「世界で最も幸福な国」については、よく耳にする。しかし、もっと身近な場所の幸福についてはどうだろうか。米国の金融情報サイト「WalletHub(ウォレットハブ)」が発表した新たな報告書は、2026年版の「全米で最も幸福な都市」をランク付けしており、その結果からは、米国人がどこで充実した生活を送り、何がそれらの場所を機能させているのかについて、興味深い傾向が明らかになった。
WalletHubの金融ライターであるアダム・マッキャンは、この報告書の中で「居住地は、私たちの日常生活が明るく、あるいは沈んで感じられるかに影響を与える可能性がある」と述べている。
全米で最も幸福な都市を特定するため、WalletHubは米国の主要182都市を対象に、幸福度や生活の質(QOL)に関連する29の指標を分析した。指標には、うつ病の罹患率や十分な睡眠時間から、所得の伸び、通勤時間、離婚率、毎日の余暇時間に至るまで、多岐にわたる要素が含まれている。
この結果は、幸福が必ずしも最大規模の都市や、最も豊かな都市と結びついているわけではないことを示唆している。むしろ、上位にランクインした都市は、良好な身体的健康、妥当な労働時間、十分な睡眠、経済的安定、コミュニティ意識といった、日常的な生活の質の指標で優れたパフォーマンスを示す傾向がある。
このランキングは、米国で人々が最も快適に暮らせる場所を模索する一連の報告書の最新版だ。別の分析である「最も歓迎される場所」に関する報告書では、訪問者が地元コミュニティに特に温かく受け入れられていると感じる目的地がハイライトされた。また、最近の「子育てに最適な場所」に関する別の報告書でも、緑地、コミュニティのつながり、生活の質といった同様のライフスタイル要素の多くが中心的な役割を果たしていた。さらに、これまでの「全米で最も幸福な都市」の分析でも、自然へのアクセス、強いコミュニティのつながり、健康的なワークライフバランスなど、同様のテーマが浮き彫りになっている。
WalletHubの2026年版「全米で最も幸福な都市」報告書は、こうしたダイナミクスをさらに深く掘り下げ、健康、財務、日常の生活の質に関連する数十の指標に基づいて各都市をランク付けしている。このリストは、素晴らしい移住先を探している人々だけでなく、生活のバランスがうまく取れた旅行先を探している旅行者にとっても役立つものだ。自然へのアクセス、アウトドアレクリエーション、そして強いコミュニティ意識を併せ持つ幸福な都市を訪れること以上に素晴らしいことがあるだろうか。
全米で最も幸福な都市はどこか?
WalletHubの2026年版報告書によると、カリフォルニア州フリーモントが全米で最も幸福な都市の首位に輝いた。このベイエリアの都市に続き、2位にはノースダコタ州ビスマーク、3位にはアリゾナ州スコッツデールが入った。
WalletHubによると、フリーモントは人生の満足度や精神的な幸福感に関連する複数の基準で非常に優れたスコアを記録している。同市は人生の満足度が全米で最も高く、別居・離婚率は最も低い。また、研究において幸福度の上昇としばしば結びつけられる所得基準である「世帯年収7万5000ドル(約1180万円)以上」の世帯比率が全米で最も高い。さらにフリーモントの住民は、1カ月あたりの精神的に健康でないと感じる日数が、分析対象となった他のどの都市よりも少ないと回答している。
ノースダコタ州の州都ビスマークが2位となったのは、主にその優れた健康状態と生活の質に関する指標によるものだとWalletHubは指摘している。住民は身体的健康度の高さを報告しており、今回の調査対象都市の中で1日あたりの平均余暇時間が最も長いという恩恵を受けている。また同市は、人々がどれだけ自分の居住地を気に入り、安全だと感じ、コミュニティに誇りを持っているかを測定する「Sharecare Community Well-Being Index(シェアケア・コミュニティ・ウェルビーイング指数)」でも高スコアを獲得している。
3位のスコッツデールは、高い健康指標と活発なライフスタイルで際立っている。同市の成人の88%以上が健康状態を「良好以上」と回答し、約87%が身体活動に参加している。スコッツデールもまた、世帯年収7万5000ドル(約1180万円)以上の世帯比率が高く、これが総合的な幸福度スコアの高さに貢献している。
都市における幸福を形作る要因とは?
