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その他

2026.08.10 07:30

権力者が莫大な富を蓄積するイランの実態 国民は生活に困窮

イランの前最高指導者、故アリ・ハメネイ師の肖像が掲げられた同国の首都テヘラン。2026年3月4日撮影(Majid Saeedi/Getty Images)

ところが、不動産の中には実際には放棄されていなかったものもあった。政権の敵と見なされたこれらの所有者は脅迫され、長年所有してきた不動産の賃料をセタドに支払うよう命じられた。支払いを拒否すれば立ち退きを強いられた。これらの不動産は没収されると、政権所有の不動産に組み込まれるか売却され、政権に富と収入をもたらした。

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ハメネイ師の支配下で、本来は慈善事業であるはずだったセタドは、富を生み出すための機関へと変貌した。得られた資金は、通信から避妊薬の製造、ダチョウの飼育に至るまで、戦略的な企業や産業への再投資に充てられた。医療や社会基盤、自動車といった他の産業分野の企業は事業を継続するために、ハメネイ師や一族とつながりのある企業に賄賂や手数料を支払うことを強いられた。国有地も一族の資産に組み入れられた。この富のネットワークはイラン経済のほぼすべての分野に及び、国民の生活のあらゆる側面に影響を及ぼしている。透明性がないため、セタドからの資金が実際にどれだけ貧困層に届いているのかは不明だ。

英ロイター通信は2013年、セタドの実態を明らかにすべく、調査を行った。セタドは最高指導者にのみ責任を負い、イラン議会による監督は一切受けていない。これは、議会が2008年にセタドの監視を自ら禁止する決議を採択したためだ。セタドは税金を支払っておらず、外部監査の対象にもならない。同組織は、海外在住のイランと外国の二重国籍者である名目上の会長が率いるスイスや租税回避地のペーパーカンパニーを通じて支配されている。

かつての国王は自身の富とぜいたくな生活を誇示し、ペルシャ帝国建国2500周年には、現代の価値に換算すると約1億ドル(約160億円)もの費用をかけて記念式典を開催したが、現代の最高指導者の富は国王の財産(インフレ調整後で30億ドル[約4700億円]相当)をはるかに上回る。2008年時点のデータによると、セタドが保有する不動産だけで500億ドル(約7兆9000億円)以上の価値があり、同組織はさらに430億ドル(約6兆8000億円)相当の企業資産を保有している。

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この体制は、新興財閥オリガルヒが所有する有力企業が主要産業を支配するロシアの構造に似ているが、イランのネットワークははるかに広範で、政権に深く忠誠を誓う数千人もの個人を包含している。

イラン革命防衛隊の富

これに引けを取らないのが、イラン革命防衛隊の富だ。同隊は、石油、運輸、銀行、通信、農業、医療、不動産にまたがる経済帝国を築き上げてきた。革命防衛隊傘下の建設企業ハタム・アル・アンビヤは、農業、工業、エネルギー、医療、不動産、鉱業、医薬品、道路建設、教育、運輸など、多岐にわたる事業を手がけている。同社が政権から受注する契約の年間総額は数百億ドルに上る。

革命防衛隊は「ボニャド」と呼ばれる財団のネットワークも有しており、これらは半官半民の独占企業として富をもたらしており、2013年にはイランの国内総生産(GDP)の半分以上を占めた。

イランの企業が合法的な金融取引や貿易から締め出されている一方で、革命防衛隊は、アルコール、麻薬、武器、たばこなどの密輸を通じて闇市場での活動を拡大してきた。同隊はイランの石油輸出の大部分を支配しており、影の船団や偽造書類を用いて制裁を回避している。こうした密輸の利益率は200~300%に上り、革命防衛隊は違法な石油販売や密輸から年間約124億~250億ドル(約2兆~3兆9000億円)の収入を得ている。

その結果、イランでは国民が経済的苦境に陥る一方で、国家が管理する富は最高指導者や革命防衛隊、そしてこれらを支える関係機関の手に集中する状況が生まれている。イランは紛争や制裁によって軍事と経済に甚大な損害を被っているにもかかわらず、その影響からほぼ隔離されている権力者には、米国と合意を結ぶ動機がほとんどないのだ。

forbes.com 原文) 

翻訳・編集=安藤清香

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