5500kmに及ぶ海岸線を持つフランスには、コート・ダジュールの世界的に有名なスポットから、地元の人々に愛される知る人ぞ知るビーチまで、数多くの海辺の目的地がある。その中で最も美しいのはどこだろうか。その問いに答えるのは不可能に近いが、スマートフォンの写真をプリント商品にする写真キュレーションアプリを開発するロンドン本拠のプラットフォームPopsaが、フランスで最も写真に撮られたビーチのリストを公開し、同国で特に注目すべき海岸エリアに関する新たな知見を提供した。同社は、2025年に撮影された水辺の避暑地の写真300万枚のデータを分析し、各地で撮影された画像の相対的なボリュームを反映した写真指数スコアを作成した。(調査の手法と各ランキングの詳細はこちら)
「『フランスのベストビーチ』のリストは世の中に溢れているが、そのほとんどは個人の意見や編集上の判断に基づいている」と、Popsaの共同創業者兼CEOであるリアム・ホートンはメール取材に対して述べた。「このランキングが他と異なるのは、実際の旅行者の行動のみに基づいている点だ」。カンヌのクロワゼット・ビーチが100点を獲得してトップ。サントロペ半島のパンプロンヌ・ビーチが86点で2位に入り、コルシカ島のパロンバッジア・ビーチが54点で10位となった。
「データから得られた最も顕著な知見のひとつは、北部の英仏海峡沿いにあるフランスのビーチが上位にランクインしていることだ。この地域は、リビエラや大西洋岸の陰に隠れて見落とされがちだ」とホートンは語る。「匿名化された集計データを公開することで、他の旅行者の役に立ち、これまで検討したこともなかったような場所へと彼らを導くことができればと願っている」
以下は、Popsaによる2026年版「フランスで最も写真に撮られたビーチ」である。
1. クロワゼット・ビーチ(カンヌ、コート・ダジュール)
リストの最上位に輝いたのはクロワゼット・ビーチ。カンヌ国際映画祭の期間中、華やかな屋外ステージとして機能し、長年にわたりスターから新進気鋭の俳優までが公式フォトコールを行ってきたことで有名だ。この日当たりの良い砂浜は、街を代表する海岸遊歩道「クロワゼット大通り」に沿って3kmにわたって続いている。
ここには、デザイナーブランドが手がけることもある洗練されたビーチクラブが多数あり、昼夜を問わずロゼワインが振る舞われるスタイリッシュなレストランが並んでいる。また、通りを挟んだ向かい側には、カールトンやマジェスティックといった、フレンチ・リビエラでも指折りの最高級ホテルが佇んでいる。
2. パンプロンヌ・ビーチ(ラマチュエル、サントロペ半島、コート・ダジュール)
サントロペで最も有名なビーチであるパンプロンヌは、実はサントロペの街から6kmほど離れたラマチュエルという別の海辺の避暑地にある。ブリジット・バルドーが主演した映画『素直な悪女』(原題:Et Dieu... créa la femme)のシーンがこの魅惑的な海岸線で撮影され、1956年の映画公開以降、セレブを惹きつける場所となった。現在でも、著名人たちが「クラブ55」や「ニッキ・ビーチ」といったジェットセッター向けのクラブに集まり、パーティーや日光浴を楽しんでいる。これらのクラブには、ランチが遅くまで続くレストランも併設されている。伝説的なナイトクラブ「レ・カーヴ・デュ・ロワ」で知られるホテル・ビブロスも、パンプロンヌにビーチクラブを所有している。
3. エトルタ・ビーチ(エトルタ、ノルマンディー)
ヨーロッパで最も劇的な景観を誇る海岸のひとつであるエトルタ・ビーチは、印象的な白亜の断崖で有名な、英仏海峡に面したノルマンディー地方のコート・ダルバートル(アラバスター海岸)に位置する。長さわずか1kmのエトルタ・ビーチは、ウジェーヌ・ドラクロワ、カミーユ・コロー、クロード・モネといった巨匠たちを魅了した場所であり、彼らはこの風景を数十点もの作品に描いた。
かつて漁村だったエトルタの町は、19世紀にファッショナブルな目的地となった。現在、訪れる人々はビーチだけでなく、断崖の上に位置する高評価のゴルフ場「ゴルフ・デトルタ」も目的としている。
4. ル・トゥケ=パリ=プラージュ(オー=ド=フランス)
独特の輝く光(それが名前の由来)で名高いコート・ドパール(オパール海岸)に位置するル・トゥケ=パリ=プラージュには、きめ細かな砂浜とハンプトンズを思わせる砂丘がある。町には100軒以上のブティックと70軒のレストランが軒を連ねる。このリゾートは20世紀初頭に台頭し、ウィンストン・チャーチル、ウェールズ公エドワード、ショーン・コネリーといった旅人たちを惹きつけた。また、チャーチルが宿泊したホテル・ウェストミンスターなどのアールデコ様式の建物や、ランドセーリング(フランス語でchar à voile)への情熱でも知られている。
5. ラ・ボール=エスクブラック(ロワール=アトランティック)
