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キャリア

2026.08.07 13:23

昇給を受け入れる前に一考すべき理由と、自問したい3つの質問

Adobe Stock

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多くの労働者と同様に、厳しい経済状況の中で家計をやりくりするために、どうにかして副収入を得ようと頭を悩ませているかもしれない。そうしたなか、専門家は昇給を受け入れる前に一考するよう警告している。正気な人間がなぜ昇給を拒むのかと、不思議に思うのも無理はない。しかし一部の専門家は、こうした昇給が誤ったキャリアパスに囚われる罠になり得ると警告し、まずは自分自身に3つの質問を投げかけるよう勧めている。

昇給を拒むべき3つのシナリオ

多くの労働者と同様に、経済的なプレッシャーが高まっているのを感じているのではないだろうか。2025年のOmnisendの調査によると、米国の労働者の73%が経済的な必要性から副業(サイドハッスル)を行っている。追加の収入を得るために単発の仕事を始めようと考えているかもしれない。あるいは、ChatGPT相手に「予行演習」をしながら、今が昇給を切り出すのに適した時期かどうかを自問自答しているかもしれない。

雇用主から「昇給させたい」と言われる場面を想像してほしい。それは自己の証明であり、評価であり、経済的な安堵感がすべて一つになった完璧な瞬間に感じられるはずだ。しかし専門家は、昇給に同意する前に一考することを勧めている。これは受け入れがたいアドバイスかもしれない。

一体どういうことなのだろうか。

一般的な常識では昇給を常に受け入れるべきだとされるが、リンクビルディングに特化したエージェンシー「Profit Engine」のオーナー兼CEOであるジェイソン・モリスはこの考え方に異を唱える。彼は、一部の昇給はキャリアをつぶすものになると主張する。ビジネスの構築や拡大において長年の経験を持つモリスは、不適切な昇給に同意したことで、自らキャリアを狭めてしまった多くのプロフェッショナルを目にしてきた。

「昇給は必ずしも報酬とは限らない」とモリスは説明する。「深刻な問題を覆い隠すための華やかな気晴らしにすぎないこともあれば、最悪の場合、後悔するような状況に縛り付ける『黄金の手錠』になることもある」

モリスは、増額された給与を辞退すべき3つの具体的なシナリオを挙げている。それは、昇給に定義されていない責任が伴う場合、役割への囚われが生じる場合、あるいは組織文化への一時しのぎの対策として昇給が利用されている場合であり、これらは危険な罠となる。彼はそのアドバイスに加えて、財布とキャリアの軌道の双方を守るための戦略的な代替案も提示している。

1. 責任の範囲が曖昧な場合

即座に適用される20%の給与アップという提案は、素晴らしいものに聞こえる。しかし、その対話の裏には「より多くの役割を担う」「より柔軟に対応する」「必要に応じて追加の業務を引き受ける」といった曖昧な表現が隠されている。

モリスはこれを、機会を装った「スコープクリープ」(プロジェクトが当初の目標を超えて徐々に拡大していくこと)と呼ぶ。明確な境界線がなければ、業務量が無限に拡大し、結果としてその昇給は割に合わない「割高な残業代」になってしまうと彼は付け加える。そして、夜中にメールに返信し、欠勤した同僚の穴を埋め、自分の専門分野とはまったく関係のない業務を処理する羽目になる。

「明確な職務記述書(ジョブディスクリプション)について交渉せずに昇給を受け入れたために、数カ月で燃え尽きてしまった有能な人材を私は見てきた」とモリスは指摘する。「週70時間働いて正気を失っていくのであれば、どれほどお金が増えても意味がない」

対策:モリスは、承諾する前に新しい責任の詳細な内訳を要求することを提案している。その上で、具体的な成果指標と、自身の役割における明確な境界線を求めるべきだ。もし明確な説明が得られないのであれば、その昇給は、その後に生じる混乱に見合うものではないと彼は警告する。

