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働き方

2026.08.08 07:47

デジタルノマドが選ぶべき10カ国:リモートワーク新時代の拠点

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リモートワークが世界的に広がるなか、デジタルノマドはプロフェッショナルが暮らす場所の選び方を急速に変えつつある。投資家はリスク管理のためにポートフォリオを分散する。デジタルノマドもまた、同じ考え方を地理に適用し始めている。

数十年にわたり、どこに住むかは仕事の所在地によってほぼ決まっていた。しかしここ数年で、その前提は崩れ始めている。リモートワークの台頭に、デジタルノマド向けビザの増加が重なったことで、数百万人のプロフェッショナルが固定された場所から解き放たれ、雇用主の拠点都市をはるかに越えた場所で暮らし、働く選択肢を得るようになった。

ワークフォース・コンサルティング企業MBO Partnersの「2025 State of Independence」調査によると、現在、自らをデジタルノマドと認識する米国人は約1850万人に上る。同社の推計では、これは2019年から153%の増加であり、パンデミック以降にリモートワークがいかに大きく拡大したかを示している。柔軟性を試す実験として始まったものは、仕事、地理、ライフスタイルに対するプロフェッショナルの考え方を変える構造的な転換へと静かに進化してきた。

デジタルノマドは、経済的にも重要な存在になりつつある。MBO Partnersが引用した調査や関連する経済研究では、世界のデジタルノマド・コミュニティーが生み出す年間経済価値は約7870億ドル(約125兆円)と推計されている。その大部分は、一時的に滞在する地域での住宅、旅行、コワーキングスペース、現地サービスへの支出によるものだ。

多くのノマドは比較的高い所得水準も伴って移動している。約半数が世帯年収7万5000ドル(約1190万円)超と回答しており、外部からの所得を地域経済に直接注入している。その結果、ビザからリモートワーク基盤に至るまで、デジタルノマド向けサービスのエコシステム全体は、2024年の約350億ドル(約5兆5400億円)から2032年には1000億ドル(約15兆8000億円)超へ成長すると見込まれている。

こうした潮流は、各国政府にも見過ごされていない。現在、50カ国以上が何らかのデジタルノマド向けビザを提供している。これは、必ずしも現地の雇用と直接競合することなく、所得、消費力、経済活動をもたらすリモートワーカーや起業家を呼び込むための制度だ。

場所の柔軟性に対する魅力も、持続的なものに見える。職場プラットフォームのBufferが発表した年次報告書「State of Remote Work」では、リモートワーカーの98%が、キャリアの残りの期間も少なくとも一部はリモートで働きたいと答えている。

多くのプロフェッショナルにとって、もはや問いは「リモートワークは可能か」ではない。「どこに住むのが最も合理的か」である。筆者にとっても、その好奇心はますます現実的なものになっている。住宅費と日常の支出が近年急上昇しているマイアミに暮らすなかで、生活が他の場所ではどのようなものになるのかを、より真剣に考えるようになった。強固なインフラと安全性があり、資金の価値がより伸び、他国への移動も容易な場所である。

そうした観点から、筆者は米国を拠点とするリモートワーカーの視点で各地を検討した。ビザの取得しやすさ、政治的安定、生活費、生活の質、医療へのアクセス、インフラ、地域内の移動性を重視した。データソースには、世界平和度指数、Nomad List、VisaGuideのデジタルノマド・ランキング、各国政府の公式ビザ制度を用いた。

今、デジタルノマドに最適な国

以下に挙げる国のなかには、すでにデジタルノマドの拠点としてよく知られた場所もある。一方で、世界を移動するプロフェッショナルの次の波に向け、静かに存在感を高めている、意外性のある目的地もある。スペイン、メキシコ、バリなど、なじみ深いいくつかの名前は意図的にリストから外した。リモートワーカーに人気がある一方で、住宅市場への圧力の高まり、政策の変化、安全面の懸念などを踏まえると、現時点では他の目的地の方がより魅力的だと判断したためである。

ポルトガル

ポルトガルは、世界で最も確立されたデジタルノマドのエコシステムの1つとなっている。D8デジタルノマドビザ、比較的手頃な生活費、高い生活の質により、世界中のリモートワーカーを引きつけ続けている。

リスボンは主要な拠点として台頭している一方、ポルトやマデイラは、拡大するコワーキング・コミュニティーとより低い住宅費を備えた、比較的落ち着いた選択肢となっている。ポルトガルは安全性の評価も高く、欧州連合(EU)内での長期居住につながる可能性もある。

マルタ

マルタは、地中海的なライフスタイルと、米国人にとっての実務上の利用しやすさを兼ね備えている。英語が広く使われ、法制度は多くの国際居住者になじみやすく、同国のノマド居住許可制度により、EU域外の市民も外国の雇用主のためにリモートで働きながら滞在できる。

