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リーダーシップ

2026.08.08 10:06

コミュニティ、謙虚さ、互恵性——先住民の価値観が導く新しいリーダーシップの形

stock.adobe.com

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ネイティブ・フォワードのCEO、アンジェリーク・アルバートは、先住民の価値観(コミュニティ、謙虚さ、互恵性)に基づき構築された職場環境が、決して「生ぬるいカルチャー」ではなく、むしろ勝利のための戦略であることを証明している。

筆者がアンジェリーク・アルバートに出会ったのは、サウス・バイ・サウスウェスト・エデュケーション(SXSW EDU)だった。彼女は、そのカンファレンス全体で唯一、先住民のリーダーとして登壇した人物だった。この事実は、ある人には特筆すべきことではないかもしれないが、筆者には見過ごせないものだった。だからこそ筆者は、重要な仕事をしているにもかかわらず相応の注目を得ていないことの多い思いやりあるリーダーを取り上げている。

アルバートがCEOを務めるネイティブ・フォワードは、先住民の学生を対象とした最大級の非営利奨学金団体だ。ランチを共にしながら、彼女は歴史の授業であり、リーダーシップのマスタークラスであり、行動を促す呼びかけでもある物語を聞かせてくれた。

かつての敵対関係から生まれたムーブメント

ネイティブ・フォワードの起源には、最初のリーダーシップの教訓が隠されている。1960年代後半、オネイダ族のボブ・ベネットは内務省の内部からシステムを変えようと長年試みていたが、状況がまったく変わらないのを目の当たりにしていた。サンタフェで開かれた集会で、インディアン教育局への抗議のために複数の部族が集まった際、プロテスターの中にタオス・プエブロの部族リーダーであるジョン・レイナーがいた。2人は文字通り、正反対の立場にいた。

しかし、2人は力を合わせることを選んだ。永続的な変化をもたらすには、教育を受けた先住民が影響力のある最高位のポジションに就く必要があると確信した2人は、最初の資金を募り、1969年に2人の学生に奨学金を授与した。彼らはモンタナ大学のキャンパス内にあるトレーラーハウスから活動を始め、後にレイナーが暮らすタオスのガレージへと拠点を移した。

そのわずか2件の奨学金から始まったネイティブ・フォワードは、現在までに全50州で2万2000人以上の奨学生を支援し、連邦政府が公認する575の部族のうち500以上にその手を差し伸べている。同団体が設立された当時、先住民の弁護士はわずか38人しかいなかった。しかし今日では、2000人以上の部族弁護士と、2200人以上の先住民の博士号保持者が誕生している。

敵対者として始まった2人のリーダーは、対立ではなく協働を選ぶことでレガシーを築いた。違いを持つ者同士が一つになり、より良いものを生み出すというこの教訓は、今ほど必要とされている時はない。

政府に連れ去られた祖父の記憶

アルバートにとって、この使命は先祖代々のものだ。サリッシュ・クーテナイ連合部族の一員だった彼女の祖父は、5歳の時に家族から引き離され、寄宿学校へ強制的に入学させられた。彼は何度も脱走を繰り返し、そのたびに連れ戻されたが、10歳頃に州外へ向かう列車に飛び乗り、再び強制送還される年齢を過ぎるまで、たった一人で生き延びた。彼女の母親の世代もまた寄宿学校に通った。祖父母は、苦痛を伴う2つの選択肢のうち、より安全な道として、保留地外のカトリック学校を選んだという。

「祖父母の世代は、教育機関と名ばかりの施設への通学を義務づける連邦法に縛られていました」と彼女は語る。「しかし、彼らが質の高い教育を受けられる機会はありませんでした」

アルバートは、家族の中で初めて教育への実質的なアクセスを得た世代であり、出願手続きや奨学金の申請、大学院進学などをすべて自力で解決しなければならなかった、一族初の大学進学者だ。その経験が、ネイティブ・フォワードが今日、奨学生を支援するあり方を形づくっている。なぜなら、資金だけが答えのすべてではないからだ。

先住民の学生たちは、謙虚さやコミュニティを重視して育てられるが、こうした価値観は、自己アピールや自己主張を前提とする大学のシステムとは相容れない。そのため、ネイティブ・フォワードのすべての奨学生には、担当のスタッフがつく。スタッフは状況をこまめに確認し、卒業を祝い、時には学生に代わって大学の事務局に電話をかける。アルバートによれば、この「一本の電話」こそが、学生たちの退学を防ぐ上で最も効果的な役割を果たしてきた。実績は明白だ。ネイティブ・フォワードの特別プログラムに参加する学生の大学卒業率は69%に達し、先住民全体の平均である約38〜41%を大きく上回る。大学院生の卒業率は、95%という驚異的な数値を記録している。

