米総合エネルギー企業シェブロンが石油輸送に伴うリスクヘッジとして利用している商品デリバティブは、イラン紛争による「ボラティリティの高まり」を受けて前期に31億ドル(約4900億円)の損失を出していたが、直近の四半期では一転して大きく改善した。
デリバティブ損益が黒字化し、証拠金は約220億円まで低減
米証券取引委員会(SEC)への提出書類によると、同社の2026年第2四半期における商品デリバティブ利益は3億6800万ドル(約583億円)に達し、第1四半期に計上した31億ドル(約4900億円)の損失から大きく改善した。
シェブロンは、第1四半期に現金担保として差し入れた追加証拠金が8億7000万ドル(約1379億円)に上ったことを明らかにしている。この金額は第2四半期末には1億3900万ドル(約220億円)まで減少しており、原油価格が今年3月の最高値から下落したことに伴って現金が回収されたことが示された。
提出書類のデリバティブに関する注記には、「中東で進行中の紛争に関連する商品価格の高ボラティリティ」が巨額の損失を生み出し、シェブロンが穴埋めのために現金の支払いを余儀なくされたことが記載されている。
シェブロンの株価は米国時間8月6日午後の時点で1.4%高の約188ドルで推移している。
純利益は約1兆9200億円、前年同期を大きく上回る
シェブロンが直近の四半期に報告した純利益は121億ドル(約1兆9200億円)で、前年同期の25億ドル(約4000億円)をはるかに上回る水準となった。これは商品の生産量が増加したこと加え、イラン紛争によって商品価格が高騰したことが牽引している。
フィリップス66はベネズエラ産原油で世界3位に
同じくエネルギー企業のフィリップス66は5日の決算説明会で、トランプ政権が実施した海上取引の適用除外措置の恩恵を受け、自社がベネズエラ産原油の第3位の買い手になったことを明らかにした。ドナルド・トランプ大統領は今週、イラン紛争で「儲けすぎている」としてシェブロンとエクソン・モービルを激しく非難したが、フィリップス66はこうした厳しい追及の対象からは外されている。
ブレント平均は第2四半期には104ドルへ急騰、売り持ちで利益が出た
今年の第1四半期に1バレルあたり平均81ドルで推移していた国際原油指標の北海ブレント先物は、イラン紛争をめぐる懸念の高まりから第2四半期には平均104ドルまで急騰した。原油価格は1バレルあたり約60ドルだった今年初頭から33%上昇している。
商品デリバティブにおけるシェブロンの売り越しポジションは、原油価格が下落した際に同社が利益を得る構造になっていることを意味する。北海ブレント先物は今年3月と4月に100ドルの大台を大きく超えて急騰していたが、その後に約73ドルまで下落したことで同社の最新決算にはその恩恵が反映された。
原油安でもガソリンは高止まり、トランプが還元を迫る
トランプがシェブロンやエクソン・モービルに怒りの矛先を向けているのは、最近の原油価格の下落にもかかわらずガソリン価格が高止まりしているためだ。大統領は両社に対して「利益の一部を国民に還元する」よう圧力をかけているが、その具体的な方法については言及していない。



