そのうえ展開期間が延び、さらにトイレが詰まって使えない、休暇をほとんどとれない、といった問題が重なると、状況はますます悪くなる。
義理の息子がエイブラハム・リンカーンに乗艦しているというボニー・ヨークは、MSナウにこう語っている。「士気は振るわないようです。どうも、艦の医師かセラピストが『早く寄港しないと乗組員たちはじきに精神的に参ってしまう』というようなことを言ったそうです」
米海軍第5艦隊の報道官であるジョセフ・ホンツ中佐はMSナウに、乗組員は想定される摩耗や損耗は修理できていると説明する一方、「250日を超える展開は乗組員と装備にとって厳しいものです」と認めた。それでも「乗組員は引き続き粘り強く任務に励んでおり、与えられたいかなる任務もやり遂げる用意ができています」とも述べている。
4月には、エイブラハム・リンカーンと米海軍の強襲揚陸艦「トリポリ(LHA-7)」で食料が不足していると報じられた。ピート・ヘグセス米国防長官はこれを「フェイクニュース」と断じ、その直後に米海軍は、乗組員に栄養バランスのとれた十分な食事が提供されていることを示す画像を公開した。
エイブラハム・リンカーンの交代は時間の問題
米国の空母数が限られる一方、イランとの最終的な和平も成立していないため、エイブラハム・リンカーンがいつまで今回の展開を続けることになるのかは見通しにくい。
たとえ報道されている内容ほど状況が悪くないのだとしても、このような高い作戦テンポが乗組員の士気にとって好ましいものではないのは確かだ。また、空母にとっても好ましくない。長期間の展開任務に従事した空母は通常、整備期間も長期化し、その結果、次に派遣される空母の展開期間も長くなる可能性が高いからだ。この問題は、少なくとも中東情勢が収束するまでは悪化の一途をたどるだろう。
2003年の「イラクの自由作戦」の最中には、米海軍は中東地域に空母を6隻展開させていた。うち5個空母打撃群は、同年3月20日に開始された「衝撃と畏怖」式の初期攻撃に活発に参加した。
米海軍が今回、中東に空母3隻を同時に展開させることができたのは、4月下旬の短期間だけだった。現在、中東に展開しているのは2隻にとどまる。