数字の裏に隠された危機

それでも格差は広がっている。2010年には約19万7000人の先住民学生が高等教育機関に在籍していたが、2023年には約10万7000人にまで減少した。実に45%という深刻な減少である。

アルバートは、支援者や政策立案者が早急に理解すべき点についても明言している。先住民への教育資金支援は、いわゆる「DEI(多様性・公平性・包括性)」の取り組みではないという点だ。先住民は主権国家の市民であり、政府はあらゆる多様性プログラムに先立ち、それらとは無関係に、部族コミュニティに対して条約上の義務を負っている。しかし、DEI予算の削減の煽りを先住民の学生たちが受けており、団体の支援キャパシティが限界に達しつつあるまさにその瞬間に、彼らはネイティブ・フォワードに助けを求めている。アルバートの試算によれば、年間で必要とされる資金の不足額は2億ドル(約316億円)以上にのぼる。

超党派のシンクタンク、ブルッキングス研究所の最近の報告書によると、「政府は先住民の部族および人々に対して信託および条約上の責任を負っており、これには質の高い教育へのアクセスが含まれる。法的および政治的な先例に根ざしたこの信託責任は、部族の主権、資源、および福祉を保護することを政府が確約する法的義務である」とされている。

先住民の価値観に基づく職場環境

筆者が最も心を動かされたのは、アルバートのリーダーシップのあり方だ。彼女は、自身が部族社会で育つ中で学んだ「個人よりもコミュニティ」「互恵性」「謙虚さ」という教えをベースに、ネイティブ・フォワードの組織カルチャーを築き上げた。これらは、あらゆる組織に求められながらも、めったに見られない要素だ。

彼女のリーダーシップチームは、階層型ではなく共同で業務を進める。課題はオープンに提示され、全員で解決を図る。スタッフ会議のファシリテーターは持ち回りで担当し、その形はピラミッド型ではなく「円(サークル)」のようだ。従業員には、伝統的な儀式「サンダンス」などの文化的行事に参加するための休暇が認められている。また、アルバートは支援者たちに働きかけ、奨学生が文化的義務のために一時的に学業を離れても、奨学金が打ち切られない仕組みを整えた。

彼女がこのカルチャーの価値を学んだのは、皮肉にもそれとは対極にある環境を経験したからだった。キャリアの初期に、ある財団に勤務していた際、会議で出席者たちが自己主張を通すために他人の発言を遮る光景を目にした。「部族のコミュニティでは、静かに座り、全員が話し終えるのを待ってから自分の意見を口にします」と彼女は語る。「時には長い沈黙が流れることもあります。相手に十分な考える時間と思考のスペースを提供したいからです」

同団体が掲げるバリュー(行動指針)の一つに、「It's personal(これは私たちの物語だ)」というシンプルな言葉がある。多くの人は、それがアルバート個人にとっての意味だと思いがちだが、そうではない。スタッフ全員で導き出したこの言葉には、ネイティブ・フォワードのすべての活動が自分たちの部族コミュニティに影響を与えるからこそ、この仕事が「自分事」なのだという意志が込められている。

彼女はまた、不足(パイの奪い合い)ではなく、豊かさ(共創)の精神に基づいて組織を率いている。限られた慈善活動の支援枠をめぐって囲い込みをするのではなく、競合とも呼べる他の団体とパートナーシップを組み、互いに学び合い、先住民コミュニティへより質の高い支援を届ける方法を共有している。これは、対立する立場から協力へと舵を切った、創設者たちの物語とも深く響き合っている。

「自分らしくあること」が最大の戦略

アルバートに、リーダーシップにおける最も重要な教訓を尋ねると、彼女は迷わず「ありのまま(オーセンティシティ)でいること」と答えた。キャリアの浅い頃、彼女はより大きな影響力を発揮しようと、周囲に自分を合わせようとしていた。しかし皮肉なことに、彼女が頭角を現したのは、完全に自分らしくいられる場所においてだったという。現在、彼女が様々な場に招かれるのは、まさに彼女ならではのユニークな視点を持っているからだ。彼女が自分自身のすべてをさらけ出してその場に臨むことで、周囲の人々にも同様に自分らしく振る舞う勇気を与えている。

もし、自分を押し殺して周囲に合わせるべきか葛藤しているリーダーがいるなら、このアドバイスは決して気休めなどではない。これは勝つための明確な戦略なのだ。

今年、支援を受ける資格がありながらも、資金不足のために断念せざるを得ない先住民の学生が1万人にのぼる。もし、あなたに支援の手を差し伸べる余裕があるなら、ぜひ nativeforward.org を訪れ、寄付やパートナーシップの提携を検討してほしい。そして、イベントやカンファレンスを主催する立場にあるなら、登壇者のリストを見つめ直し、先住民をはじめとする「もっと社会に届くべき声」に対して、私たちが果たすべき責任について考えてみてほしい。

forbes.com 原文

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