創業者の多くに、最も優良な顧客はどこから獲得したかを尋ねると、その大半は特定のキャンペーンを挙げる。ようやく成果につながった有料広告、アポイントを獲得できたコールドメール(面識のない相手へのアプローチ)、あるいは適切なカンファレンスへの出展などだ。
私は30年以上にわたり、全国規模の営業チームや戦略的パートナーシップのエコシステムを構築してきた。全米規模のPEO(プロフェッショナル雇用主組織)の成長支援も含まれる。その中で、何度も繰り返し目にしてきた現実がある。それは、最良の顧客がそうした経路からやってくることはめったにないということだ。彼らは、買い手(顧客)がすでに信頼している人物からの推薦によってもたらされる。
その「信頼している人物」が、マーケターであることはめったにない。大抵は、会計士や社外CFO(非常勤CFO)、銀行員、あるいは財務コンサルタントである。こうした専門家があなたを推薦すると、信頼感と安心感が生まれ、創業者は質の高い優良顧客を獲得できる可能性を確信できるようになる。
ほとんどの創業者は、この領域以外のあらゆる場所にエネルギーを注ぎ込んでいる。それこそが間違いだ。なぜなら、信頼関係の構築には忍耐が必要であり、信頼こそが持続可能な成長に不可欠だからである。
なぜ「推薦」は常に「ピッチ」に勝るのか
コールドアウトリーチ(面識のない相手へのアプローチ)は、買い手に対して見知らぬ企業に賭けるというリスクを求める。一方で、紹介(リファラル)は、最初の電話をかける前にそのリスクを取り除いてくれる。
私は、給与計算や人事アウトソーシング、福利厚生、プロフェッショナルサービスなど、さまざまな分野でこの力学が繰り返し働くのを見てきた。業界を問わず、信頼されるアドバイザーからの紹介を獲得する企業は、アウトバウンドマーケティングだけに頼る企業を一貫して上回る。最初から信頼関係が確立された状態で関係をスタートできるからだ。
これこそが、創業者が過小評価している部分だ。買い手は最初からあなたを探し始めるわけではない。すでにアドバイス料を支払っている相手に相談することから始めるのだ。あなたが広告やメールを通じて通常のように登場する頃には、信頼できるアドバイザーがすでに買い手の候補リスト(ショートリスト)を作成し終えていることが多い。もしそのリストにあなたが入っていなければ、あなたは競争に参加していない。そして、その競争があったことにすら気づかない。
適切なアドバイザーが紹介してくれたおかげで、1回の商談で成約に至った事例を私は見てきた。一方で、より多くの予算を持つ企業が、同じ商談を逃す姿も見てきた。彼らが注目を引こうと躍起になっている間に、競合他社はコーヒーを飲みながら推薦されていたのだ。
私が構築を支援してきた最も強固な顧客関係のいくつかは、正式な購買プロセスが始まる何カ月も前に、公認会計士(CPA)や銀行員、あるいは財務アドバイザーが簡単な紹介をしてくれたことから始まっている。そうした会話は、ほぼ常に説得ではなく信頼から始まっていた。
次の優良顧客10人をすでに抱えているアドバイザーたち
企業のオーナーが実際に誰の言葉に耳を傾けるか考えてみてほしい。フィードで見かけたロゴではない。彼らの財務数値を把握している会計士や、融資枠を承認してくれた銀行員、組織再編を支援してくれたコンサルタント、そして契約実務を担当する弁護士である。彼らは、いかなるキャンペーンでも買い取ることのできないレベルの信頼とアクセス権を勝ち得ている。
彼らはそれぞれ、あなたが解決できるまさにその問題に直面している数十人ものビジネスオーナーと話をしている。あなたの次の優良顧客10人は、今この瞬間もアドバイザーの顧客名簿の中に眠っているはずだ。唯一の疑問は、そのアドバイザーがあなたを十分に理解し、信頼し、しかるべきタイミングであなたの名前を挙げてくれるかどうかだ。
なぜほとんどの企業がこのチャネルを構築できないのか
アドバイザーによる紹介がこれほど効果的であるなら、なぜほとんどの企業が意図的にこのチャネルを構築しようとしないのだろうか。理由は2つある。
1. A/Bテストを行う代わりに、信頼できるアドバイザーからの紹介、顧客の質、関係性の強さといった定性的指標を追跡し、真の影響力を測定する必要があるため。
2. 強固なアドバイザーネットワークの構築には忍耐が必要だが、キャンペーンによる目先の成果とは異なり、長期的な成長を支える高品質な紹介をもたらすため。
そのため、このチャネルは手つかずのまま開かれている。このチャネルに真剣に取り組む企業には、競合がほとんど存在しない。なぜなら、他のすべての企業は見知らぬ他者を追いかけるのに忙しいからだ。
アドバイザーから推薦されるパートナーになる方法
紹介を望むことは戦略ではない。紹介されるに値する存在になることこそが戦略だ。どの会計士、銀行員、あるいは弁護士がターゲット顧客にサービスを提供しているかを調査し、彼らと効果的につながるための個別のアプローチを構築する。そうすることで、最初から信頼と信用を築くことができ、推薦される確率が高まる。
・アドバイザーの顔を立てる。会計士があなたを紹介するとき、彼らの評判もかかっている。紹介されたすべての顧客を、自社で最も重要な顧客であるかのように扱う必要がある。なぜなら、彼らの体験が、紹介してくれた人物の評価に直結するからだ。一度でも不適切な対応をすれば、そのアドバイザーは二度とあなたを紹介してくれなくなる。
・求める前に、まず与える。パートナーシップを最も早く台無しにする方法は、初日からアドバイザーをリード(見込み顧客)の獲得源として扱うことだ。こちらから顧客を紹介する。彼らが自身の顧客に対してより的確な提案をできるよう、インサイトを共有する。彼らの仕事をより容易にする存在になる。互恵性は関係を築き、搾取はそれを終わらせる。
・簡単に推薦できるようにする。アドバイザーは多忙であり、紹介の手続きが複雑であれば、紹介を控える理由になってしまう。あなたが誰を支援し、それによって何が変わるのかを、明確な1つの文章で伝えることだ。立ち話のなかで彼らがあなたの価値を再現できるなら、彼らはそうしてくれるだろう。
・しつこくならずに存在感を保つ。一貫して存在を示し続けることで、相手に対して、自分が信頼に値する存在であり、相手の成功を支援する姿勢があることを確信させられる。
・業者としてではなく、対等なパートナーとして接する。相互尊重に基づく本物の関係を築くことで、創業者は価値を認められ、信頼されていると感じ、自然な成長を促すことができる。
忍耐強い者に報いるチャネル
アドバイザーによる紹介は、スイッチを入れればすぐに効果が出るキャンペーンのような即時的な満足感をもたらすことは決してない。しかし、それ以上に価値あるものをもたらしてくれる。より質の高い顧客、より短いセールスサイクル、そして競合他社がどれほど資金を投じても奪うことのできないビジネスの流れだ。なぜなら、このチャネルは広告費ではなく、信頼によって機能しているからだ。
このゲームを制する創業者は、最大の広告予算を持っている者ではない。数年前に、すべての信頼できるアドバイザーが安心して推薦できるパートナーになると決断した者たちだ。その取り組みは今すぐに始めるべきであり、それはあなたのビジネスの一生にわたって実を結び続けるだろう。