信頼性の高いインフラ、温暖な気候、欧州各地への移動のしやすさにより、マルタは魅力的な拠点となっている。

アンドラ

フランスとスペインの間、ピレネー山脈に抱かれたアンドラは、リモートワーカーにとって欧州で最も見過ごされている目的地の1つであり続けている。

この小さな公国は、低い犯罪率、有利な税制、並外れた山岳景観を備えている。バルセロナやトゥールーズといった大都市に近いため、住民は静かなアルプス風の暮らしを楽しみながら、欧州の主要ハブとのつながりも維持できる。安定性と経済効率の双方を求めるノマドにとって、アンドラはますます注目に値する存在になっている。

エストニア

エストニアは、世界で初めて専用のデジタルノマドビザを導入した国の1つであり、デジタルインフラの面でも引き続き先頭を走っている。

行政サービスの多くはオンラインで提供され、インターネット速度も速く、首都タリンには活発なスタートアップ文化がある。テクノロジーを重視するプロフェッショナルにとって、エストニアは欧州で最も先進的な環境の1つであり続けている。

ギリシャ

ギリシャは、デジタルノマドビザと、西欧に比べて比較的利用しやすい生活費を背景に、デジタルノマドにとって魅力的な選択肢として静かに浮上している。

アテネは活気ある文化と強固な接続性を備え、クレタ島のような島々は、よりゆったりしたライフスタイルを求める人にスローペースの選択肢を提供する。ギリシャは安全性や国際線へのアクセスの面でも高い評価を得ている。

スロベニア

スロベニアが一般的なデジタルノマドのリストに登場することは少ないが、中欧で最もバランスの取れた環境の1つを提供している。

リュブリャナは、歴史的な魅力と現代的なインフラ、高い安全性評価、屋外レクリエーションへのアクセスの良さを兼ね備えている。イタリア、オーストリア、ハンガリー、クロアチアに囲まれた立地も、この地域を探索するための理想的な出発点にしている。

タイ

タイは長らく、世界で最も確立されたデジタルノマドの目的地の1つであり続けている。

チェンマイやバンコクといった都市には、強固なコワーキング・コミュニティー、信頼性の高いインターネット基盤、比較的手頃な生活費がある。リモートワーカーを対象とした新たなビザ施策は、こうした働き手がもたらす経済的価値を同国が認識していることを示している。

日本

日本は近年、高所得のリモートワーカーを呼び込むことを目的としたビザ制度を導入し、世界で最も技術的に進んだ、文化的にも豊かな環境の1つへの扉を開いた。

東京と大阪は、卓越したインフラ、交通システム、安全性を備えている。安定性と世界水準の都市生活を求めるノマドにとって、日本は説得力のある選択肢である。

スイス

スイスは、世界のどこよりも高い生活水準の1つを提供している。

生活費は多くのデジタルノマドの目的地と比べてかなり高いものの、安全性、インフラ、政治的安定、交通網により、手頃さよりも生活の質を優先するプロフェッショナルにとって魅力的な国となっている。欧州の中央に位置することから、大陸全域への移動も容易である。

オーストリア(穴場)

オーストリアがデジタルノマドのランキングに登場することは少ないが、真剣に注目する価値がある。

ウィーンは、文化施設、安全性、交通インフラ、総合的な生活の質により、世界で最も住みやすい都市の上位に常に位置している。欧州の中心にある立地も、旅行の拠点として非常に優れている。

安定し、知的刺激に富んだ環境を求めるリモートワーカーにとって、オーストリアは欧州で最も過小評価されている選択肢の1つかもしれない。

グローバルな労働力がもたらすトレードオフ

マルタの首都バレッタ中心部の細い通り

デジタルノマドの拠点の台頭は、摩擦を伴わずに進んできたわけではない。

リスボンやバリのような都市では、現地住民より高い給与を得ることの多いリモートワーカーの流入に伴い、住宅費が急騰している。同様の圧力は、マイアミからバルセロナに至る世界各地の都市でも生じており、現代経済におけるより広い現実を浮き彫りにしている。すなわち、移動性は機会を生む一方で、地域の住宅市場を作り変えることもあるということだ。

地域社会にとって、移動するプロフェッショナルの流入は住宅供給を圧迫し、ジェントリフィケーションを加速させる可能性がある。一方で政府にとって、デジタルノマドは新しい種類の経済参加者である。必ずしも現地の雇用と競合することなく、外部からの所得と消費力をもたらす働き手だ。

リモートワークが進化し続けるなか、各国は経済的機会と地域住民のニーズのバランスを取ろうとする政策を試みている。

まとめ

スロベニア・リュブリャナのパノラマ(欧州)

リモートワークは、地理をキャリア上の制約から戦略的な選択へと変えた。

各国政府が世界を移動するプロフェッショナルの誘致を競うなか、安定性、開放性、生活の質を兼ね備えた目的地は、次世代のデジタルワーカーの拠点として、ますます存在感を高めていくだろう。

ハンバーガーがグローバル・フランチャイズによる富の第一世代を築いたのだとすれば、移動性はプロフェッショナル生活の次世代を定義するものになるかもしれない。どこからでも働ける柔軟性を持つ人にとって、もはや問いは「世界は手の届く場所にあるのか」ではない。どの場所が、最も魅力的な人生のかたちを提供してくれるのか、である。

forbes.com 原文

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