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I write about economic and social trends in China. @johannylander

Esqualグループの建設中の向上完成予想図

中国南東部の街、桂林の郊外で泥だらけの野原を眺めていると雨が降ってきた。そこは、以前レンガ会社が使っていた敷地で、表面の土は全て焼かれ、破壊された土壌はほぼ使い物にならない状態だ。

しかし、今、何年も打ち棄てられていた場所に活気が戻ってきている。ブルドーザーが縦横無尽に走り回り、建設作業員たちが廃棄物ゼロの類をみないエコな洋服工場の土台作りを急いでいた。

総投資額は20億元(約385億円)。香港に本社を置き、多くのグローバル・ブランドへコットンシャツの供給。世界的にも有数の規模を誇るEsquelグループが建設しているこの工場は、中国が夢見てきた製造業のレベルアップを象徴している。加えて、これまで低賃金で労働者を酷使して汚染水を垂れ流すとして悪評の高かった繊維産業が持続可能な形へ進化できることを証明しているのだ。

中国の繊維産業は、賃金や光熱費の上昇、更には物流コストの負担増や政府の規制強化に長く苦しみ続けていて、競争力を維持することも、利益を確保することも難しくなっている。

このような環境下で、ほとんどのメーカーは、労働力が安く規制も厳しくないベトナムやバングラデシュへ製造拠点を移すことを選択している。中には、窮余の一策で違法な工場を使い、環境面や労働環境に関わる認証も詐称してコストカットしている会社まである。
このような背景があるからこそ、中国国内への投資を継続、製造ラインの自動化で増産する道を選んだEsquel社は、他社とは流れを異にした興味深い事例なのだ。

同社CEOのジョン・チェ氏は、スキルや効率の向上に結び付き、中国人の購買力上昇へと循環するのであれば、賃金が上昇し続けるのも決して悪いことばかりではない、としている。

11月上旬に行われたIntegral Conversationのイベント中のインタビューで、同氏はEsquel社では実際に賃金を上げていて、現在では残業代を含めると地元の最低賃金を150%超える水準を支払っている、と話した。

また「労働力の安い国へ転々と工場を移すのは必ずしもよいことではありません。それはつまり、変化していない、何の向上もしていないということです」と述べ、「我々は中国から離れるつもりは全くありません」とした。

1978年に創業したEsquel社は、今ではナイキ、ザラ、ラルフローレン、トミーヒルフィルガーといったブランドや中国の国内高級ブランド向けに年間1億枚以上のシャツを製造、PYEという自社ブランドも立ち上げている。

モーリシャス、マレーシア、スリランカ、更にベトナムにも工場を持つものの、最終製品の3分の2は中国で生産されている。

ここで鍵となるのは、Esquel社が完全なバリューチェーンを丸ごと中国国内に持っていることだ。綿花の栽培から紡績、精織、染色、縫製、そして小売りまでの全工程である。更に、同社は安い労働力を追い求めるのではなく、いわゆる作業の単純化・自動化で価値の最適化を追求している。つまり、それぞれの機械の操作に必要な能力やトレーニング量を抑え、必要な人員の数も減らすことができるようにしたのだ。実際に、現在では一人の従業員が2つ、時には3つの機械を同時に操作することができるようになっている。

「重要なのは、労働コスト自体ではなく、ユニット当たりにかかる労働コストなのです」とチェ氏は解説した。「機械のオペレーターが倍の給与を得ても、倍のアウトプットをすることができれば、ユニット当たりのコストは下がる計算になります。会社にもメリットがあり、従業員にもメリットがある、というわけです。我々が追及しているのは、このモデルです」

Part2へ続く

編集 = Forbes JAPAN 編集部

 

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