今回の調査結果は、幸福に関する研究における長年の結論を裏付けるものとなった。それは、所得はウェルビーイングを高め得るが、それには限界があるということだ。
「諸研究は、年収が7万5000ドル(約1180万円)を超えても、それ以上の幸福にはつながらないことを示している」とマッキャンは報告書に記している。
その基準値を超えると、他の要因がより重要になり始める。公園やレクリエーションへのアクセス、強い社会的つながり、妥当な労働時間、安全と帰属意識は、いずれも人々が日常生活にどれだけ満足しているかを形づくり得る。
「住宅の手頃さ、安全性、社会的つながり、緑地へのアクセス、混雑、歩きやすさといった要素は、いずれも幸福度を形作ることがある」と語るのは、報告書の専門家パネルに加わったセントルイス大学プロフェッショナルスタディーズ・スクールの戦略研究ディレクター、マシュー・J・グラウィッチ博士だ。
データが明らかにする幸福の実態
この報告書から得られる最も興味深い洞察のいくつかは、幸福度を測定するために使用された個別の指標によるものだ。
例えば、睡眠は主要な要因であるようだ。バーモント州サウスバーリントンは、十分な睡眠をとっている人の割合が全米で最も高く、バーモント州バーリントン、モンタナ州ミズーラ、オレゴン州ポートランド、コロラド州デンバーがこれに続いている。また、サウスバーリントンは、総合の「全米で最も幸福な都市」ランキングでも4位にランクインしている。
メンタルヘルスの指標もまた、別の側面を物語っている。うつ病の罹患率が最も低い都市には、ニュージャージー州ジャージーシティ、フロリダ州ハイアリア、フロリダ州マイアミ、ハワイ州パールシティ、フロリダ州ペンブロークパインズなどが含まれる。
余暇時間も重要な役割を果たしているようだ。ビスマークの住民は、今回の調査対象都市の中で1日あたりの平均余暇時間が最も長いと回答しており、この統計はノースダコタ州の州都が総合2位となった理由を説明する一助となっている。
身体活動もまた、幸福度を強く予測する要因だ。スポーツ参加率でもサウスバーリントンが全米首位となり、シアトル、スコッツデール、アリゾナ州ギルバート、ワシントンD.C.がこれに続いた。注目すべきことに、スコッツデールとギルバートはともに総合トップ10入りを果たしている。
これらの指標を総合すると、重要なテーマが浮き彫りになる。それは、住民が健康的で、十分に休養を取り、バランスの取れたライフスタイルを維持できている都市ほど、幸福度が高くなる傾向があるということだ。
最も幸福な都市におけるトレンド
このランキングからは、いくつかの地理的な傾向も見て取れる。リストの上位はカリフォルニア州が目立ち、フリーモント、アーバイン、サンノゼがすべてトップ10に入っている。アリゾナ州も存在感が大きく、スコッツデール、ギルバート、チャンドラーが上位にランクインしているほか、テンピとピオリアもトップ25に入った。
一方で、米国の多くの大都市の順位は大幅に低くなっている。ニューヨークは総合59位、ロサンゼルスは87位、シカゴは83位だった。シアトルは15位で、今回の調査において主要大都市圏としては最高順位となった。
このパターンは、大都市には経済的機会や文化的アメニティがある一方で、小中規模の都市の方が日常の生活の質に関する指標で優れたパフォーマンスを示すことが多いことを示唆している。
定番の観光拠点以外の場所を探している旅行者にとって、これらの都市の多くは訪れるに値する魅力的な理由を備えている。バーモント州のアウトドア志向の町から、太陽が降り注ぐアリゾナ州の砂漠のコミュニティまで、その選択肢は豊富だ。
全米で最も幸福度の低い都市
対照的に、南部や中西部のいくつかの都市が総合的な幸福度で最下位層に位置している。分析対象となった182都市のうち、最下位はミシガン州デトロイトだった。これにテネシー州メンフィス、ルイジアナ州シュリーブポート、オハイオ州クリーブランド、ウェストバージニア州ハンティントンが続き、ワースト5を形成している。
これらの都市は、健康状態、経済的課題、コミュニティ指標など、幸福に関連する複数のカテゴリーで苦戦している傾向がある。
データは、上位の都市との鮮明なコントラストを浮き彫りにしている。デトロイトは十分な睡眠をとっている人の割合が全米で最も低く、ハンティントンはうつ病の罹患率が最も高い。また、クリーブランドは別居・離婚率が最も高い。
これらの統計は、総合的な幸福度で最下位にランクされたコミュニティが直面している課題を示している。
全米で最も幸福な都市:結論
WalletHubの2026年版報告書によると、全米で最も幸福な都市とは、必ずしも最も規模が大きい都市や華やかな都市ではない。人々がより健康的で、十分に休養を取り、経済的に安定し、コミュニティとのつながりが強い場所なのだ。多くの場合、こうした状況は、労働時間が管理可能で、余暇時間が豊富にあり、人々が強い帰属意識を感じられる都市において、より容易に実現される。
旅行者にとって、これはこのリストに注目すべきもう一つの理由になるかもしれない。住民が高いレベルの幸福度を報告している都市は、心に残る旅の条件となる、自然への容易なアクセス、豊かな地元文化、温かいコミュニティ、そして実際にそれを楽しむ時間をもたらす生活のペースといった特徴を共有していることが多い。
そしてどの都市も幸福を保証してくれるわけではないが、このデータは、住む場所──あるいは訪れる場所──が、日々の生活に対する満足度を形作る上で意味のある役割を果たし得ることを示唆している。
ランキング:全米で最も幸福な25都市
- カリフォルニア州フリーモント
- ノースダコタ州ビスマーク
- アリゾナ州スコッツデール
- バーモント州サウスバーリントン
- ノースダコタ州ファーゴ
- カンザス州オーバーランドパーク
- サウスカロライナ州チャールストン
- カリフォルニア州アーバイン
- アリゾナ州ギルバート
- カリフォルニア州サンノゼ
- バーモント州バーリントン
- ウィスコンシン州マディソン
- メリーランド州コロンビア
- アリゾナ州チャンドラー
- シアトル
- テキサス州プラノ
- サンフランシスコ
- ネブラスカ州リンカーン
- メイン州ポートランド
- アリゾナ州テンピ
- カリフォルニア州サンディエゴ
- ノースカロライナ州ローリー
- アリゾナ州ピオリア
- ノースカロライナ州ダーラム
- カリフォルニア州ハンティントンビーチ
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