景気が後退するたびに、私は同じ本能的な行動が表れるのを目にする。企業は自社のチームに対し、より少ないリソースでより多くの成果を上げるよう求める。より多くの顧客サービス、より多くの事務作業、より多くのフォローアップ、より多くの問題解決を求めるのだ。
しかし、不況を乗り越えてより強く成長する企業は、往々にして異なるアプローチをとる。彼らは、自社の社員が時間と注意を注ぐべき対象を、より厳格に見極める。レジリエンス(回復力)とは、より多くの仕事をこなすことではない。適切な仕事を確実に終わらせることだと理解しているのだ。
顧客コミュニケーション企業を20年以上にわたり率いる中で、数千人もの経営者と会話を重ねてきた。その経験から、最もレジリエンスの高い企業は、主に以下の3つの事項に注力していることが分かった。
1. 新規収益を追う前に、既存収益を守る
2. 複雑さを加える前に、摩擦を取り除く
3. キャッシュフローと同じくらい、チームの注意力を厳しく守る
これらの原則はシンプルに聞こえる。だが実際には、チームの時間とエネルギーをどこに配分するかについて難しい判断を迫られることが多く、それを継続する規律も求められる。
従業員に無理を強いることの「隠れたコスト」
経済が低迷すると、経営者はしばしば同じ問題に直面する。限られたリソースで操業しながら、いかにして顧客に価値を提供し続けるかという問いだ。
これに対する本能的な反応は、より多くの業務を社内で吸収しようとすることだ。サービス水準を維持しようとするあまり、チームはさらに無理を重ねる。優秀な従業員がより多くの事務作業を抱え込み、ひっきりなしに業務を中断されながら、パートタイムのカスタマーサービス担当者のような役割まで兼任するようになる。
当初、この方法は効率的で、コストパフォーマンスが高く、何とか管理できているように見える。しかし、すぐに問題が生じる。成長を牽引するのに最も適した立場にある人材が、必要ではあるものの、彼らの専門知識を要しない業務に追われるようになるのだ。売上を生み出すための業務が日常的な事務処理に押し潰され、戦略的な立案は常にその場しのぎの対応へと追いやられる。日々は忙しい活動で埋め尽くされるが、必ずしも進歩につながるとは限らない。
困難な経済状況において、あらゆる企業が取り組むべき最も価値のある活動の1つが、「時間の最適化」に関するシンプルな監査だ。最も価値の高い従業員は、どのような業務に時間を費やしているだろうか。どの活動が顧客維持、あるいは成長やイノベーションに直接貢献しているだろうか。そして、どの活動であれば効率化、委譲、自動化、またはアウトソーシングが可能なのだろうか。
私がこれまで見てきた最も成功している企業は、不況期に単にコストを削減するだけではない。彼らは優先事項を絞り込み、日々の業務をより慎重に見直すことで、従業員がビジネスを前進させる仕事に集中できる環境を整えているのだ。
需要の問題か、対応の問題か
私が学んだ教訓の1つは、多くの企業が抱えているのは「需要」の問題ではなく、「対応」の問題だということだ。顧客の関心がないから機会が失われているのではない。迅速に対応しなかったり、継続的なフォローアップを行わなかったり、あるいは購入プロセスを十分に簡素化しなかったりするために、機会が失われているのだ。
一例を挙げると、当社のクライアントの1社は、すべてのインバウンドリード(引き合い)を確実に捕捉し、自動フォローアップのワークフローに組み込むシステムを導入した。その結果、同社は既存の需要を成約に結びつける能力を向上させることができた。
成長は既存の需要の中に隠れている
一般的に、ビジネスリーダーが成長を牽引しようとする際、新規市場の開拓や、製品・サービスの拡充、あるいは新たなマーケティングチャネルの検証や予算の増額を検討することが多い。これは刺激的で大きな成果をもたらす可能性がある。しかし、大きな利益は往々にして、既存の需要をより確実に獲得することから得られるものである。
新しい事業に乗り出す前に、まずは自社のプロセスを見直し、すべての機会を確実に保護し、最大限に活用できているか確認するのが賢明な手段だ。
市場が冷え込むと、新規顧客の獲得はより困難になり、彼らの意思決定も慎重さを増す。このような状況において、対応の迅速さは強力な競争優位性になり得る。カスタマーサービス・チャネルにおけるあらゆる摩擦の原因を排除するのだ。電話、メッセージ、あるいはメールの返信漏れはないだろうか。対応速度はどのくらいか。社内でのリードの引き継ぎはスムーズに行われているか。顧客が必要なときに、本物の人間に連絡を取ることができるか。そして、顧客とのすべての接点で一貫した体験を提供できているだろうか。これらの領域は、企業の成長を阻む、コストのかかる隠れた障壁となっていることが多い。
困難な状況下では、顧客の期待は往々にして高まる。顧客の信頼を勝ち取るのは、裏側で効率化を図りつつも、顧客にとって非常にアクセスしやすい存在であり続ける方法を見出した企業だ。優れた、迅速で、人間味のある顧客体験は、売上を守るための戦略となる。企業に簡単に連絡を取ることができる顧客は、購入し、再び利用し、そのブランドを他者に推薦してくれる可能性が極めて高い。
シンプルさ:究極の洗練
ビジネスリーダーとして、私たちはインフレや労働市場、あるいはより広範な経済の不確実性をコントロールすることはできない。私たちがコントロールできるのは、変化や課題に対してどのように対応するかということだけだ。困難な時期を乗り切る企業は、必ずしも最も懸命に働いている企業ではない。彼らは、最も賢く働いている。人材を高価値な活動に集中させ、業務上の摩擦を排除し、常に顧客に寄り添い続けているのだ。
成長とは、より大きなファネルを作る前に、まず漏れ(リーク)を修復することから生まれることが多い。



