2つの習慣の共通点
どちらの習慣も労力を最初にかける。決断が早い人は答えを考えることに力を使うが、この2つの習慣では問いそのものに力を使う。つまり、実際に何が問われているのか、そしてどのような条件なら答えが変わるのかを考える。その作業は、目に見える結果が出る前に行われるため、まさにそのために時間稼ぎをしていると誤解されてしまう。
また、このパターンには隠すべきではない共通の代償もある。あらゆる意思決定にはそれ以上考えても改善しなくなる限界点があり、どちらの習慣も行き過ぎる可能性がある。5分で答えるべき問題を延々ととらえ直したり、「場合による」と言うだけで相手を本当に混乱させたりする。学術誌『Journal of Consumer Psychology』に2022年に掲載されたメタ分析でこのことが直接確認された。客観的に最良の選択肢を強迫的に追い続ける人は、「これで十分」と納得できる人よりも一貫してウェルビーイングが低いという。判断力とはどの決断にまず検討が必要で、どの決断には単に結論が必要なのかを見極めることだ。
そして、こうした習慣が見られない場合、その理由が傲慢さにあることは少ない。より多い理由はプレッシャーだ。学術誌『Personnel Psychology』に2017年に掲載された、2万2000人以上を対象としたメタ分析では、研究者が「心理的安全性」と呼ぶものがあまりない環境、つまり率直に発言することにリスクを感じる環境では、質問する、不確実性を認める、もっと時間が必要だと伝えるといった、これらすべてを支える学習行動が確実に抑制されてしまうことが明らかになった。決断力があるように振る舞えば、会議を乗り切れる。もっと時間が必要だと認めても、その場がそれを受け入れる余裕がない限り、会議を乗り切ることはできない。
優柔不断が美徳だと言っているのではない。問題の最初の段階で時間をかけること、そして最終段階で複雑な答えを単純化しようとしない姿勢は通常、その人に社会的な不利益をもたらす一方で、ひそかに正しい判断をする可能性を高めている。


