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AI

2026.08.08 10:53

AIはホテルの滞在をどのように「つながるゲストジャーニー」に変えるのか

stock.adobe.com

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ホテル業界は何十年もの間、主に客室を売ることに注力してきた。

スパ、レストラン、カバナ(プールサイドなどのプライベートスペース)、キッズプログラム、その他の体験は、それぞれ別個の事業として運営されることが多く、各部門が独自の予約システムを持っていた。場合によっては、デジタル予約システムがまったく存在しないこともあった。

そうした分断されたモデルが変わり始めている。

旅行者が体験をますます重視し、より高度なパーソナライゼーションを期待するようになるなか、ホテルには単なる客室予約にとどまらず、ゲストジャーニー全体を管理する機会が広がっている。

RealTime ReservationのCEOであるショーン・ターターは、業界の次のフェーズでは、ゲストの好み、付帯サービスの予約、そしてAI(人工知能)が1つの接続されたプラットフォームに統合されると考えている。

「私たちが始めたとき、こう問いかけました。『なぜ休暇を計画する際に、到着時にカバナが用意され、スパが予約され、子どもたちはキッズクラブに預けられ、レストランの予約まで完了した状態にできないのか』と」とターターは最近のインタビューで語った。

その体験を提供するテクノロジーは、以前よりも手に入りやすくなっている。しかし、それを実現するためには、ホテルがシステムを接続し、データを改善し、好みを共有することが有意義な価値を生み出すと旅行者に納得してもらう必要がある。

分断されたホテル体験がもたらす課題

RealTime Reservationは2014年、付帯収入の向上と業務効率化に焦点を当てて始動した。ターターは、ホテルが客室以外のサービス予約において手作業のプロセスに依存していることに気づいた。専門的なプラットフォームが登場したものの、それらは一般的にレストラン、スパ、レクリエーション活動といった個別のカテゴリーに対応するものだった。

それによって一部の体験はデジタル化されたが、必ずしも相互に接続されたわけではなかった。

ゲストはあるシステムでマッサージを予約し、別のシステムでレストランを予約し、さらにホテルに電話をかけてカバナをリクエストすることになる。旅行者は複数の予約確認書を管理しなければならず、一方でホテルの従業員はゲストの予定の全体像を把握できない可能性がある。

RealTime Reservationは長年にわたり、複数のカテゴリーにまたがる予約機能を構築してきた。ホスピタリティ分野のゲスト体験プラットフォームであるSTAYとの統合により、同社のサービス展開は世界約2500のホテルに拡大したとターターは言う。STAYのテクノロジーは、モバイルアプリ、メッセージング、ハウスキーピングの依頼など、滞在中のゲスト体験に焦点を当てている。

より大きな目標は、到着前の計画と滞在中の体験を1つのエコシステムに統合することだ。

ターターは、目指すべき体験をアマゾンのショッピングカートに例えている。ゲストは、いくつかの独立したプラットフォームを巡るのではなく、複数のアクティビティを選択し、それらを1つの旅程で確認し、1回の決済で完了できるようになるべきだという。

到着前の計画がゲストとホテル双方に価値をもたらす

多くの旅行者は依然として、リゾートに到着してから「どのようなアクティビティがあるか」を尋ねる。その時点では、人気の選択肢はすでに予約で埋まっている可能性がある。

人気のカバナ、スパトリートメント、フィットネスクラス、レストランなどは、チェックインのずっと前に満席になることがある。また、事前準備が必要な体験もある。ホテルがカスタムのバースデーケーキを作るのに2日、テニスのインストラクターやシェフ、地元の専門家の手配に数日かかることもある。

「私たちは、ゲストが到着する前からゲストジャーニーに関わってもらいたいと考えている」とターターは語る。「到着前にゲストの関与を高められれば高めるほど、すべての計画を1カ所で完結させることができる」

旅行者にとっては摩擦(手続きの煩わしさ)が減り、機会を逃す不安も軽減される。ホテルにとっては、より早い段階でエンゲージメントを築くことで、体験を販売し、在庫を管理し、外部のプロバイダーと調整するための時間を十分に確保できるようになる。

また、ホテルが客室稼働率や客室単価だけに囚われるのを防ぐことにもつながる。稼働率が同じ2つのホテルであっても、滞在している顧客層によって、付帯収入の獲得機会は大きく異なる。例えば、会議の出席者で満室のホテルでは、プールやスパの稼働に余力があるため、地元のデイユース利用者に提供できる可能性がある。

