NEWS Forbes JAPAN MEMBERSHIP 新機能|
記事ページ内の広告表示を最小限にしました

AI

2026.08.09 11:22

AI時代を制するのは「人間ならではのスキル」を持つリーダーである

stock.adobe.com

stock.adobe.com

AI時代の到来は、仕事に求められる要件をほぼ一夜にして塗り替えた。

エグゼクティブ・コーチング企業のCEOとしてさまざまな業界を見渡してきたが、明確な方法論をもってAI施策を導入している組織はまだほとんど見られない。代わりに、各部門のリーダーが既存の業務と並行して、AIという課題の解決を任されているのが実情だ。

その結果、どうなっているだろうか。過重な負担を強いられたチームが、企業として認可されたプロセスや承認もないまま、AIがもたらす効率性を活用しようと独自の判断で動き始めている。急速に進化するAIモデルへの理解が不十分なまま、体系的なAI施策を持たない企業は、自分たちが出遅れていることに気づき始めている。

燃え尽き症候群に陥りかけているリーダーたちは、AIのトレンドを先取りすることを求められているが、その一方で企業はAIがもたらす価値をまだ定義できていない。

人間主導のAI

AIは私たちの仕事を減らしてくれるはずだと思うかもしれない。しかし、私自身のAI活用事例を含めて目にするのは、AIが最適化されているのは初期段階のタスクだということだ。AIは光速を超える速さでデータやレポートを調べ上げるが、最終的な成果物が常に期待通りになるとは限らない。どれほどプロンプトを微調整したとしても、AIが生成したコンテンツには人間によるレビュー、精査、そして判断が依然として必要だ。AIのアウトプットを過信しすぎると、人工的な効率性や生産性を優先するあまり、雑な成果物になってしまう恐れがある。

ここでの教訓は、効率性だけではAIの価値を測る指標として不十分だということだ。ガートナーの人間とAIの協働・チームワークに関する調査は、生産性向上の先を見据え、意思決定の質、イノベーション、従業員エンゲージメントを考慮することを推奨している。最終的な目標は、テクノロジーの精度とスピードを、人間の見識と説明責任に融合させることである。

では、AI施策からROI(投資対効果)を引き出す鍵は何だろうか。それは、AI導入を単なる技術展開ではなく、組織的なケイパビリティとして扱うことから始まる。

意義のあるリターンを報告している組織は、意図的なアプローチを採っていることが調査で示されている。ガートナーの高いAI成果の背景にある実践に関するデータによると、AIの成果でCEOの期待を上回っている組織はわずか20%にすぎない。これらの組織は、AI戦略を全社的に統合し、従業員のAIリテラシーを強化する傾向が強い。

人と人との関わりに代わるものはない

適切なトレーニングやAI専任の役割が整ったとしても、人と人との直接的な関わりに勝るものはないと私は信じている。職場がますます高度なテクノロジーを取り込むにつれ、このつながりへのニーズは低下するどころか、ますます重要性を増している。人との関わりや対人スキルに長けたリーダーこそが、これからの時代を制するだろう。

AIは私をお世辞で持ち上げ、私が提示するいかなる立場も肯定してくれるかもしれないが、尊敬する人物からの称賛のほうがはるかに重みがある。上司がチームメンバーの目を見て、困難な顧客への対応において見事に発揮されたリーダーシップを称えるとき、その評価はAIのうわべだけの言葉には決してできない形で、メンバーの自信を形成する。人間関係は代替不可能であり、今後も健全で信頼できるチームを育む原動力であり続けるだろう。

リーダーシップの未来は人間中心である

未来のリーダーは、強固なチームと成果を築き続けるために、押し寄せる技術の進歩を乗りこなしつつ、人間ならではのスキルとのバランスを取る必要がある。

エビデンスは、この「双方を併せ持つ」アプローチの必要性を示している。OECD(経済協力開発機構)のAIが普及した職場で必要とされるスキルに関する研究によると、高度なAIスキルを必要とする労働者は全体の1%未満にとどまると予想されている。大半の労働者に求められるのは、デジタルツールを使いこなし、データを解釈し、適切な判断を下すことであり、その一方で、問題解決能力、創造性、イノベーション、コミュニケーション、共感、チームワークといった人間ならではの強みが不可欠であり続ける。未来は、テクノロジーを理解しつつ、チームを牽引し続けられる人々のものだ。

AIと人間力を両立できるリーダーの育成

現在、リーダーたちはAIがもたらす混乱や不確実性のマネジメントに苦心している。柔軟性とレジリエンスを備えなければならない。というのも、率直に言って、今日使っているAIが半年後には同じままではないからだ。私たちが関わるスタートアップのなかには、こうしたマインドセットを取り入れやすい企業もある。一方、より伝統的な、あるいは「大きな船を方向転換させるようなもの」と例えられる組織のクライアントにとっては、これはかなり困難な取り組みとなる。いずれにせよ、目標を上回る成果を上げる企業は、AIを単にプロセスの高速化のためだけでなく、ビジネスそのものへのアプローチを変革するために活用している。

この転換を進める組織は、AI導入が古いプロセスに新しいツールを加える以上のものであることを理解している。マッキンゼーの企業がAIから価値を引き出すためにどう再構築しているかに関する調査では、企業がワークフローを再設計し、従業員を再教育し、シニアリーダーにAIについての明確な責任を与え始めていることが分かった。ここでも、こうした組織は、仕事の進め方、人間の判断が最も価値を持つ領域、そしてテクノロジーがそれをどう支えるかを再構築している。

「つながり」という通貨

大規模言語モデル(LLM)は驚異的な速度でデータを処理し返してくれるかもしれないが、直感的な解釈、ボディランゲージ、絶妙なタイミング、あるいは皮肉を交えたユーモアに根ざした、その場での本能的な反応は決して提供できない。これはリアルタイムの会話とつながりが依然として最も重要であることを、あらためて証明している。互いに関わり合う私たちの能力は、機械が決して再現できない価値である。だからこそ、人間ならではのスキルはAI時代に最も求められる通貨となり得るのだ。

forbes.com 原文

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事