米海兵隊は北朝鮮と韓国を隔てる非武装地帯(DMZ)から30kmほどの場所で、小型ドローン(無人機)による自爆攻撃の訓練を行った。国際安全保障をめぐる状況の変化を映した動きだ。
この実弾訓練は8月5日、米海兵隊と韓国海兵隊の合同演習「韓国海兵隊交流プログラム(KMEP)」の一環で韓国北部の抱川(ポチョン)で実施された。朝鮮半島での米軍の活動として前例のないものだった。
米国製のFPV自爆ドローン「アーチャー」
訓練では、米海兵隊第7海兵連隊の隊員が、爆発物を搭載したFPV(一人称視点)ドローンを飛ばし、装甲車両を撃破した。米海兵隊員はさらに、目標を敵の人員と想定した模擬攻撃も実施した。
使用されたFPVドローンは、米Neros Technologies(ネロス・テクノロジーズ)製の「Archer(アーチャー)」。米陸軍でも広く採用されている無人航空機(UAV)プラットフォームだ。
アーチャーは20〜25kmぐらい離れた距離までの目標をピンポイントで攻撃できる。韓国の聯合ニュースによると、米軍は訓練の様子を米Skydio(スカイディオ)製のドローンで撮影した。
米国防総省は過去1年、太平洋地域での米軍の戦闘態勢強化に取り組んでおり、今回の自爆ドローン攻撃訓練はその最新の動きとなった。
F-16「スーパー飛行隊」の試験運用
米空軍は昨年7月末から、韓国でF-16「ファイティング・ファルコン」戦闘機の部隊をより大規模な編成で試験運用する取り組み「スーパー・スコードロン(スーパー飛行隊)」の第2段階のため、南西部の群山(クンサン)空軍基地に配備するF-16を、もうひとつのF-16配備先であるソウル南方の烏山(オサン)空軍基地に移し始めた。烏山空軍基地は、北朝鮮との軍事境界線までの距離が群山空軍基地よりも約130km短い。
並行して、米空軍第51戦闘航空団は、実戦を想定した訓練で韓国空軍との連携をより緊密にする措置も講じた。
スーパー飛行隊という構想の試験は、韓国の防空体制における米軍の役割が、より警戒態勢を強め、より能動的に関与する方向にシフトしてきていることを示している。2024年に始められたこの試験は今年4月に終えた。
米国から韓国へのドローン監視・攻撃能力の提供も昨年9月以降、増えている。米空軍は同月、第二次世界大戦期の戦闘飛行隊を起源とする部隊を復活させ、韓国に常駐する「MQ-9リーパー」無人機部隊として新たな任務を与えた。
核兵器や生物・化学兵器による攻撃にも備え
自爆ドローン攻撃の訓練に先だち、韓国駐留の米空軍と米海兵隊は7月下旬、化学・生物・放射性物質・核(CBRN)攻撃に対応するための戦術や手順に関する合同演習も実施している。
演習で米国の軍人たちは、危険な環境下での通信・連絡や、自分や仲間の除染などについて習熟を図った。
DMZに近い場所での自爆ドローン攻撃の訓練は、太平洋地域の緊張が高まるなかで、米軍がこの地域で一段と精力的に活動していることを示す新たな証拠となっている。
この種のドローン演習は今回が初めてだが、米軍が無人技術の活用拡大や域内の同盟国との連携緊密化に取り組んでいることを踏まえれば、今後も同様の演習が重ねられていくと見込まれる。



