人はリーダーになる前から、無意識に「リーダー像」を学んでいる
リーダーシップ開発では通常、新しいスキルの習得に焦点が当てられる。しかし、私たちが現在持っているリーダーとしての直感がどこから来ているのかを理解することには、ほとんど注意が払われない。
初めてチームを率いる2人のマネジャーを例に考えてみよう。
一方は、キャリアの初期に自分をサポートしてくれたリーダーから信頼されていたため、自然と部下に大きな裁量を与える。もう一方は、すべての詳細を厳しく監視する上司のもとで働いていたため、単に高い基準を維持しているだけだと信じ込み、常に進捗をチェックするようになっている。
どちらのやり方も、偶然生まれたものではない。
研究によって、リーダーの期待が社員のパフォーマンスに影響を与えることが示されている。マネジャーが「この人物は有能だ」と想定すると、より多くの励まし、信頼、そして成長の機会を与える傾向がある。そうした前向きな期待は、往々にして自己実現的予言(ピグマリオン効果)となる。その逆も同様だ。低い期待は、本人が実力を発揮する機会を得る前に、本人の可能性を静かに狭めてしまう。
もしこうした期待が、事実ではなく転移の影響を受けているとすれば、リーダーは現在のパフォーマンスではなく、過去に出会った人物との類似性に基づいて、無意識に社員を優遇したり不利益を与えたりしている可能性がある。
その結果生じるのは意図的な偏見ではなく、無意識のパターン認識なのだ。
強固な職場関係に必要なのは思い込みではなく「自己への気づき」
転移は本質的に悪いものではない。
過去の人間関係における前向きな経験は、リーダーが迅速に信頼を築き、サポート体制の整った職場環境を作るのに役立つ。また、社員の側も、尊敬するメンターを思い起こさせるようなマネジャーに対して親しみを感じ、最初から円滑に協力し合えるようになるかもしれない。
問題は、親しみが好奇心に取って代わるときに生じる。
研究によると、マネジャーと社員の間の質の高い関係は、パフォーマンスの向上、仕事の満足度の高まり、エンゲージメントの向上、および組織へのコミットメントの強化につながることが示されている。そうした関係は、思い込みではなく、信頼、公平性、そしてオープンなコミュニケーションを通じて発展するものだ。


