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ビジネス

2026.08.07 14:38

中国は小さく始めず、欧米は大きく始めない

stock.adobe.com

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過去20年で最も重大な企業間の分岐は、技術的なものではない。構造的なものだ。

多くの欧米の産業大手は、既存カテゴリーを深化させるべく構造的に最適化されている。資本配分、取締役会のインセンティブ、投資家の期待——それらすべてが中核的アイデンティティの優位性を強化している。

中国企業は多くの場合、逆の論理で動いている。すなわち、市場での支配的地位はゴールではなく、次の展開のための足場なのだ。BYD、CATL、シャオミ(Xiaomi)、ハイアール(Haier)といった企業は、セクターにおける習熟を、深く根を張るためではなく、次の飛躍のために利用してきた。

この経営哲学の違いは今、地政学的な帰結の違いへと複利的に拡大している。

こうした哲学は現実にどう表れるのか

BYDは1995年、従業員20人、資本金450万人民元のニカド電池メーカーとして出発した。2003年には自動車事業へと転換。2024年の売上高は1070億ドル(約16兆9000億円)に達し、初めてテスラを上回った。

シャオミは2010年にスマートフォン企業として誕生し、4年以内に中国トップの携帯ブランドの一角となり、2021年には100億ドル(約1兆5800億円)のEV事業への参入を発表した。2024年3月の発売時、セダン「SU7」は27分で5万台を売り上げた。だが、このパターンはさらに深いところまで及んでいる。

CATLは2011年に電池メーカーとして設立され、現在では海外市場シェアの30%超を握る。さらに2025年後半には、ヒューマノイドロボティクスのチームを配備した。電池分野での主導力と材料科学の専門性を、AIと物理世界の融合に向けたシナジーとして活用している。

白物家電ブランドのハイアールは、さまざまな業界にまたがる産業インターネットプラットフォーム「COSMOPlat」を構築し、メーカーからエコシステムの司令塔へと自らを変貌させた。

DJIは寮の一室でドローン開発を始め、2024年時点で世界のコンシューマー向けドローン市場の90%超を掌握している。同時に、精密農業、建設、点検、緊急サービスへも事業を広げてきた。

いずれの場合も、基礎的な能力は天井ではなく、発射台として使われている。

一方、米国では、エリクソンが世界のモバイルネットワーク基盤の構築に貢献した。同社はソニー・エリクソンを共同設立し、2007年には携帯電話出荷台数1億300万台のピークを迎えた。だが、iOSとAndroidの勢いに追いつけず、2012年に持ち分をソニーに売却した。今日、エリクソンはB2Bインフラベンダーにとどまっている。カテゴリーのリーダーでありながら、そのカテゴリーから抜け出せない企業である。

フォードは2023年以降、EVで120億ドル(約1兆8900億円)超の損失を出しており、これには2025年後半に計上した195億ドル(約3兆800億円)の評価損(米企業史上最大級の規模の1つ)も含まれる。2024年第1四半期だけで、販売したEV1台あたり約13万ドル(約2050万円)の損失を出していた。世界で最も認知されたトラック事業の1つを持つ創業122年のメーカーでさえ、自国が生み出す一助となった隣接市場へ、利益を伴って転換することはできなかった。

これは人材の問題ではない。制約は構造的アイデンティティにある。欧米企業は、自らを製品カテゴリーによって定義する傾向がある。エリクソンは通信、フォードはトラックである。そのアイデンティティは、アナリストのカバレッジ、投資家の期待、ブランド資産、何十年にもわたる組織文化によって補強されている。軸足を移すことは、バリュエーションの物語を脅かすことになる。

資本の問題:IRR対産業ビジョン

欧米のベンチャーキャピタルは、2%の管理報酬と20%の成功報酬という手数料体系、10年のファンドサイクル、四半期ごとのLP報告を前提に動いている。インセンティブは明快だ。急速な牽引力を示せる企業を見つけ、評価額を引き上げ、次のファンドを組成することである。

カウフマン財団の画期的な研究は、平均的なVCファンドが手数料控除後に投資家の資本を回収できていないことを明らかにした。この仕組みが報いるのは、産業変革ではなく、期待先行の速度である。「小さく始め、早く失敗せよ」が教義になったのはこのためだ。それは市場機会ではなく、ファンドサイクルに合致している。

中国の資本構造は、設計思想からして異なる。2025年12月、中国国家発展改革委員会(NDRC)は、AI、バイオ医薬、量子など、シード期およびアーリー期のハードテクノロジーへの投資を義務づけた、20年という明確な運用期間を掲げた国家ベンチャー誘導基金を立ち上げた。評価基準は政策目標に導かれる。政府系産業ファンドは企業だけでなくセクターを支援し、中国の創業者は、転換が乱気流に見舞われても国家が資本を引き揚げないことを知っている。

BYDが2003年に自動車へ参入する決定を下した時点で、収益性のあるEV市場は見えていなかった。そのような10年単位の確信には、それを理由に評価を切り下げない資本システムが必要である。

政策、文化、そして規模の構造

2024年の分析によれば、「中国製造2025」は当時、目標の86%超を達成していた。データはその理由を説明している。中国の産業政策は、短期的なリターンよりも、大規模で資本集約的なスケールを補助する。目先の利益率を追うのではなく、BYDは2024年の売上高を29%増の7770億元に伸ばし、CATLは売上高を17%伸ばしながら、世界の電池市場での支配的地位を確保した。

対照的に、欧米の既存大手は利益率の変動にたびたび苦しむ。BCGのデータは、変革の75%が持続的な価値を生み出せないことを示している。この非対称性を複利的に拡大しているのは、幸運ではなく、中国の国家資本インフラである。

一方、欧米のスタートアップ文化は、ベンチャーキャピタルのインセンティブに制約されている。実用最小限の製品(MVP)というリーンスタートアップの神話に基づき、「小さく始める」ことを美徳として制度化している。欧米VCのファンドライフサイクルは、10年以内に10倍のリターンを迅速に求めるため、資本は本質的に、体系的な産業スケーリングよりも、資産の軽いソフトウェアを優先する。その結果、スタートアップの10社に9社が失敗し、こじんまりとした野心が「慎重さ」として常態化している。

中国では、その枠組みが逆転している。スケールが基準であり、国家は忍耐強い共同投資家であり、長期的なセクター支配が明確な目標である。そして、勝ち取った各市場は、次の市場のための原材料として扱われる。

不都合な結論

中国の産業転換は、模倣についての物語ではない。企業をつくるための根本的に異なるオペレーティングシステムについての物語である。そこでは、アイデンティティはカテゴリーではなく能力によって定義される。資本は確信に資金を投じられるほど忍耐強い。政策は市場が存在する前にセクターを支援する。そしてスケールは憧れではなく、出発点として扱われる。

この非対称性はすでに、企業戦略の領域を越えて貿易戦争へと移行している。既存企業が転換できないとき、政府がそれらを守るために介入する。2024年、欧州委員会は中国製EVに最大38.1%の関税を課す方針を示し、北京の産業政策が不公正な構造的補助金に当たると暫定的に認定した。皮肉は徹底している。欧米企業が構築しなかった同じ政策アーキテクチャーに、今度は欧米政府が課税しているのだ。関税は、市場による修復を超えたギャップを示している。産業面で対応するための時間は、どの四半期決算報告書が示すよりも速く狭まっている。

forbes.com 原文

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