このモデルでは、イールドマネジメント(収益管理)の対象が客室だけでなく、レストラン、スパ、カバナ、その他の収益部門にまで拡大する。

AI活用の前提となるクリーンなデータ

AIは最終的に、ホテルでの計画をはるかに直感的なものにする可能性がある。旅行者が「早朝にワークアウトを行い、午前8時半にヘルシーな朝食をとり、午後にマッサージを受けたい」とホテルに伝えるとする。するとシステムが、空き状況やゲストの過去の行動パターンに基づいて、最適な旅程を提案、あるいは予約まで自動で行うようになるかもしれない。

ターターはこれを業界の現実的な方向性と見ているが、AIの成果は正確で接続されたデータにかかっていると繰り返し強調した。

「データは完璧でなければなりません」と彼は語る。「データレイクが完璧であり、予約エンジンが統一されていること。その上にAIのレイヤーを重ねることで初めて、存在するあらゆる機会を見つけ出すことができるのです」

ホテルは早起きのゲストを特定し、深夜のエンターテインメントではなく朝のアクティビティを提案できるかもしれない。AIは裏方の業務効率化にも貢献する。ターターは、レストランが注文パターンからテーブルの滞在時間を予測する例を挙げた。特定の大皿料理の注文は食事時間を長引かせる傾向があるため、受付担当者が予約なしのゲストに対して、より正確な待ち時間を案内できるようになる。

こうした応用法の中には、未来的なAIというよりも高度なアナリティクス(データ分析)に近いものもあるかもしれない。重要な変化は、ホテルがパターンを特定し、それに対応するスピードと規模が飛躍的に向上することだ。

パーソナライズに不可欠な「許諾」と「判断」

接続されたパーソナライズ化が進むと、「旅行者はどこまで情報を共有してくれるか」という避けて通れない疑問が生じる。

ターターによると、RealTime Reservationはホテルとブランドの情報を分離して管理し、ゲストデータの削除手続きを含むGDPR(EU一般データ保護規則)の要件を遵守している。一方で、将来の予約がスムーズになるのであれば、自身のプロフィールを保存または共有することを選択する旅行者が増えているとも感じている。

このトレードオフは、ホスピタリティ分野におけるパーソナライズ化の核心となる。入力フォームの削減、より関連性の高い提案、自分のニーズに合わせた旅行プランなど、得られる見返りが明確であれば、消費者は情報を共有してもよいと考えるかもしれない。

ホテル側は過度なパーソナライズを避けなければならない。ゲストの過去の行動は、その人自身のものではなく、以前の旅行同行者の好みを反映しているだけかもしれない。文脈を無視して、自動的にお気に入りの飲み物やレストラン、アクティビティを提示することは、気まずい状況を生み出す恐れがある。

最も優れたシステムは、憶測で判断するのではなく、思慮深く提案し、好みの確認を行い、旅行者自身にコントロール権を与えるものになるだろう。

客室の販売から、時間のキュレーションへ

より大きな好機は、ホテルが販売するものを再定義することにある。旅行者は単に宿泊する場所を購入しているのではない。家族や友人と過ごす限られた休暇の時間を購入しているのだ。

「家族と休暇に出かけるときは、それを最高の休暇にしたい」とターターは言う。「私には7日間の時間があり、子どもたちは成長している。今しかできない体験があるのだ。事前に手配できると知っていれば、半年前に予約していただろう」

このような視点を持つことで、付帯収入の役割が変わる。カバナ、プライベートレッスン、子ども向けのアクティビティ、特別なディナーなどは、単なるアップセル(単価アップの提案)ではない。適切なタイミングでパーソナライズされれば、それは旅を決定づける重要な要素になり得るのだ。

ターターが描く未来では、記入フォームやバラバラの予約確認書は不要になる。ゲストは自分の興味を伝え、キュレーションされた旅程を受け取り、一括で支払いを行い、すでにすべての予定が整った状態で到着する。アクティビティの変更やキャンセルも、1つの管理画面から行うことができる。

このような「つながるゲストジャーニー」を実現するホテルは、売上の向上、業務効率の改善、そして優れたゲスト体験の提供を同時に達成できる可能性がある。AIはそれを支える手段にすぎず、本当の競争優位性は、旅行者に単なる新たな提案以上の価値、すなわち「自分の時間をより自由にコントロールできること」を提供するためにAIを活用することでもたらされるだろう。

forbes.com 原文

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