2. 辞めたいと思っている職務に縛り付けられる場合

給与が高くなると、キャリアの転換に対して心理的な障壁が生じる可能性があるとモリスは指摘する。臨時の1万5000ドル(約237万円)は、今日時点では自由を得たように感じられるかもしれないが、6カ月後にその仕事が嫌いだと気づいたときには、自分を閉じ込める監獄へと変わる。

この罠は、すでに退職を検討している場合に特に危険だと彼は考えている。企業は退職しそうな気配を察知した優秀な人材を引き留めるために、戦略的に昇給を利用することがよくあるが、そもそも退職したかった根本的な理由に対処しているわけではない。

「有害な組織文化、無能な経営陣、あるいは自身の目標に合致しない職務は、お金では解決できない」とモリスは強調する。「その昇給を受け入れてしまえば、より高い給与を失うことが経済的に無責任であるように感じられるという理由だけで、不適切な仕事に本来よりも長く留まり続けることになる」

さらに、機会費用は時間の経過とともに膨らんでいくとモリスは指摘する。適していない職務でわずかに多い給与を受け取っている間に、関連する経験を積んだり、新しいスキルを身につけたり、より成長性の高い企業に転職したりする機会を逃しているのだ。

対策:すでに退職を考えているのであれば、昇給の提案を、本当に望む変化を引き出すための交渉材料(レバレッジ)として使うことをモリスは推奨している。そして、専門能力開発の機会、柔軟な勤務形態、あるいは明確な昇進のスケジュールについて交渉する。もし企業側がお金以外の有意義な変化を提示できないのであれば、当初の退職計画を進めるべきだとアドバイスしている。

3. より大きな問題に対する一時しのぎの対策である場合

昇給の中には、根本的な原因に対処することなく、構造的な問題を解決しようとする必死の試みにすぎないものもある。マネージャーは、チームが過度の負担を強いられ、プロセスが破綻し、士気が低下していることを分かっている。これらの問題を解決する代わりに、彼らはお金を提示し、その機能不全に少しでも長く耐えてくれることを期待する。

この戦略は短期的には機能するが、長期的にはダメージをもたらす。破綻したシステムの共犯者となり、給与が上がったことで、予算削減の際により高コストな人員として標的にされやすくなる。

「根本的な問題の解決を避けるために昇給を利用する企業は、自らの本質を如実に示している」とモリスは指摘する。「優れたシステムや研修、あるいはリーダーシップに投資するよりも、個人に多く支払う方を選んでいるのだ。これでは持続可能性はない」

対策:モリスは、構造的な改善を求めて交渉することを推奨している。具体的には、チームメンバーの増員、より優れたツールの導入、管理職研修、あるいはプロセスの改善などを要求する。昇給と並行して真の解決策に投資する意志のある企業であれば、留まる価値はある。しかし、お金だけを提示する企業は、他の何も変えることなく、あなたからより多くの価値を引き出そうと企んでいるのだ。

昇給を拒むべき時についての最終結論

モリスは、提示されたすべての昇給を受け入れるという心理の裏には、興味深くも危険な側面があると認める。私たちはお金が増えることを常に良いことと捉えがちだが、プロフェッショナルの世界においては、昇給には時間の経過とともに膨らむ隠れたコストが伴うことが多いと彼は主張する。彼が知る最も成功している人々は、自身の長期的な目標に合致しない昇給を断ってきたという。

「多くの人が見落としているのは、給与は現在の仕事に対する報酬であるだけでなく、将来のキャリアの軌道を示すシグナルでもあるということだ」と彼は強調する。「不適切な昇給を受け入れるということは、本質的に、自分が歩みたくないかもしれない道に進むことに同意することを意味する。この昇給が、5年後に自分がいたい場所に近づけてくれるのか、それとも遠ざけてしまうのかを自問してほしい」

「昇給を受け入れる前に、3つの質問をしてほしい。それは『自分は具体的に何をすることに同意しているのか?』『これによって自分のキャリアの選択肢はどう変わるのか?』『このお金はどのような問題を解決するためのものなのか?』という問いだ」とモリスは結ぶ。「明確な答えが得られないのであれば、それはおそらく機会を装った罠だ。時には、より多くのお金を断ることが、最も賢明な経済的決断になることもある」

forbes.com 原文

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