大西洋岸のビーチであるにもかかわらず、ラ・ボール=エスクブラックは三日月型の湾に位置しているため、穏やかな波に恵まれている。ラ・ボールは晴天に恵まれた気候でも有名で、年間約300日もの晴天日数を誇り、その数はコート・ダジュールの都市に匹敵する。青と白のストライプのキャバナが点在する白い砂浜は、8kmにわたって贅沢に延びている。フランスのホスピタリティ企業であるバリエール・グループは、ここに「ル・ロワイヤル」「レルミタージュ」「ル・カステル・マリー=ルイーズ」といった複数の高級宿泊施設を所有している。
6. グラン・プラージュ・デ・サーブル・ドロンヌ(レ・サーブル・ドロンヌ、ヴァンデ)
グラン・プラージュ・デ・サーブル・ドロンヌは、ビスケー湾に面した日当たりの良い海岸、コート・ド・リュミエール(光の海岸)に位置する。幅の広い砂浜の傍らには、3kmにおよぶ遊歩道が並走している。
グラン・プラージュは、一部が中世に遡るレ・サーブル・ドロンヌの街のすぐそばにある。歴史的な漁師街であるラ・ショームには、ぜひ立ち寄ってほしい。当然のことながら、地元の料理の中心はシーフードであり、地魚を使ったサブレ風の舌平目、コウイカのシチュー、ムール貝を使ったムクラードなどが名物料理に挙げられる。また、レ・サーブルは、この街を発着点とする単独無寄港無補給世界一周ヨットレース「ヴァンデ・グローブ」の拠点でもある。次回大会は2028年11月に開催される予定だ。
7. カブール・ビーチ(カブール、ノルマンディー)
ノルマンディーの優雅な避暑地、コート・フルーリー(花咲く海岸)のカブールにあるこのきめ細かな砂のビーチは、英仏海峡に面している。(この海岸の名は、春に咲き誇る果樹園やヴィラの庭園に咲く花々に由来する。)カブールは古くから作家のマルセル・プルーストとゆかりがあり、彼はメインビーチの向かいに立つベル・エポック期のランドマーク、ル・グラン・オテル・ド・カブールで夏を過ごした。そこは彼の代表作『失われた時を求めて』(原題:À la recherche du temps perdu)のインスピレーションの源となった。街の海岸遊歩道は、この作家にちなんで名付けられている。
8. カステル・ビーチ(ニース、コート・ダジュール)
コート・ダジュール最大の都市であるニースには約20の公営ビーチがあり、その中でも頻繁に写真に撮られるのがカステル・ビーチだ。この地域の多くのビーチと同様に、地面は小石で覆われているが、水は澄んでおり、比較的穏やかなことが多い。サンベッドやパラソルをレンタルしたい人向けのビーチクラブもある。
カステル・ビーチは、ニースの伝説的な遊歩道「プロムナード・デ・ザングレ」の東端、かつては丘の上の軍事要塞であり、現在はニースの「天使の湾(ベ・デ・ザンジュ)」を一望できる公営公園となっている「城の丘(コリーヌ・デュ・シャトー)」の下に位置する。カステル・ビーチからは旧市街まで歩いてすぐで、17世紀のバロック様式の邸宅であるラスカリス宮殿や、サレヤ広場で毎日開かれる花市場などのランドマークを訪れることができる。
9. ベルク・ビーチ(ベルク=シュル=メール、オー=ド=フランス)
カレーから車で南へ約1時間の場所に位置する、ベルク=シュル=メールの町のベルク・ビーチも、コート・ドパール(オパール海岸)における有数の目的地だ。19世紀、ヨウ素を豊富に含む海岸の空気のおかげで、医療用の保養地として一躍有名になった(1869年にはウジェニー皇后がここにナポレオン病院を開設している)。鉄道の開通に伴い、この町はヨーロッパ全土から富裕層を惹きつけるようになった。エドゥアール・マネは、現在はオルセー美術館に所蔵されている絵画『ビーチにて』(原題:Sur la Plage)の中で、このビーチを不朽のものとした。
10. パロンバッジア・ビーチ(ポルト=ヴェッキオ近郊、コルス=デュ=シュド、コルシカ島)
コルシカ島にはおよそ200のビーチがあり、特によく知られているものは北部のアグリアート地域や島の南東部に位置している。南東部にあるのが、パロンバッジア・ビーチだ。ポルト=ヴェッキオの街の近くに位置するパロンバッジアは、透明なブルーの海と白い砂のおかげで、カリブ海のようなロケーションと形容されることが多い。ビーチの一部はピンク色の花崗岩の巨石で縁取られており、それが海の景色にさらなる色彩の豊かさを添えている。ビーチの先には沖合の自然保護区であるセルビカル諸島があり、その澄んだ水はスキューバダイバーやシュノーケラーを惹きつけている。
このエリアには、ビーチから約700mに位置するルレ・エ・シャトー加盟ホテル「レ・ベルジュリー・ド・パロンバッジア」をはじめ、いくつかの5つ星ホテルがある。ポルト=ヴェッキオを訪れた際は、コルシカ風ブイヤベースである「アジミヌ(aziminu)」を、ヴェルメンティーノ(Vermentinu)といった地元の辛口白ワインとともにぜひ味わってほしい。



