠牲者が最大となった月」だったと報告した。さらに、ロシア軍は主に「住宅、学校、公共交通機関、水道網、人道支援物資の倉庫」を標的にしていることも明らかにした。
ロシアが2022年2月にウクライナへの全面侵攻を開始して以降、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、6万5000人以上のウクライナ人民間人の死傷者を確認している。国連教育科学文化機関(ユネスコ)によると、7月29日時点でウクライナ国内の500カ所以上の文化遺産が被害を受けた。米紙ニューヨーク・タイムズは、同国内で21万棟以上の住宅や公共施設が被害を受けたと報じた。ウクライナ外務省は、2024年時点で少なくとも9都市が破壊されたと報告した。ウクライナ政府、世界銀行、欧州委員会、国連が2月に共同で発表した報告書によると、同国の再建と復興の総費用は5880億ドル(約93兆円)近くに上ると推定されている。
「チョルノゼム」と呼ばれるウクライナの黒土は栄養分が豊富で農業に適しており、同国は世界有数の農業生産国として主要な地位を占めてきた。国連食糧農業機関(FAO)は、ウクライナの国土6000万ヘクタール超のうち、4250万ヘクタールが農業に利用されていると報告している。
米農務省の2022年の統計によると、ウクライナはひまわり油の生産量で世界2位、大麦で4位、トウモロコシで6位、小麦で7位だった。また、同国はひまわり油の輸出量で世界1位、大麦で3位、トウモロコシで4位、小麦で5位だった。
だが、ロシアによる軍事侵攻がウクライナの農業と環境に深刻な影響を与えている。フランス国営ラジオ局RFIによると、2025年だけで100万ヘクタール近くのウクライナの土地がロシア軍の攻撃の被害を受けた。RFIは入手した衛星データから、火災により100万ヘクタール近くが焼失したうち、約3分の1が農地だったことが判明したと伝えた。
穀物輸出も戦争の影響を受けている。ロシアによる軍事侵攻開始当初、英BBCは、ウクライナ南部と東部の一部地域で、ロシア軍兵士が「地元の農家から穀物やその他の農産物を盗んでいる」と報じた。フォーブスも2022年6月、ロシアが「数十万トンの穀物を盗んだ」と伝えた。こうした事件により、世界の食料価格や流通にも影響が及んでいる。
ロシアは侵攻開始当初、黒海を封鎖し、ウクライナの農産物輸出を妨害した。これを受け、欧州理事会は「世界的な食料危機が悪化している」と警告した。ロシアは2022年、国連の仲介で、ウクライナの農産物輸出に対する黒海の封鎖を解除することに同意したが、この合意は翌年半ばに頓挫した。最近では、英ロイター通信が4日、ロシア軍がウクライナの黒海沿岸の港や船舶を標的にしていることから、同国は穀物輸出の代替経路を模索していると報じた。



