AIスタックの各層で異なる利益ポテンシャル
利益ポテンシャルが最も高いのは半導体とクラウドサービスの事業者であり、最も強く圧迫されているのがモデルの提供企業だ。
モデル提供企業
消費者向けのモデル提供企業は、法人向けを主軸とする企業に比べて利益率が低い。OpenAIは年換算で約250億ドル(約3兆9750億円)の売上高があるが、粗利益率は33%程度と推定されている。足を引っ張っているのが消費者向けのChatGPTで、利用量にかかわらず月額料金が一定だからだ。
Anthropicは、年換算300億ドル(約4兆7700億円)の売上高のうち約8割を法人利用から得ている。SemiAnalysisによれば、Claude Codeの人気を背景に、2026年のあいだに推論マージン(inference margin。モデルを動かして応答を返す処理の粗利益率)が38%から70%超へと上昇した。
アプリケーション層
AIソフトウエアは、従来のクラウド型ソフトウエアよりコストがかかる。そのため提供各社は料金を見直してきた。たとえばCursorは、エージェント型の使い方で消費量が膨らんだ結果、月額20ドル(約3180円)の定額プランをやめ、クレジット制の新料金に切り替えざるをえなかった。ウーバーは2026年の予算を4カ月で使い切った。セールスフォースはAgentforceの料金体系を1年半で3回変えている。
AIクラウド層
AIクラウドサービス事業者は、CoreWeave(コアウィーブ)を除けば黒字だ。CoreWeaveはフリーキャッシュフローが大幅なマイナスで、受注残高は約990億ドル(約15兆7400億円)、負債は約249億ドル(約3兆9600億円)に上る。
ほかの大手クラウド事業者は、アマゾン、マイクロソフト、グーグルといった巨大企業の一部門だ。モルガン・スタンレーによれば、この3社の設備投資額は2026年に8050億ドル(約128兆円)、2027年には1兆1000億ドル(約175兆円)に達する見通しである。
AWSは営業利益率37.7%で黒字、グーグル・クラウドも35.6%で黒字だ。マイクロソフトについては、AzureとAIインフラをより広い「インテリジェントクラウド」セグメントにまとめて開示しているため、AIクラウド事業が儲かっているかどうかは判断しにくい。
半導体
半導体は収益性が非常に高い。エヌビディアの純利益率は63%である。ほかの半導体メーカーも高収益で、TSMCは46.5%、サンディスクは34.2%、マイクロンは56%だ。需要が供給を大幅に上回り、新しい生産能力が立ち上がるまでに少なくとも1年はかかることから、価格も利益率も上昇している。


