また、物事を途中でやめるには、行動科学における最も強力なバイアスの一つを無視する必要がある。「サンクコスト効果(埋没費用効果)」とは、たとえ今後のリターンが期待できなくても、これまでに費やしたコストを理由に投資を続けようとする心理的引力を指す。このパターンは金銭において定着しているが、『International Review of Social Psychology』誌に掲載された2023年の研究では、一貫性はやや劣るものの、時間に関しても同様の傾向が見られることが明らかになっている。
そして、「未完成」が必ずしも「放棄」を意味するわけではない。『Scientific Reports』誌に掲載された2025年の事前登録研究によると、問題から一時的に離れることで、最終的な解決策の質が向上することがわかっている。特に、休息をとったり、意識的に考え続けたりするよりも、中断している間に思考を自由にとどまらせた(マインドワンダリングさせた)場合にその効果が顕著に現れるという。諦めたように見える行動の一部は、単なる休息にすぎないのだ。
これら2つの習慣に共通するもの
どちらも根本にある能力は同じである。証拠が変わったときに判断を見直す意思だ。その証拠が、自分自身に関するものにすぎない場合も含まれる。
この点は慎重に説明する価値がある。なぜなら、逆のパターンが美徳と誤解されがちだからだ。状況に関わらずすべての約束を果たす人が、必ずしも信頼できるとは限らない。単に状況の変化に対応できていないだけかもしれないのだ。「頑なな遂行」と「熟考された遂行」は、軌道修正こそが明らかに優れた選択であったと判明するその瞬間まで、周囲からはまったく同じように見える。
もちろん、こうした性質があるからといって、ルーズな行動全般が称賛されるべきだというわけではない。上記の習慣が許容されるのは、早めに正直なコミュニケーションをとり、他者にコストや負担を押し付けない場合に限られる。午後7時の会食の約束を直前の6時55分にドタキャンすることは、戦略的な判断の変更ではなく、単に相手の時間を軽んじる不誠実な行為に過ぎない。また、特定の習慣が一つあるからといって知能の高さが保証されるわけではない。これらはあくまで現れやすい傾向であり、知能を診断するテストではない。


