設備投資(資本支出)は通常、決算発表の中で最も退屈な項目だ。しかし、スペースXが上場企業として発表した最初の決算報告において、それは唯一重要視される項目となった。売上高は前年同期比92%増の78億1000万ドル(約1兆2262億円)となり、アナリストの予測モデルを約13%上回った。一方で純損失は5億4100万ドル(約849億円)に縮小した。
そして問題の支出だ。スペースXの同期の設備投資額は183億7000万ドル(約2兆8841億円)に達し、そのうち158億3000万ドル(約2兆4853億円)がAIインフラに投じられた。これは、市場予想の約132億2000万ドル(約2兆755億円)を大きく上回る数字だ。あるロケット会社が、3カ月間で四半期売上高の約2倍に相当する額をコンピューティング機器に費やし、さらに年内の残りの支出計画について投資家への開示を拒んだのである。
この情報に対して、株価は二面性のある動きを見せた。通常取引では前日比9.4%高の125.33ドルで引けたものの、設備投資の数字が精査されると、時間外取引で約7%下落した。トレーダーたちは日中にその野望を買い、その夜に請求書を売り払ったのだ。
マスクがエヌビディア独占を明言、株高で時価総額約840兆円へ
その決算説明会の数時間前、スペースXとエヌビディアは、「Starmind AI1」を発表した。軌道上でAIワークロードを実行する衛星コンステレーション計画の第1号機となる機体だ。計画中の衛星コンステレーションの第1号機となる各衛星にはエヌビディアのRubin(ルービン)GPUとVera(ヴェラ)CPUが搭載されている。決算説明会で、イーロン・マスクは単なる製品提携をはるかに超える発言をした。
「我々は、Vera Rubinアーキテクチャが最高のアーキテクチャであると考えている。我々はエヌビディアと独占的に取引している」
この一言が市場の関心を捉えた。エヌビディア株は3.5%上昇して219ドルを超えて取引され、時価総額は5兆3500億ドル(約840兆円)近くに達した。報道は、有力な顧客が製品を絶賛し、サプライヤーの株価が上昇するという、すぐに定番の構図に落ち着いた。
しかし、バイヤー(買い手)側の視点からこの発言を読み解くと、より厳しい現実が見えてくる。複数ベンダーからの調達(マルチベンダー・ソーシング)を行う理由はただ1つ、予算の中で最も高額な項目に対する交渉力を維持することだ。スペースXは、自社の最大支出項目において、値引きを開示することもなく、代替の調達先(セカンドソース)を挙げることもなく、その交渉力を公に手放したのだ。顧客側が独占を宣言する場合、それは「実際に手に入るものがそれしかない」という状況を説明しているにすぎない。



